第42話 スレッド
「大丈夫だよ二人共」
マグカップを片手に持った隼人は、心配する二人に色々と説明をしていった。
二人は説明を聞きながらも、お菓子を食べる事に勤しんでいた。
あれやこれやと質問攻めをする二人だったが、そのどの質問にも隼人から完璧な答えを出され、最終的には二人共首を縦に振った。
俺だって何の考えも無く危険に飛び込む馬鹿じゃあない。
ダンジョン内ならいざ知らず、翆ちゃんが捕らわれているのはダンジョン外、リアルサイド。
しかも敵は頭のねじがぶっ飛んでる奴ら。
正攻法でなぞ行くわけがない。そこを二人はきちんと理解してくれたらしい。
あの手この手絡め手でじわじわと追い詰めてやるのだ。
そして最終的には警察の手に引き渡し、一件落着という流れだ。
「納得はしたよ? でも心配じゃなくなったわけじゃあないからね?」
「あぁ、分かっているとも」
「瑠璃はサポートに徹する。後ろは任せろぉ」
「隼人、掲示板はどうなっている」
「クックック、貴様の思惑通り、有象無象が群がってきておるわ!」
「クックック、そうかそうか! 享楽に飢えた者共よ! この俺が興ずるカーニバルを楽しむがいい!」
「「ハーッハッハッハァ!」」
とここで俺と隼人が背中合わせになり、隼人は白衣を、俺はマントをバサリと翻した。
「「おおおぉ~~!」」
それを見た二人は息を合わせて感嘆の声を上げ、パチパチと小さく拍手を送ってくれた。
「隼人さんとコノミって本当に仲いいよね」
「瑠璃、隼人さんがコーチと同じような事するなんて、思っても無かった。新鮮、ギャップ萌え」
「そりゃねー小さい頃から一緒だし。幼稚な遊びに付き合うのも友達の責務かなって思ってね」
「おい隼人。誰が幼稚だ貴様」
「わーかってるよ、冗談さ」
「ふん……!」
ひとしきり茶番を打った所で、俺達は隼人のパソコンの前に集まった。
パソコンの画面にはダンジョン掲示板のスレッドがいくつも並んでおり、その全ての題名が同じものになっていた。
「JKを拉致したPK共に断罪の雨をくれてやる……ってこれ、露骨すぎない!? 絶対バレてるよ!?」
「いいんだ」
「いいんだ?」
俺の返答に、祈も瑠璃ちゃんも首を傾げている。
「あぁ、でなければ面白くないからな」
「でも、こんなに露骨にしたら警察とか動くんじゃない?」
「動いてもらった方が好都合だ」
「通報もちゃんとするからねぇ」
「あ、そうか……」
「それで、このスレッド内に張り付けられてるのが、コノミの配信チャンネル?」
「そう言う事だ」
「んは! 待ってまだ登録者ゼロ人じゃん!? 登録登録! 最初の登録者ゲットぉおおおっしゃああああ!」
携帯でスレッドを開いたであろう祈が急に叫びだし、テンションがダダ上がりしだした。
その豹変ぶりに俺も隼人も一瞬声を出して驚いてしまった。
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