第15話 クズ男に制裁を! そして…

 川宮さんが玲那さんをナンパしようとしたので、何とか引き留めた俺。それをきっかけに彼女との距離は一気に縮まる。


その件以降彼を見かけなくなったが、詳細を玲奈さんに訊くのはためらう…。そんな中、姉ちゃんが詳しい事情を知ってるようなので、俺の部屋で聴くことにした。



 「貴弘が玲奈に〇インで伝えたことそのまんまが、あたしのとこに来たんだよ。大輔とは〇フレし、無関係じゃないから教えてくれたみたい」


「〇フレだった…?」


「今は違うよ。あたしと玲奈だけじゃなくて、澪もあいつと縁切ったから」


澪という人は、今初めて聴いたよな…? それは置いといて、川宮さんにバチが当たったみたいだ。まぁ、あんな非常識な人だし当然のことだが。


「順番がズレちゃった、話を戻すよ。その〇インに返信したら、玲奈が『大ちゃんにビシッと言いたいけど、1人じゃ怖いから一緒に付いて来て』って言われてね」


1対1は不安だよな。玲奈さんの気持ちはわかる。


「んで、時間がある時に玲奈と合流して、大輔を大学の人気ひとけのないところに呼んだんだよ」


「なるほどな。その後どうなった?」

気になるのはそこだ。


「まず玲奈が確認したの。『玲那をナンパしようとしたのは間違いない?』って。大輔は面倒そうに『ああ』と言ったね。…ビビるのはその後だよ~」


「ビビるって何だ? 姉ちゃん?」

ずいぶんもったいぶるな…。


「玲奈が『二度と私達に近付かないで!!』と言ってビンタしたの。“パーン”って痛そうな音が周りに響いたもんよ」


あの玲奈さんがビンタした? にわかには信じられないが…。


「ビンタを受けた時の大輔の顔、最高だったね~。きょとんとしててさ~。撮ってあんたに見せたかったけど、さすがに自重したわ」


「それは俺も見たかったな。けどさ、あの人がそれだけで諦めるのか?」

あくまで個人的だが、川宮さんはしつこそうなイメージがある。


「あたしもそう思ったんだけど、玲奈が『もしまた近付いたら、大ちゃんの秘密バラすから』って言ってたから大丈夫じゃない?」


「あの人の秘密?」


「それはあたしにもわかんない。ハッタリかもしれないし、本当に良いネタがあるかもしれないし…」


川宮さんの秘密なんて、今となってはどうでも良い話だな。あの人が姉ちゃんと玲奈さんと関わらないなら、今後俺と会う事もないからだ。


「澪にはその件が終わった後に玲奈が伝えたみたい。そうしたら『ワタシも縁を切る』って話になった訳」


「さっきから出てくる澪さんは、どういう人なんだ?」

まったくわからないなら置いてけぼりだ…。


「あたしは〇交で数回一緒になった程度で、仲良くないね。玲奈のほうが一緒になった回数が多いらしいし、興味があるなら訊いてみれば?」


別にそこまでして訊きたいことじゃない。今の俺にとって、玲那さん以上に気になる女はいないからな。



 「とまぁ、これが大体の流れだね」


「よくわかったよ。姉ちゃん、教えてくれてありがとな」

川宮さんと2度と関わることはないだろう。記憶から抹消しても良いかもな。


「玲奈の“女慣れ”で聴いたかもしれないけど、女を怒らせちゃダメだからね。もし怒らせたら…、後悔することになるよ」


「言われてなくてもわかってる」


父さんと母さんがキレた時、母さんのほうが怖いからな。姉ちゃんの言ったことは間違ってないと思う。俺も玲奈さん・玲那さん姉妹を怒らせないようにしよう。


「んじゃ、話は終わったからあたしは帰るね~」


「ああ」


姉ちゃんは宣言通り、すぐ俺の部屋から出て行った。



 あの人が近付かないことで、俺・姉ちゃん・玲奈さん・玲那さんの4人に平和が訪れた。そうなると玲那さんと一緒に帰る理由がなくなるが、素直に「一緒に帰りたい」と伝えればOKな気がする。


俺は少しでも長く、玲那さんのそばにいたいのだから…。

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