4-2
「それとは別に戦い方もしっかり見とけ」
「戦い方?」
「どんな敵にどう対峙するのか、どんな風に協力するのか、とかだな」
「でも人数違うし」
「それはあんまり関係ない。大切なのはどんな時に協力すると効率がいいかだな」
「ん~」
俺はかなりの割合でソロでやってきたから正直あまりピンとこない
「シア」
「?」
「難しく考えなくていい。見て覚えろ」
「え~」
大雑把すぎる父さんの言葉に力が抜ける
父さんは昔からこういうところがあるんだよな
母さんならもっと丁寧に教えてくれるのに…
「お前はまだ知らないことの方が多いだろ。見て、知って、可能なら盗め。その場で盗めなくても知ってればどこかで役に立つ」
納得いかないのが伝わったのか父さんがそう続けた
「少なくとも俺らはお前たちより場数を踏んでる。それは分かるな?」
その問いには素直に頷いた
「月に1回それぞれが持ってる属性魔法を見せてやる場はあるけど、それと戦いの中での使い方が同じとは言えないってことだ」
「ん…」
そこまで言われてもやっぱりよくわからない
「お前は火と風を持ってるだろ?」
「うん」
「とりあえず俺とアランの攻撃を重点的に見てみろ。見ることで引き出しが増えるはずだ。それをいつでも引き出せるように練習しろ」
「…見て、知って、盗む」
俺は気づいたらさっきの父さんの言葉を繰り返していた
「念動力をサラサのヒントだけで使いこなせてるお前なら大丈夫だ」
「父さん…」
俺は初めて父さんから認められたような気がした
久しぶりに頭に載せられたデカい手に何故か泣きそうになったのは内緒だ
この後から俺は、これまでみたいにただついて回るのをやめた
些細なことでも見逃さないように、しっかり目に焼き付けようって必死になった
「すげ…」
父さんとアランさん絞って見るだけで、これまでと全く違うものが見えて来たんだ
弾丸の戦う姿なんて小さい頃から何度も見てきたはずなのに…
町に戻ってからもカルムさんに引っ付いて歩く
「お、どうしたシア、レイに怒られでもしたか?」
「何でそうなんだよ」
「昔からお前がカルムに引っ付いてるなんて、レイに怒られた時くらいだろ?」
「そんなこと…ある…?」
ギルマスに言われて初めてそうだったかもしれないと気づいた瞬間居たたまれなくなった
自分でも気づいてないこんなことが他にもあるかもしれないと思うとちょっと怖い
でもギルマスよくそんなことに気付くよな?
その後からだ
町の皆が俺のことをよく見てると気づいたのは
それに弾丸のメンバーも母さんやナターシャさんもだけど、驚くほど町のみんなの事を知ってる
どんな店に入っても挨拶は勿論しばらく話し込んだりするんだ
誰々が言ってたぞって伝言みたいなのも多い
最初はスタンピードのいわゆる英雄だからかなって思った
でもそうじゃないんだって分かった
俺はどれだけ沢山の事に気付かないまま過ごしてきたんだろう?
このままでいたくないと、心からそう思った
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