【完結】姉とその友達でやる、秘密の性教育

あかせ

第1話 姉ちゃんの友達は清楚系〇ッチ

 俺にとって今日は、普通の土曜日ではなく誕生日だ。だが、誰も祝う事はない。小さい頃は母さんがケーキを買ってきてくれたっけ…。


別に寂しくないけどな。高2にもなって、昔と同じように祝われたら恥ずかしいし…。ふと頭をよぎっただけだ。



 昼飯を食べてからずっと自室でゲームをしていたが、トイレに行きたくなったのでポーズ画面にしておく。それからすぐ部屋を出ると…。


「あっ…」


廊下にいる大学1年のあや姉ちゃんと鉢合わせたので、つい声が出てしまった。茶髪の軽く巻かれたウェーブが、遊んでそうな雰囲気を醸し出している。


実際、家に帰るのは夜遅くが大半だ。そんな姉ちゃんが昼過ぎに家にいる? 珍しいこともあるもんだ。


貴弘たかひろ。あんたこれから出かけたりする?」


「いや…」


「ふ~ん。今日、あんたの誕生日じゃん? プレゼントを用意したんだよ」


「姉ちゃんが俺にプレゼント!?」

そんな事、今まで一度もなかったぞ…。


「驚き過ぎ。小さい頃みたいに話すことはなくなったけど、弟の誕生日ぐらい覚えてるって」


「そうか…。それで姉ちゃん、プレゼントはどこにあるんだ?」

何も持ってないし、取り出す様子も見られない。


「これから来るあたしの友達の玲奈れいながプレゼントになるんだよ」


「? どういう事だ?」

俺はその玲奈さんを全く知らないんだが…。


「お母さんから聴いてるよ。あんた、学校からはすぐ帰ってくるし土日はずっと家でゲームしてるらしいじゃん?」


「…仕方ないだろ。友達いないんだから」

そのおかげで小遣いを使う機会が少なく、金には困っていない。


「友達がいないってことは、彼女もいないよね?」


「ああ。女子と話すことはまったくない」


「それだと、大人になってから苦労するよ~。社会に出れば、女と絶対関わるんだから」


姉ちゃんの言う事は正しいが、俺にどうしろと?


「そこで玲奈に協力してもらうの。あんたに女に慣れてもらうためにね」


「玲奈さんが 会ったことがない俺にそこまでする理由は何だ?」


「あたしと玲奈はたくさんの男と遊んできたけど、マンネリしてるんだよ…。だから初々しいあんたがターゲットになったの」


「それって、要は俺で遊びたいだけだろ?」


「そうともいう」


姉ちゃん達のおもちゃになるのは勘弁だぞ…。回避するには、初々しさを見せなければ良い。そうすれば諦めてさっさと帰るはず。


「もうそろそろ来るから、準備できたら玄関に来て」


「わかった。トイレを済ませてからすぐ行く」


無視して部屋に戻っても、姉ちゃんのことだから部屋に入ってくるだろう。逆らっても無駄だし、大人しく従うとするか…。



 玄関先で玲奈さんが来るのを待つ、俺と姉ちゃん。……すると間もなく、玄関の扉が開く。呼鈴の音は聞こえなかったが…?


父さんと母さんは出かけていないし、きっと姉ちゃんが上手く手を回したんだろう。


「こんにちは~♪」


…玲奈さんの笑顔は魅力的なうえ、黒髪ミディアムヘアーが大人らしさを出している。外見は清楚系そのものだ。


「玲奈、いらっしゃい」


「こ…こんにちは…」

母さんと姉ちゃん以外の女の人と話すのって、いつ以来だ? 緊張する…。


「あんた緊張し過ぎ。リラックスして」

横にいる姉ちゃんにツッコまれる。


「君が貴弘君だね? 綾から色々聴いてるよ」


「そ…そうですか…」

姉ちゃん、何を話したんだ?


「貴弘が女に慣れるまで大変そうだわ…。玲奈、後は任せた」


「良いよ♪」

彼女は嬉しそうに答える。


初々しさを何とかできなかった俺は…、玲奈さんのおもちゃになることが確定した。



 「貴弘。これからあたし達、あんたの部屋に行くけど良いよね?」

姉ちゃんが急に訳が分からないことを言い出した。


「俺の部屋? 何で?」


「“彼女”を部屋に入れる練習だよ。玲奈は経験豊富だから、気にしないからさ」


「綾。9人で経験豊富にされちゃうの? 最低でも2桁の真ん中ぐらいはないと…」


今、玲奈さんがとんでもないことを言ったぞ。9人と経験している?


「玲奈はね、清楚系〇ッチなんだよ。騙された男は数知れず…」

俺の耳元で補足する姉ちゃん。


嘘だろ? どう見ても清楚系なのに〇ッチ? 知りたくなかった…。


「清楚系に夢を抱くのは、女に慣れてない証拠。これも貴弘のためだからさ」


「少しずつ大人になってね、貴弘君♪」


「はい…」

こんな事実を知るぐらいなら、子供のままで良いかも?


「結局、部屋はどう? あたし達入れそう?」


「一応片付けてあるけど、キレイかどうかは…」

母さんすら部屋に入れないからな。誰かを入れることを想定したキレイさじゃない。


「貴弘君。全然気にしないから安心して♪」


「わかり…ました」

その言葉を信じるほかない。


「あんたが先導しなさい!」

俺の肩を叩く姉ちゃん。


「わかってるよ」


こうして俺・姉ちゃん・玲奈さんの順で、部屋に向かう事になった。

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