51-2
俺はダミーの荷物を適当に置いて着替えだけ済ませた
勿論、生活魔法で体はさっぱりさせている
「机と椅子もいるか」
個室だけに1人分のセットしかない
インベントリに放り込んであった4人用のダイニングセットを取り出して食料を移してから、宿のテーブルとイスは窓際に移動した
海が見えるのがありがたい
「個室なのに結構広いね?」
同じように着替えてきたシャノンとルークがノックだけして入って来た
「テーブルが大きい」
「これは自前だ。宿のはあっち」
窓際を指して言う
「なるほど。流石インベントリ?」
「そういうことだ」
「でも何でこんなセット?」
「昔母さんが捨てるって言ってたから貰った。今の家に引っ越す前に使ってたやつらしい」
「そうなの?新品かと思った」
「母さんが作ったやつだ。ソファーセットとかもついでに貰ってる。こんなとこで役に立つとは思わなかったけどな」
「確かに。ねぇ、食べていい?」
「ああ」
俺は果実水を取り出して2人の前に置いてやると、自分用のエールとリトス用の小皿に入れた水をテーブルに出した
「リトスは何を食うんだ?」
『えとね、あれ』
指したのは白身魚のフライだ
「ん」
俺は自分の皿に1枚取ると1cmの立方体サイズでリトスの前に置いてやる
「やっぱ海の側だけあって魚があるのがいいな」
「僕魔物の肉しか食べたことなかったんだよね」
そう言うルークは既にフライを2枚平らげて、今は焼き魚を頬張っている
迷宮のお陰で魔物の魚肉ならどこにいても入手できる
でも一般的な魚介類は海の側でしか食べれない
凍らせて配達なんてことは行われてないからだ
でもこの町の屋台でも刺身なんかは売られてなかったんだよな
明日海に行って確認してみることにしよう
「ここって近くに上級迷宮があるんだよね?」
「行ってみたい!」
「ああ、いいかもな。流石に踏破は無理だろうけど途中まででも行ってみるか?」
「「行く」」
「でもこの町を堪能したりこの辺の依頼も受けたいかも」
「せっかくだしこっちに知り合いも作りたい」
「…なら奇数日に迷宮と依頼、偶数日は自由ってのでどうだ?」
「いいかも。真ん中の日を依頼にしよ~?」
「ああ、俺はそれでいい」
「僕もいいよ。偶数日が自由って決まってたら町で友達出来ても予定立てやすいしね」
その言葉に俺とシャノンは顔を見合わせる
「友達って言うよりデートね」
「デートだな。何人引っかかる事やら」
「ルーク“たらし”だもんね」
「酷いなぁ?かわいい女の子と過ごすのは至福の時間だよ?」
「ん~私もかっこいい男のこと仲良くなれるかなぁ?」
「お前は引っかからないように気を付けろよ?だまされやすいんだから」
「分かってる。シアも彼女出来るといいね?」
「…こんな遠くで作る気はねぇよ」
「遠くなくても作る気ないくせに」
「ほっとけ。大体無理に作るもんでもないだろうが」
煩わしいだけだろうに
俺は心底そう思う
まぁ母さんたちを見てるから恋愛自体を否定する気は流石にないけどな
「ねぇ、シアは明日は何する予定?」
「ギルドで依頼の確認したあとに海」
「じゃぁ一緒に行く」
「私も」
「なら明日は一緒に行動だな」
リトスに次の料理を切り分けながら言う
今まで食べたことがない魚料理にご機嫌だった
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