第160話 TBのテイム①
博多へ戻ると杏さんに抱っこされたTBが出迎えてくれた。
桃ちゃんをテイムした希が少し羨ましかったのもあるけど、後でTBのテイムをしてみようと思ったよ。
君川さんが私に話しかけてきた。
「心愛ちゃん、金沢の学校に転校決まったんだって?」
「はい、なんか早期入学っていうのに該当したらしくて、来月早々には転校してくるように連絡を受けました」
「心愛ちゃんたちなら当然そうだろうね、ひとまずはおめでとう」
「ありがとうございます。君川さん達は基本的に金沢が本拠地になるんですか?」
「そうだね、金沢の駐屯地がダンジョンシティ内部にあるから、その施設が正式に特務隊の本拠地になったし、基本的に金沢が拠点になるね。最終的には国内の十二か所のダンジョンをすべて金沢ダンジョンシティ内に移設して、国内の他の地域は安全を確保できるようにしたいと思っている」
「そうなんですね。渋谷ダンジョンとかSランクだから大変そうですね」
「心愛ちゃんにも協力してもらう事が多くなると思うけどよろしく頼むね」
「出来る限り協力はさせてもらいます」
「心愛ちゃんは来月早々に金沢に来るって言ってたけど、その時期に被るように問題が起こるのも理解してるよね?」
「はい、冴羽社長からも聞いていますので……スタンピードですよね」
「ああ、そうだ。今の所可能性が排除出来ているのは、日本とアメリカの二か国だけという状況だからね」
「全然、予想がつかないんですか?」
「各国が発表をしてくれない限りはわからないとしか言えないね。WDAが攻略情報の開示をしていない国への協力はしないと言っている以上、動くことも出来ないのが現状だろうしね。少なくとも特務隊としては独自の判断で他国へ介入する事は絶対にありえない」
「ですよね、高校生の私なんかじゃとても判断のしようがない問題ですから、その辺りは社長が考えてると思いますけど」
「アンリさんは具体的に活動を始めてるのかい?」
「それも私は詳しくはわからないです。でも日本で何か起こるとしたら、その時はちゃんと協力しますから」
そう言うとやっと君川さんも少し安心したような表情をしてくれた。
美咲さんが話題を変えてくれて、国内ダンジョンの攻略予定の話になった。
「国内はね、今度はCランクダンジョンの攻略に移る事になりそうだよ。もしスタンピードが起きる場合はDランクダンジョンなら早期に解決できるけど、それより上のランクのダンジョンだと、必ず被害も大きくなっちゃうからDランクに関しては攻略せずに放置する事になったの」
「そうなんですね、具体的にどこから手を付けるんですか?」
「博多だね。特務隊の一班から三班までは明日から博多ダンジョンの攻略を始める予定だよ」
「そうなんですね。私たちも頑張って最終層に行けるようになっておきますね」
「でも……出来れば攻略する時は、少なくとも私と三佐はメンバーに入れてよ? 出来れば樹里と美穂は外してね。このペースで頑張られると抜かれちゃいそうで心配だから」
「美咲さん……結構それ酷くないですか?」
「酷くなんかないよー」
「でも、樹里さんと美穂さんは学校の方で忙しくなりそうだから、あんまり攻略には参加できないかもしれませんね」
「まーね。博多の攻略に関連してなんだけど、心愛ちゃんにちょっとお願いがあるの」
「なんでしょうか?」
「私と三佐だけでいいから、金沢との移動にここの転移マット使わせてもらえないかな?」
「他の人は使わないっていうなら、いいですよ」
「助かるー、ありがとう心愛ちゃん。他のメンバーは今日の夜から兵員輸送用のトラックで移動してくるから、ちょっとかわいそうだけどね」
「そうなんですね、大変そう」
話が終わって、私はTBを連れて部屋へとこもった。
魔道具やスキルオーブも作らないといけないからね。
一段落付くと、TBをテイムする事にした。
『TB、私とずっと一緒にいてくれるかな?』
パスを繋いで、そう語りかけると、いつもより力強くこくんと頷いてくれた。
【アニマルテイム】を発動すると、脳内に声が響いた。
『黒猫をテイムしました。名前を付けますか?』
そう聞かれたので勿論『TBだよ』と答えた。
早速ステータスを鑑定する。
~~~~
『TB』 黒猫 0歳 雄 LV1
HP 1500/1500
MP 150/150
攻撃力 30
防御力 15
敏捷性 15
魔法防御 15
知力 15
運 0
サイズ調整
~~~~
なんか思ったより全然強いな。
子猫なのに戦えたりしちゃうのかな?
TBに話しかけてみた。
「ありがとうTB、これからはずっと一緒だよ」
するとTBから返事が返ってきた。
『心愛、これからは心愛に近づく敵は、おいらがやっつけるからにゃ』
いきなり喋れるようになったTBにびっくりした。
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