第228話 ラスベガスダンジョンボス戦開始
四十層の守護者だったヒュージミスリルスライムをレールガンの一撃で葬り去ったロジャーに聞いてみた。
「ねぇロジャー、なんでそのままイカズチで攻撃しなかったの?」
「ああ、金属系の敵は電気をそのまま受け流すんだ。それで困ってたんだけど電力の供給問題以外は実用段階にあったレールガンと組み合わせてみたら、ドンピシャだったって感じだな」
「そうだったんだ。でもあと一回しか使えないから、ボス戦まで大事に取っといてね」
「勿論だ。まだ俺にはギフトの攻撃もあるし任せてくれ」
ドロップは当然の様にミスリルのインゴットが出たよ。
守護者を排除して四十一層への階段を下りる。
四十一階層に辿り着いた時に、グレッグがハッとした表情をした。
「どうしたのグレッグ?」
「ここだ。俺が夢で見たダンジョンの風景は……」
「えっ? ニコールさんの後姿を追っかけたって言ってたとこ?」
「ああ、そうだ」
「ねぇ、グレッグはニコールさんが昨日から姿を消したって話は知ってた?」
「なんだって? それは本当か。もしかしたらあの夢の通りの事が起きるのか?」
「わからないけど、可能性はあるかもね」
でも、いきなりラスベガスダンジョンの四十一層へ現れるなんて事があるのかなぁ? と思いながらも奥へ向って進んだ。
一時間弱をかけて、ようやく視線の先にボス部屋らしき巨大な扉が見えてきた。
そしてその前には……
「ニコール!」
グレッグが叫んだ。
だけど、ニコールさんらしき人影は振り向くことなく扉を開け放った。
グレッグが猛ダッシュで扉へ向う。
私と希も箒と桃ちゃんで飛んでいたから、グレッグを追っかけた。
ロジャーが叫ぶ。
「グレッグ! 止まれ」
うーん……指揮官としては絶対ダメダメな行動だよね。
「TB! グレッグを止めて」
「うにゃ」
箒の先から飛び降りたTBが一気に巨大化して扉の前に立ちふさがった。
すんでの所で、グレッグの突入は防げたけど……ニコールさんらしき人影は中に入り扉が閉まった。
「心愛、ニコールが危険だ。なんとかできねーのか」
「グレッグ落ち着いて、扉の解読もしないで中に入るとか絶対ダメだよ」
「だが、ニコールが……」
そこで追い付いてきたロジャーがとりあえずグレッグを殴り飛ばした。
「この馬鹿野郎が、お前はステイツの誇るチームβの指揮官だぞ。私情で動くなんて行動を取るんじゃねぇ」
希がつぶやく。
「ロジャーのくせに、まともっぽい事言ってますよ先輩……」
「希……そこは、そっとしておいてあげて」
だけど扉が閉まってしまった状態ではどうにもできないからなぁ……
って思ったんだけど……
「ねぇロジャー、中に挑戦者が居る時って扉が消えるんじゃなかったっけ?」
「ああ、そうだ。ありゃ? 扉があるな。心愛、とりあえず謎文字の解読を頼む」
「うん」
どうやらニコールさんらしき人影は、ダンジョンからは挑戦者と認められない存在だったようだ。
『すべてを賭ける勇気はあるか? 勝者には女神の祝福が訪れるであろう』
「こんな内容だったよ……また、戦闘とは違う内容な気がするよね」
「わからねぇな。行ってみるか……」
グレッグが扉に手をかけると、問題なく扉が開いた。
「ナニコレ?」
扉の向こうに広がっていたのはカジノだった。
一面にレッドカーペットが敷いてあり、ルーレットのテーブルが一台、それを取り囲むように四つの席が用意してあった。
そして、ルーレットディーラーの位置には見事なプロポーションを誇るニコールさんが、バニーガールスタイルで立っていた。
うさ耳カチューシャにボブテイルのしっぽ、網タイツにハイレグスーツ、肩もむき出しになっている。
思わず綺麗だなーって見とれちゃった。
「ニコールさん。何してるんですか?」
そう問いかけてみたけど、見事にスルーされちゃった。
感情の無い表情で、淡々とルールを説明する。
「勝負は十回、イカサマは無いわ。レッドオアブラックで勝ち続ければあなた達の勝ち、挑戦は一回だけよ。一度負けた人は二度と挑戦できないわ。グリーンはディーラーの勝ちよ」
えーと……グリーンに入らない場合でも千二十四分の一の確率でしか突破できないって事で、グリーンは0と00の二つだから十九分の一かぁ。
えーとイカサマ無しだったら計算上は大体千七百八十五分の一くらいだね。
これを突破できる方法ってあるの?
でも、なんだかおかしい……
例えばアメリカで考えればロジャーたちにここに連れてこさせれば千七百八十五人の隊員を連れてくるなんてそう難しくないはずだよね。
それだったらダンジョンの攻略条件で考えればハードルが低すぎる気がする。
きっとそこからが本番なのかも……
心眼でルーレットディーラーのニコールさんを視てみた。
~~~~
ルーレットディーラー
攻撃力 1
防御力 1
敏捷性 1
魔攻力 1
魔防力 1
知能 1
運 1
~~~~
これは……
ニコールさんの姿をしているだけで、あくまでもルーレットのディーラーキャラクターなんだ……
それなら……
そう思ってステータス調節を立ち上げ、運極に振ってみた。
錬金術師の補正を入れても1320にしかならなかった。
後、465足らないな……
その時にまだ使ってないスキルがあった事を思い出す。
【精霊召喚】もしかしてこれで、運に関する精霊とか呼べないかな?
早速発動してみた。
~~~~
【精霊召喚】
攻撃力を司る精霊アグニ
防御力を司る精霊ノーム
敏捷性を司る精霊シルフィー
魔攻力を司る精霊ウイスプ
魔防力を司る精霊シェイド
知能を司る精霊ウンディーネ
運を司る精霊ラッキー
のいずれかを召喚できる。
自身のレベル×一分間、それぞれに応じた能力を五十パーセント高める。
一日一度しか使用できない。
~~~~
あったー!!
早速ラッキーを召喚する。
これで私の運は1980まで上がった。
「希、ロジャー、グレッグ私と同じ場所に賭けて」
「心愛、大丈夫なのか?」
「多分、でもきっと続きがあると思うから気は抜かないでね」
「ああ、了解だ」
思惑通りに通りに赤にかけ続けた私は無事に十回続けて勝利する事に成功した。
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