50-2

「まさかここまで表示されるとは…次からはちゃんと見るべきだな」

「なんか不正してるみたいな気もするけどね」

「そんなの今更じゃない?エンドレスだって散々使ってるし」

「実際倒すのは俺達だから問題ないだろ。情報貰う事なんていくらでもあるしな」

そう思わなければやってられない何かがある


「たしかにそうだよなー。それにしても弱点業火ってことはタダの火じゃ無理ってことだよな?そんな火で焼いたら素材取れないじゃん」

ルークがぼそりと呟いた


「そういえばシアはどうやって倒したの?」

「窒息させた」

「窒息?前にリアムが迷宮で水魔法使ってやってたやつ?」

「あれを念動力でやった。それしか浮かばなくてな」

「やっぱとんでもない力だなぁ念動力。おかげでみんな助かったし素材も丸ごと取れた」

「このまま食べれないのが残念だけどね。旅の途中で3日間も燻してられないし」

サイズ的にどれほどの食料に化けるのか計算した辺りか


「こいつはとりあえずコーラルさんに声かけてみるかな」

「リストにはなかったよね?」

「ある意味幻だろ。切って殺せないし焼いたら素材が残らない」

ルークが剣聖のスキルを使うときは魔力消費が激しい代わりに父さん達と同等の力になる

つまりSSランクの冒険者じゃないと切り倒せない

切り倒せたとしてもあの毒の返り血は普通の人なら即死だろう

そして業火で焼けば炭しか残らないだろう


「あ~大喜びする姿が浮かぶ」

「私も~」

2人の言葉に俺達は笑い出す


『しあ、ごはん』

「ん?あぁ、そうだな。俺達も何も食ってない」

リトスの言葉にそのことに気付いた


「洞窟探してくる」

「念のため2人で行けよ」

「分かった。シアも気を付けて」

そう言って走って行く

俺はポイズンベアをインベントリに格納して世界地図を開いた

色々弄りながら機能を見つけるのが楽しくてかなり使い勝手がいいことを知った

対象を素材と食料に絞り込むと所々でピンが立つ


「喜べリトス、果実があるぞ」

『わーい』

はしゃぐリトスを肩に乗せたまますぐ近くのポイントに向かう

そこにあるのはブドウだ


「これ?」

藤棚の状態を想像していた俺の目に飛び込んできたのはリンゴの木のような状態でついてるブドウ

しかも1房に3cm大の粒が5つくらいしかついてない

想像したものとあまりにも違う光景に固まった


『とらないの?』

「あ、いや、取るぞ?」

リトスに言われて気を取り直して採取する

鑑定してから1つ試しにかじってみた


「うまいな。リトスもほら」

残った実を渡してやると嬉しそうに頬張る

その間に食べ頃のものは全て採取する


『しあ、あっち』

リトスの指した方向に魔物を示すピンが立ってた


「どこにでもいるフォレストウルフか。大抵群れでいるからあいつらの食料だな」

すぐに走り出し視界にとらえるなり風魔法で首を落としていく

すべてをインベントリにしまい、元の場所に戻りがてら薬草を採取する


「この辺はどこでも手に入るやつだな」

それでも無駄になるわけじゃないから採取する


「あ、シアこっち」

ルークとシャノンが手招きしてるのを見て採取をやめて歩くスピードを上げた


「いいとこあったか?」

「あったよ。広さはいまいちだけど」

「充分だって。テント3つ張ってまだ余る」

「テーブルは出せないよ?」

「串焼きにすりゃいい。さっきフォレストウルフを見つけた」

「何体?」

「5。あと果物もあった」

「「やったー」」

「お腹ペコペコ。果物頂戴」

「僕も」

すぐさまそう言ってくる2人に1房ずつブドウを渡す


「おいしー。それにすっごい瑞々しい」

「食べる果実水って感じ」

言い得て妙だな

糖度が高いのか多少腹にもたまる


「シアまだある?」

ルークの催促にシャノンも目で訴えて来る

何度も繰り返しそうなのを察して5房ずつ渡した

食事を済ませてからコーラルさんに確認の手紙を出しておいた

何事もなければ明後日の昼には次の町に着く

そこから4日ほどでセトイカだ

目的地がすぐ目の前になっていることに心が弾んだ

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