第202話 心愛の初ライブはアヒージョ②
ライブの配信時間が近づいてきた。
「先輩! 今五分前なんですけど、既に待機人数が千人超えてますよー」
「えっ、凄いね。そんなに待ってくれてるんだ」
「最初はチャンネル名の変更を発表しますから、三人でテーブルに並びますよ」
「了解」
配信開始時間を迎える。
『こんばんはー、私たちの初めてのライブ配信に来てくださってありがとー。今日はね、最初にチャンネル名の変更の発表からですー。ドンドンパフパフー』
日向ちゃんの挨拶で始まったけど、いきなりすごいスピードでログが流れ始めた。
真っ赤な文字のスパチャも結構届いてる。
アスモ:1,000円:チャンネル名なんになったの?
ラック:三人ともカワユス
コッコ:パイセンちゃんこん-
だいすけ:ホープ相変わらず色々ちっちゃいな
どりゅー:ヒナちゃんこんこん-
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『みんな、ありがとーねー。アスモさん初スパチャありがとー。早速だけどチャンネル名は『心愛と希と戦闘メイドの美味しいダンジョン生活』に決まったよーこれからもよろしくね』
りゅうや:サオリンチャンネルから来ましたー
ドール:3,000円:一昨日のサオリンチャンネル見たけど、心愛ちゃんと希ちゃんは本名なの?
さくや:なぜヒナちゃんだけ戦闘メイド……
rui-zi:ヒナちゃん……一番戦闘シーン少ないと思う
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『候補は他にもあったんだけどね、一番ゴロが良かったからかな? 因みに他の候補は『賢者と竜騎士とメイド』とか『D-CANチャンネル』なんてのも候補としては考えたんだけどね』
ガウス:って、心愛ちゃん賢者JOB持ち?
猿:希ちゃんはやっぱり竜騎士なのかウラヤマー
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『たくさん質問も来てるけど、質問へは後で実食タイムの時に出来るだけ答えるね。今日はライブ配信第一弾として『ダンジョン甘えびとダンジョンホタルイカのスペシャルアヒージョ』を作るからしっかり見てくださいねー。美味しさは保証するからね』
甘えびと下ごしらえをしたホタルイカに摺り卸したニンニクとスモークパプリカパウダー、塩コショウ、イタリアパセリのみじん切りをしっかりと揉みこむ。
カヴァを材料全体が浸る程度に入れる。
アヒージョ用の陶器のカスエラと呼ばれる鍋を用意してオリーブオイルを深さ三センチほどになるようにそそぐ。
二ミリメール程の少し厚めにスライスしたニンニク一個分をカスエラに入れて火にかける。
油が煮え立ったタイミングで鷹の爪一本の種を抜いてカスエラに入れる。
十五秒ほどで鷹の爪は取り出す。
ニンニクの端っこに色が付き始めたタイミングで野菜を投入する。
ロマネスコだけは火の通りが遅いので一度、塩水でゆがいてから使うよ。
ロマネスコ、マッシュルーム、プチトマトの順番で入れてね。
最初に用意した甘えびとホタルイカの余分な水分を一度切ってからカスエラに入れる。
後は一煮立ちしたら出来上がりだよー
出来上がる直前に追いオリーブオイルをかけて香りを高め、フレッシュレモンを絞る。
最初に取り除いた鷹の爪も飾って完成。
料理をしている間にも大量のチャット&スパチャが届いたよ。
この時点で、同時接続人数は十万人に達していた。
「先輩! 凄いです。同接十万人突破ですー」
「わー、凄いねー。皆さんありがとうございますー」
さぁ! 実食タイムだよ。
レイラ:咲のチャンネルから来ましたーお料理美味しそー
進:同じく咲ちゃんからですー。作ってみたくなったー
りょう:サオリンチャンネルからですー、食べたいー
ニャー:俺たちのパイセンちゃんがどんどん人気者になっていく嬉しいけど寂しい
canday:2,000円:探索者養成学校に合格して同級生を目指すよ
由香:心愛、私も食べたいよー
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テーブルには杏さんと希も座っている。
日向ちゃんが手際よく出来上がったアヒージョを運ぶと軽くトーストしたバケットを用意する。
私もコックコートを着たままテーブルに着いて「いっただきまーす」
「うーん、いつもながら最高だね」
「甘えび、殻付きだから食べにくいのかと思ったけど、全然頭からそのままいけちゃいますぅ」
「いつもながら見た目も超綺麗ですよね」
「ホタルイカもプリプリしていてしっかり味が染み込んでて美味しいわぁ。バケットに染み込ませたスープも絶品だよね。ワインが欲しくなるわ」
その後のコメントもメッチャ盛り上がって、スパチャも三十万円を超えてたよ。
外人さんのコメントも凄く多いんだよね。
嬉しいなぁ。
『みなさん、私たちの初めてのライブ配信に来てくれてありがとうございます。次はダンジョンからのライブもやりたいと思いますから来てくださいねー』
りゅうじ:料理の途中で流れてたダンジョンホタルイカの倒し方が凄かった。雷魔法で百匹くらいのホタルイカ瞬殺とか
さくら:って言うかダンジョンホタルイカって普通のスルメイカより大きいんだね
じゅん:光ってなかったら絶対ホタルイカってわかんない
スミレ:甘えびもロブスターより大きいとか……
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『ダンジョンで魔物として出てくるときは大きいんだけど、ドロップに変わると普通より少し大きい程度になっちゃうのだけが残念なんだよね。でも味は超美味しいから、みんなもぜひ手に入れて食べてみてねー』
慶子:ダンジョン協会で売ってる?
すみれ:東京には売ってなかったと思う
かいじ:金沢支部のマーケットにはあるよ。高いけど
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『まだまだ沢山コメントいただいてますけど、今日はそろそろ配信終わりたいと思います。次の配信はまた前日に告知だしますのでSNSの登録もよろしくお願いしますねー』
『戦闘メイドからのお知らせでーす。次は私カメラマンとして金沢ダンジョン十一層からの様子をサオリン先輩のチャンネルにお邪魔しますー火曜日の十七時からだよー』
こうして私たちの初ライブも大盛況で終わったよ。
実食タイムを終えると、スキル獲得画面が現れていた。
今日も【スキル強化】が四つ並んでいたよ。
どのスキルに使うかなんだけど、ちょっと気になってたから【魔法陣】に使ってみる事にしたよ。
魔法陣スキルが【真魔法陣】スキルに変化した。
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【魔法陣】
自身の持つスキルを魔法陣にして付与する事が出来る。
アイテムに付与した場合は回数や効果時間の設定もできる。
身体に魔法陣を刻めば永続的に使える。
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こんな感じだった魔法陣スキルは
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【真魔法陣】
自身の持つスキルを魔法陣にして付与する事が出来る。
身体に魔法陣を刻めば永続的に使える。
魔法陣をお札に出来る。
お札を張り付ければ手軽に魔法アイテムが作成可能
魔法陣を非表示化できる。
ただし発動時には発光する。
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やっぱりだー、かなり使い勝手がよくなったよね。
非表示なら、女の子でも問題ないよね。
誰かで試したいけど……
見えないと言っても入れ墨だから頼みにくいなー
となると、すでに入れ墨を入れてる人か
あ、アンジョリーナさんとか入れてたはずだよね。
もしかして、クリスマスホーリーの人たちってみんな入れてるのかな?
明日の放課後に会った時に聞いてみよう。
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