ショートサシ劇台本

武士道彼女！

高校二年生の秋、初恋のお話。

５分強くらいのラブコメです。

話が逸れない範囲内でのアドリブ可です。

※姉妹作「武士道彼氏」もあります。よろしければそちらもどうぞ！

※演者様の性別不問、キャラクターの性別変更→不可

＜登場人物＞

・ヒナタ

行動派の高校二年生男子。家庭科部の部長。

・アカリ

言葉遣いなどが武士チックな高校二年生女子。見た目は大和撫子、中身は武士

－－－－お話はここから－－－－

ー放課後

ヒナタ：(Ｍ)高校二年生の秋、僕は初めて恋をした

アカリ：おぬし、ワシに何用だ？放課後に呼び出される理由がわからぬ…

理由を述べよ

くだらぬ理由であれば叩き切ってくれようぞ

ヒナタ：え？ちょっと待って！…アカリさん、僕からの手紙読んでくれた？

アカリ：ああ、読んだぞ

ヒナタ：内容は？

アカリ：本日放課後…校舎裏にて待つ、必ず一人で参られよ

ヒナタ：大まかな内容は合ってるけど、文面が武士っぽく変換されてる…！

アカリ：あと愛刀を持ってくるよう書いたのは何故だ？

ヒナタ：はい？

アカリ：なぜだ？ちなみにこれがワシの愛刀である

ヒナタ：へぇー…よく使い込んでるね

アカリ：ああ、剣術は幼少期より鍛えておる

ヒナタ：…アカリさん、

アカリ：なんだ？

ヒナタ：……ひ、…

アカリ：……？

ヒナタ：ひ、必殺技ってある？！

アカリ：必殺技だと？

ヒナタ：そう！必殺技！ガトツ的なシンプルかつ強烈な突き技とか…

刀三本で三千ワールド的なヤツとか見えない斬撃飛ばすヤツとか

アカリ：貴様、剣術をなめておるのかーーー！しかも刀は「一本」ではない、「一振」だ！

突き技はまだ良い、三刀流も飛ぶ斬撃など出来るわけなかろう！

ヒナタ：(棒読み)…へぇーそうなんだー

アカリ：人に聞いておいてなんだ、おぬし！その態度は！！

ヒナタ：…あーあー…三刀流は無理でも飛ぶ斬撃、見たかったー

アカリ：はぁ…(ため息)飛ぶ斬撃か、一番出来そうにない技だな…おぬし、漫画やアニメの見過ぎだぞ

だが、ものは試しというもの…えーと…こうすれば…出来るかの…？

(深呼吸)………はっ！！(木刀を振る)

－近くにあった木が切り倒された

アカリ：ほぅ…やれば出来るものじゃな

ヒナタ：……

アカリ：むむ？

ヒナタ：わ……

アカリ：どうした？

ヒナタ：…さん

アカリ：はっきり言わぬか！

ヒナタ：やっぱりできた！飛ぶ斬撃！

…(溜めて)三刀流も出来るよ！アカリさんなら出来る！！

アカリ：おぬし！何たわけたことを言うておる！顔が近過ぎる！ええい！離れぬか！！しかもなんだ？ワシに三刀流が出来ると申すか！！

ヒナタ：これ使って！はい！(なにかを押し付けるように渡す)

アカリ：おっと、……むむ？

ヒナタ：わくわく、わくわく

アカリ：おい…

ヒナタ：わくわく、わくわく

アカリ：…貴様、ワシのことなめておるな？

ヒナタ：わくわく、わくわく

アカリ：話を聞かぬか！！…貴様これはなんだ？…ニッキの良い香りがするぞ

ヒナタ：チュロス

アカリ：…お？

ヒナタ：だーかーらー！千葉ニーランドとか映画館で人気の揚げ菓子、チュロスだよ！

アカリ：菓子だと？！しかも温かい…これは……揚げたてではないか！…

ヒナタ：サクサクッと三刀流やってみて！

アカリ：三刀流の前に…食べ物で遊ぶでないわ！このたわけ者が！！

ヒナタ：じゃあ一緒に食べよう！！

アカリ：ん？

ヒナタ：ここへ来る前に家庭科室で作ってきたから揚げたてサクサクで美味しいよ！

アカリ：あ、ああ…出来たてか、さぞかし美味であろうな

ヒナタ：アカリさんと二人で話せる！って思ったら気合い入っちゃって！

アカリ：さようか…そういえばおぬし、家庭科部主将だったな

ヒナタ：主将！いいね、その響き！僕、部長って言われるより主将って言われたいなあー

アカリ：…やはりおぬし、変わっておるな

－…もぐもぐ

アカリ：おぬし、ヒナタといったな…なぜワシを呼び立てた？

ヒナタ：え？なぜって…えーと…

アカリ：どうした？

ヒナタ：……

アカリ：急に言葉を詰まらせて…

ヒナタ：…あのさ、

アカリ：ああ、

ヒナタ：僕…アカリさんのこと考えると心臓がキュッてなるんだ

アカリ：むむ？

ヒナタ：これって「恋」だと思うんだ！

アカリ：………

ヒナタ：アカリさん

アカリ：…(固まる)

ヒナタ：アカリさん！

アカリ：はっ！…驚いてつい固まってしまった……「恋」と申したか？

ヒナタ：うん！

アカリ：おぬしは本当に変わっておるな…(照)

ヒナタ：そうかな？…アカリさん美人だし

アカリ：ぐはっ！！

ヒナタ：お辞儀もすっごくキレイで

アカリ：…お、おう…

ヒナタ：茶道の授業のときも所作のひとつひとつに品があって

アカリ：…ぐふっ！！

ヒナタ：品があるかと思いきや何故か急に右ひざを立てて座って

アカリ：……かはっ！！

ヒナタ：アカリさんの左手側に刀があるように見えたよね

アカリ：…わ…わ、我が愛刀は…木刀だ……

ヒナタ：アカリさん

アカリ：…な、なんだ？…

ヒナタ：ぼ、僕と…

アカリ：僕と？

ヒナタ：…お…お、おお…

アカリ：……お、お…おおお？…

ヒナタ：お付き合いしてください！！

アカリ：おぬし、…本当に変わっておるな…

ヒナタ：お付き合いしてください！！

アカリ：…わわわ！

ヒナタ：お付き合い…

アカリ：…ヒ、ヒナタ？！

ヒナタ：して…

アカリ：…あ…あ、…

ヒナタ：ください！！

アカリ：あいわかったーー！！

ヒナタ：やったーーー！！！アカリさん！よろしくね！！

ヒナタ：(Ｍ)アカリさんと僕はお付き合いをすることになった

　　　　見た目は大和撫子、中身は武士、アカリさんは僕の「武士道彼女」

－完－