第9話 うわぁ!びっくりした…【一ノ瀬】
「(まじで俺の教室から自販機遠いこの校舎の構造、改善してくんねえかな。)」
俺の教室は校舎の一番端にあり、自販機も一番端、つまり俺の教室とは真反対の端にあるので、たまに授業に間に合わない時がある。それぐらい遠い。
「…やっと着いたよ。」
俺がいつも買う飲み物は麦茶か水。過去に友人から炭酸飲料を勧められたことがある、俺炭酸苦手なんだよね。だし、甘い飲み物も苦手。特にオレンジジュースは甘すぎて死にそう。
「げ。」
財布の中には50円玉が2枚しか入っていなかった。
「(ギリギリ買えねえじゃん…ここまで来たのにこの有様かよ…)」
仕方ねえ。教室帰るか。あ”ーまた端まで歩かなきゃいけねえのかよ。ガチだりいな。
スマホで音楽でも聞くか。俺は常備しているワイヤレスイヤホンを耳に付け、音楽をかけた。
ひたすら歩いていると、ようやく角が見えてきた。ここを曲がって階段を上がればもうすぐ教室だ。俺が角を曲がった瞬間…
ドンッ
誰かとぶつかった。同時に、俺のイヤホンが落ちた。
「いったたた…」
「いてて…」
あ、やべえ!相手大丈夫か?!
「あの大丈夫すか!怪我とかしてませんかって…え?片瀬?」
ぶつかった相手はどうやら片瀬のようだった。ちょっと安心した。いや、あの、知人で安心したって意味な?
「一ノ瀬…ううぅぅぅ…」
え、待て待て待て!!なぜ泣く?!そんなに痛かったか?!
「すまん片瀬、えっと、どこ打った?」
俺がそう聞くと、いきなり平手打ちされた。…え?なんで?
「いった…か、片瀬なんでこんなことするんだよ?!ぶつかったのは悪いとは思うけどさ?平手打ちは流石にないだろ?」
「怖かったの…」
「え?」
「怖かったの!!!」
そう言って片瀬は俺に抱きついてきた。一体何があったってんだ…?
「私…一ノ瀬が私のこと…助けてくれると思ったのに…私の声も無視して…酷いよ…」
「だから何の話…」
「さっき私が男子たちに囲まれてたでしょ…?私のこと守るなら、男をかき分けてでも私を助けなさいよ…!!」
守る?俺、守るなんて言ったっけ…?
「あんたが言った、私についてくるって…私を守ってくれるんだと解釈したんだけど間違ってたの…?」
確かについていくとは言ったけど…守るとは言ってない。でも、これはそう解釈させてしまった俺に責任があるのか?
「ご、ごめん、片瀬。そうやって言ったつもりはないよ。だけど…片瀬が望むんなら…死ぬまで守ってやるよ。」
もうこれほぼ告白だろ俺ぇ!!!!なに言ってんだよ?!
「ふふ。なにそれ。告白みたい(笑)」
よ、よかった…気づかれてなかった。
片瀬は俺から離れた。気持ちが落ち着いたみたいだ。
「「あ、イヤホン」」
俺らは同時にイヤホンを拾おうとしたので、手を合わせる形になってしまった。
「あ。」
「ご、ごめん。」
俺は即座にイヤホンを取った。
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