Rebuilding

@nazukeiryuu

プロローグ

 今日は勇者試験の日だ。


「セイは不安じゃないの?」


「全然!やっと夢が叶うんだぞ!」


「でも、絶対に勇者になれるかわからないんだよ…」


「いーやっ!なれるね!そのために修行してきたんだろ!」


「それはそうだけど…」


「俺だけが勇者になっても大丈夫だからな!ユウが助けてってい言ったらどんな場所でも助けに行くからな!」


「次の者前へ!」


「それじゃ!行ってくるわ!」


「どんな結果になっても約束、忘れないでね」


「そっちこそな!」


 俺は剣を持った。だが、どれだけ力を入れてもビクとも動きはしなかった。


「抜けない…。どうしてだよ!」


 ここで終わりか?頑張った時間は?今までのことは?全てがムダだったのか?俺はこれからどうしたら…。


「おめでとう!君は勇者の資格がある!」


 ゆっくりと目を向けるとそこには剣を抜いたユウが居た。

 そこからの記憶は朧げだ。そのあと数日したらユウは王都へと勇者候補が集まるために旅立って行った。


_________


 俺は勇者になりたかった。なんでなりたかったのかももう思い出せないでいるけれど、それでも憧れた気持ちだけは忘れていない。

 一度諦めようとした。勇者になんてなれないってそれでも諦めきれなかった。諦める理由なんてどれだけ思いついてもどれだけ考えても憧れる気持ちは止められなかった。

 勇者に向いてないなんて元々わかっていた。

 

「お前は勇者にはなれない」


 そう師匠に試験の後言われた。でもそのときの師匠は、だから諦めろなんて言わずにその後もいつも通りに修行を続けた。今でも思うんだ。なんであのとき師匠は俺に修行を続けさせたんだろうって。

 結局俺は勇者にはなれなかった。勇者になるには勇者の剣が必要だ。なんたってそれがないと魔族を倒せないからな。

 だけれど俺はどう頑張っても剣が抜けなかった。そのときの絶望感と悔しさは忘れられない。あのとき師匠や弟子の仲間たちの期待に応えられなかった自分が情けなかった。

 たとえ勇者にならなくても、それでも俺のこの憧れが消えることはなかった。

 俺は俺みたいなそんな勇者のなり損ないたちのための組織が存在することを知り、組織に入った。名前は勇者互助組織。勇者が魔族を倒すための時間稼ぎをするための人材を集めている。

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