第11話 守ってあげたい【一ノ瀬】

カチャン。


あああああ可愛すぎる…弱ってる片瀬がかわいすぎる…!!!


さっき、危うく告白しそうになったもんな?!危なかったよあれは!方向転換して正解だった。で?なんだっけ?冷えピタ持ってくって俺言ったっけ?


「(冷えピタそもそもあったっけ…?)」


恥ずかしすぎてあの場から離れたくてかっこつけたこと言っちゃったけど、

まずそもそも家に冷えピタ自体存在すんのか???


俺は冷蔵庫を開けた。


「(うわ!ラッキー。あるじゃん、冷えピタ。しかも未開封だし!最高かよ。持ってこ〜っと)」


***


「片瀬〜冷えピタ持ってきたぞ〜」


「あ、ありがとう…」


俺は冷えピタを片瀬に渡した。

俺は良い提案があった。


「片瀬さ、今日泊まってく?」


「え?」


いや待って。俺まじで何言ってんの?!しかも、ひとつ屋根の下でふたりで一晩過ごすってことだよな?!


「あ、ごめん。あの、嫌だったら大丈夫。てかむしろ、嫌だよな、男子の部屋で一晩過ごすとかありえねえよな。ごめんごめん…」


「泊まりたいな…?」


ドックンドックン

え?今泊まりたいって言った?てことは…一晩過ごすってこ…とだ…?!

やばいやばい。まじで俺のばかやろう!アホ面!!!


「片瀬…?無理しなくて良いんだぜ?泊まりたくなかったら遠慮なく断って良いんだぞ?!」


「一ノ瀬は…私とお泊まり…嫌だ?」


かーたーせーええええ!!!嫌じゃねえけど!決して嫌なわけではねえけど!!!

本当に良いんだな?!良いんだな片瀬?!



***



結局お泊まり会になってしまった。てか、着替えとかどうすんの?俺、男もんしか持って…あ。姉ちゃん…って何俺考えてんだ。姉ちゃんの服を借りるのはさすがに…




なんで貸してくれちゃうのかなぁ??なんで今日に限って姉ちゃん優しいの?いつもサルみたいなのに。って言ったら絶対雷落ちるから絶対言わないけど。


「片瀬ー…大丈夫かー…?」


片瀬が脱衣所から出てきた。


「え?!」


思わず、声が出てしまった。姉ちゃんが着たら普通なのに、片瀬が着ると、か、可愛い…!!


「変…かな?」


「決して変ではありませんとりあえず部屋にお戻りになり寝ていてくださいそうしないと俺がやばいんで」


俺はめちゃくちゃ早口になってしまった。片瀬はきょとんとしていた。

あ”ーもう俺の気も知らないで!!(2回目)


とりあえず、俺も風呂入っちゃおう。片瀬、ちょっと熱あるからもう寝ているだろう。風呂から上がったら歯磨いて速攻寝よう。…あ!!!


***


「片瀬ー?寝ちゃったかー?」


部屋に入ると片瀬は既に寝ていた。生徒会長という大きな責任を担い、苦手な男子に囲まれ、熱が出て…ってもう今日流石に疲れたよな。一日くらい、歯磨きしなくても虫歯なんねえだろ…?一応、夜中起きたときのために、メモ程度の手紙書いとくか。


『片瀬へ

もう寝ちゃってたんで、女の子だから気にするだろうから、もし夜中起きて歯磨きたくなったら脱衣所にある洗面所に置いてある新品の歯ブラシ、使っちゃっていいからな。じゃ、おやすみ。』


よし。書き終わった。我ながら汚え字だな。


俺は、片瀬の方を見た。


「今日もお疲れ様、片瀬。ゆっくり寝ろよ。」


俺は片瀬の額にキスをして眠りについた。

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