PHASE5
第45話 PHASE5 その1 姉、襲来
水族館デートの翌日、冬馬は再び夏子のいる南田家に向かっていた。
本当は夏子と出かけたい所だが、夏子の姉である朱美さんと
夏子の母親のリクエストで南田家に足を運ぶことになった次第である。
昨日、夏子を送っていた時に晩御飯に招待され、
問答無用でお腹いっぱいに食べさせられたわけであるが。
更にデザートも用意してあったのだが、そこまでは食べきれず、
翌日に一緒に食べようという事になったという事だ。
ついでに料理の仕方も指導するという事で、冬馬には断り切れなかった。
まぁそんな所かな。
南田家に到着しドアホンを押すと、朱美さんの声が聞こえてきた。
「あらぁ〜。いらっしゃ~い、冬馬君!」
ドアを開くと同時に飛びかかるように抱きついてきた朱美さんであったが、
一応警戒をしていた冬馬によって、華麗にスルーされた。
この人の場合は、本当にやりかねないのがわかっていたからなぁ。
「もう、冬馬くんのいけず~~」
「朱美さんのパターン、だいぶわかってきましたよ」
「むぅ~~」
頬を膨らませて不満げな表情を浮かべる朱美さんであった。
しかし、次の瞬間にはいつもの調子に戻っていた。
「でも、そういうところも大好き!」
そしてもう一度ハグしてきたのだった。
「!?」
冬馬も連続攻撃には対処出来なかった。そう来るとはね。流石は朱美さんだ。
「朱美さんは今日も元気ですね」
「もちろん! 私、冬馬君みたいな弟が欲しかったのよ」
「……それは良かったですね。いつから朱美さんの弟になったんでしょう?」
「あら?夏子と結婚したら冬馬君は弟になるのよね?違うの?」
「まだ決まってませんってば。で、夏子はいますか?」
「つれないわね~~。なっちゃんは、お母さんと一緒に買い物に行ってるわ。
暫く帰ってこないわよ」
「身の危険を感じたので、今日は失礼させていただきます。さようなら」
冬馬は朱美から逃げようとしたが、すぐさま朱美に捕獲されてしまった。
何でそんなに素早いんだろ。
そして夏子の部屋とは反対方向に連れ出された。
「そんな事言って、私から逃げるつもりでしょう?逃がさないわよ~!」
夏子の部屋とは正反対の方向に歩く二人であったが、ある部屋にたどり着く。
そこは朱美の部屋であった。冬馬は部屋に投げ入れられ、部屋のカギをかけられた。
もう逃げられなかった。蛇に睨まれた蛙状態だ。
「ねぇ冬馬君、二人で熱い時間を過ごしましょう♡大丈夫、先っぽだけだから」
「朱美さん、それ男が言う台詞……」
そして朱美は冬馬の横に座った。冬馬の顔に朱美の顔が近づいて来る……。
もう逃げられないと、冬馬は目を瞑った。夏子、ゴメン……。
「ふう♡」
冬馬は耳に違和感を感じた。朱美が冬馬の耳に息を吹きかけたのだった。
「はい、冗談はお終い。冬馬君、なっちゃんが来るまでお話、しましょ♡」
もうずっと朱美さんのターンだ。やっぱり敵わないなぁ。
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