第11話 勇者保護法は悪魔のパスポート


しかし、こうも簡単に行くとはなぁ…


まだ会ってもいない、手にしてない財産をチラつかせるだけでこれかよ…


なんだ…全然『愛』なんてねーじゃん。


ったく、簡単すぎて拍子抜けだ。


俺の言った事に嘘は無い…だから詐欺ではない。


但し、俺が言った報酬を魔王討伐の後に受け取れるのは『品位方正』な存在だけなんだぜ。


多分、お前等は受け取れないよ。


自分で気がついていないんだな。


あれだけ人前でイチャついていれば『付き合っているんじゃねーか』それ位は皆、感づいているって。


夜遅くに男女で、俺を除いて集まって何かしていれば、勘ぐるのは当たり前だ。


恐らく、これは俺の予想だが、勇者パーティは偶に偵察の人間が来て様子見していたり、聞き取りして評判位は調べている気がする。


相手は国で、世界の為に魔王と戦うんだからその位はするだろう。


そうじゃ無ければ、寧ろ可笑しいよな?


だから、彼奴らはもうどう考えても『傷物扱い』になっている筈だ。


貴族との婚姻はあっても王族との婚姻はまずない。


それ処か、下手したら真面な有力者は婚姻なんてしないだろう…自分達でもう自滅していったんだ!自業自得だ、仕方ねーよな。


三人を娶るとしたら、最後の一線は越えて無いとは言え『勇者のお古の女を娶った』と言われ続ける可能性があるんだ!それなりの人間は避けるだろうし、ドルマンにしても『仲間の女を抱いた』その時点でかなり縁談は減るだろう。


だから、俺が言った話はもう無いかも知れないし…叶ってもスケールダウンする筈だ。


それより、何より…『俺の存在』だ。


今迄、俺は親友だと思っていたから、評判が少しでも良くなるように、頑張っていた。


報告書だって、如何に頑張っているか、出来る限り嘘にならない範囲で脚色していた。


だが、親友で無い以上はそんな事はしない。


それに、今現在はイザベルがそれをしている筈だが、まぁそんな器用な事、彼奴には出来ないだろうな。


これからは『下がる事はあっても上がる事は無い』


この間のセシリアの宝石もそうだし、ドルマンの風俗もそうだ。


今は彼奴らに利益や甘い汁を吸わして…暫くしたら俺も吸うから評判なんてだだ下がりだ。


勇者保護法は悪魔のパスポート。


使い方次第じゃ、何でも出来るんだからな。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る