第194話 初めてのダンジョン実習
私の班のメンバーは
河合聡美 一年女子 レベル22
畑中圭吾 一年男子 レベル25
矢吹加奈 二年女子 レベル28
間宮玲 二年女子 レベル33
畑段昇 二年男子 レベル35
レベルは気になったので、心眼で見ちゃったよ。
そして付き添いの教官は樹里さんだった。
「みんなはもうSAIAでのステータス調整は終わったんだよね?」
そう聞くと、全員が頷いた。
矢吹さんが私に聞いてきた。
「ねー、柊さんってどれくらいのレベルなの? 班長に選ばれるくらいだから相当だよね?」
「えー、レベルはちょっと恥ずかしいから言えないよ、なんか体重聞かれてるような気がするし」
「そうなんだ。私は地元名古屋なんだけど、同級生の中じゃダントツだったから自慢だったんだけどなぁ。なんか、ここじゃぁ全然雑魚みたいだけどね」
「ここに、早期入学で選ばれてる時点で雑魚はあり得ないし、それに今の時点でのレベルなんて、Bクラスダンジョンなんかが攻略され始める頃には誤差みたいなもんだよ」
「そうなの? よーし、みんなにおいて行かれないように頑張ろう」
「ねーみんな、ダンジョン内で呼び合う時はお互いファーストネームで呼び合う事にしない? その方が伝達も早くなると思うし、チームワークもできやすいと思うから」
そう提案したら、圭吾君だけがちょっと嫌だったみたいだ。
「えーと、柊先輩、俺は今までそういう慣れあった感じでダンジョンに入った事が無かったから、いきなりはちょっと無理かな。今日の所は冷静に観察させてもらうって事でお願いします。ところで柊先輩は、ダンジョン何層くらいまで潜ったことあるんですか?」
「そうだね、私は一番深いのは金沢の二十九層だよ」
「えっ? まじですか。それって再設置前の最深層ですよね」
「そうだね」
「そんな所まで潜れるのなんて日本人だと、ダンジョン特務隊のメンバーくらいしかいないだろ? 嘘つくなら、もう少しバレにくい嘘にした方がいいと思うよ、先輩」
「うーん、別に嘘じゃないんだけどな。あ、今日のこの班の教官で付いててくれる樹里さんは特務隊のメンバーだから、聞いてもらってもいいよ」
私が樹里さんに振ると、樹里さんが苦笑いをしながら答えてくれた。
「えーと畑中君がそう思うのは、とってもよーーーーくわかるよ。でもね、特務隊のメンバーでイエローランクの私じゃ心愛ちゃんに全く敵わないとだけ言っておくね。後は自分で判断してね。因みに一年生でも希ちゃんは私より強いよ」
「えー、まじかよ。希って真田だろ。確かに飛竜なんてテイムしてるから少しは強いと思ったけど、教官より強いっておかしいだろ。じゃぁ柊先輩と真田じゃどっちが強いんだよ」
「普段は私と希と日向ちゃんは一緒のパーティで活動してるからね。一応まだ希には負けないと思うよ?」
そんな話をしてると昇君が言ってきた。
「心愛、時間が勿体ないからさっさと行こうぜ。今日は五層まで進めば解散なんだろ? こんな上層で時間を無駄にしたくないからな」
「あ、ごめんね昇君。それじゃみんなも準備はいいかな。一応おさらいまでに、五層までは、どのダンジョンでも敵の構成は同じだから、ここにいるみんななら難しくは無いはずだし、敵が現れたら順番に一人ずつ倒していくって感じで進もうね」
全員が了承したみたいなので進み始める事にした。
他の班も、軽くミーティングをして順次スタートしていた。
私は出発前の、いつものウオーミングアップでマジカルブルームで素振りをする。
『ッドン』
と、ソニックブームが響いた。
周りのみんなが一斉に私を見る。
「心愛、何よ今の……」
玲が聞いてきた。
「えっ、素振りだよ」
「ちょっ素振りでそんな音でないって、それに……全く見えなかったし」
「気のせいだよ、慣れたら普通に見えるって」
「イヤイヤイヤ、それが見える人は人間辞めてると思う。それ以前にその箒って武器だったの?」
「そうだよ。マジカルブルームっていう武器で、結構色々出来るから気にいってるんだよ」
「色々って?」
「例えばこんなの」
そう言って箒に跨ると、TBを箒の先っぽに乗せてふわりと浮き上がった。
みんなが目を見開いて見つめる。
「心愛……それ絶対おかしいから……どこのアニメの主人公だよ」
「大丈夫、きっとそのアニメの主人公の箒は武器じゃなかったと思うから」
「そういう問題じゃないと思う……」
一年生の聡美ちゃんが聞いてきた。
「心愛先輩、その箒って私も乗れるんですか?」
「えっと乗れるのは乗れるけど落ちたら、地面の染みになるかも……」
その言葉に、みんながブルっと身震いした。
「他の班に負けないようにさっさと進もう!」
そうして進み始めた。
予定通りに交代で敵を倒しながら進む。
聡美ちゃんはレイピアと呼ばれる細剣を使ってスライムの核を一撃で突き刺す。
圭吾君はナックルで、ワームの核を殴りつけて一撃で倒す。
加奈ちゃんは奇麗な剣さばきでビッグGを真っ二つに。
玲は投げナイフでポイズントードの両眼をつぶして倒した。
そして昇君は大剣でゴブリンの首を跳ね飛ばす。
私は箒で角ウサギを壁の染みに変えた。
「心愛……だから、倒した魔物が原形をとどめてないってなんなのよ」
引率の樹里さんは、苦笑いをするだけだった。
他の班の人たちも流石に早期入学者だけあって、五層までの敵なら問題なく倒せてるようでスタートから二時間後には全員が五層のダンジョンリフトから一層に戻っていた。
総括として樹里さんがみんなに声をかけた。
「今日は、ここまでで終了です。お疲れさまでした。みんなの実力が予想以上だったので安心しました。木曜日は十層まで進むので、守護者との戦いなんかもハードになるから頑張ってね。それと、みんなもう予習はしてると思うけど、六層以下の千葉ダンジョンはトラップが出てきます。トラップの発見と解除に関しても学んで行くからね」
今日はこのまま現地解散になったので、私は希たちと合流してサオリンの自宅兼スタジオに向かった。
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