第5話 はたらくしかない
「と、とあたん、、、」
目の前、しかも同じ次元という普通ではありえない空間に固まりついてしまった。
トアはゲーセンにある舞台の上にいて、そこから、LIVE配信をしているようだった。
「お疲れ様でした、齋藤選手。大会の結果はいかがだったでしょうか?」
「そうですね。まずは、負けてしまったことへの反省をしないといけないと思います。チームで全敗してしまって、日頃の成果を発揮できませんでした。応援していただいた方、本当にありがとうございました。」
そう言うと、ゲーセンの舞台にいたトアが、楽屋に戻っていった。
「あ、ほ、本物だあ……」
「よし、一人目はお前に決定だ!」
高生は進向の背中を押して、ゲーセン内へと入っていった。
先程トアがいた舞台の横にあったスタッフルームに行って、四人は、ここで働きたいという旨を伝えた。
「ここで、バイトってできますか?」
「バイト希望の方ですね。それでは、面接を行いますので、それまでは、ここでしばらくお待ち下さい」
店長らしき人がそう言うと、楽屋に入っていった。それまではゲームをして過ごそうかなと考えた四人は、アミューズメントコーナーの方に行った。そこには、音ゲーやパチンコのようなギャンブル機械、クレーンゲームのようなものもあった。
「うおお!楽しそう!!」
「やろーぜ!!」
「金、ねーじゃ~~~ん!!!」
「あ」
そうして陰キャたちは、二次元のゲーム機をよだれを垂らして見ている奇人になったのであった。
「そうだあ、スズコさん。僕たちにお金貸してくださいよお」
「残念ながら、それはできません。ロボットにお金という概念は無いのです」
「ちぇっ。」
信が悲しそうにしていると、それを振り払うようにスズコが言った。
「それより、みなさん。面接についてですが、二次元の面接は思ったよりも大雑把、適当でいいです。ただ、敬語や最低限のことさえ守っていれば、きっと受かります。三次元ほど厳しくないですからね。でも、余計なことだけは絶対に言ってはいけません。二次元は、ゆるいですが、スキャンダルにつながりそうなことは、絶対に許しませんからね」
「それでは、津田高生さん。辻原信さん。細井義志斗さん。潮道進向さん。お入り下さい」
「はい!」
四人は元気よく楽屋の中にある一室に入ると、面接官の前にある4つ並べられた椅子に座った。
「こんにちは!よろしくお願いします」
「みなさん。こんにちは。では、早速、みなさんはなぜこのゲーセンを志望しているんですか?それでは、まずは、津田さん」
「はい。私は、御ゲームセンターのバイトとして精一杯働きたいと考えております」
面接ってこんな感じか???
「それでは、辻原さん」
「私も同じであります」
「それでは細井さん」
「私もです」
よしよし、流石二次元。適当にやってもうまくいくじゃあないか!
「それでは、潮道さん。なぜこのゲームセンターで仕事を?」
「私は、とあたんが大好きだからです!!!!」
「!!!」
高生たちは驚いた。余計なことは言うなってスズコさんに言われたばっかりでしょ!!!
「は、はあ、具体的にどのようなところが好きなんですか?」
「はい、あの美しい瞳。透き通った肌……ツヤのある頬……ああ、言い出したらキリがないですう。楽屋で会えるのが楽しみだなあ……大好きだあ!トア!結婚してくれぇぇぇぇ!!」
馬鹿やろおおおおおお!!!!三人は進向を睨みつけた。余計なことは言うな!!
「は、は、は、そうですか……では、面接はこれまでです。後日、受かった方には連絡いたしますので、後に、住所を教えて下さい」
店長は、そう言うと、面接室を出て行った。静まり返る四人。三人は未だに進向を睨みつけていた。
「お前、馬鹿だわ」
高生はそう言うと、ため息をつきながら外に出ていき、義志斗、信もついて行った。進向だけは、その場から動かなかった。
「きっと…きっと…受かってるよね……ははははは」
外に出た高生たちは、先程スズコに招待された部屋がある建物の住所を伝え、報告を待った。
その後、高生たちはスズコの家に戻り、夕食(ゼリー系の格安の飲み物を買って、夜ご飯にした)を飲んで、一夜を過ごした。
(異次元ライフ2日め)
次の日の朝、報告が来た。
しかし、一日目からこんなに眠れないとは……。不安でもう大変だった。
届いていた小包を開けると、採用の報告書と仕事時に着る服が入っていた。
しかし、3着しか入っていなかった。
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