第149話 空飛ぶ箒とモンスターカプセル
「葛城将補、無事に千葉ダンジョンの攻略を終了いたしました。クリア報酬はセレクトJOBの習得でした。有益すぎるためにこのまま移設しても良い物か愚考し将補に確認を求めるために帰還いたしました」
「攻略完了ご苦労です。移設の件は取得スキルが有益であればあるほど逆に奪われる危険性が増すと考えるべきだ。再入場が可能になればすぐに三佐が取得し、予定通りに金沢ダンジョンシティへ移設を行いなさい」
「了解いたしました」
◆◇◆◇
夢の国ダンジョンの攻略を終えると心愛たちは博多へと戻った。
「先生、レベルの方はどんな感じですか?」
「俺でランキングが219,876,785位まで上がった。一昨日柊に頼むまで十四億位くらいだったから十二億人くらい抜いた感じだな。なぁ柊、ランキングってこんなに上がるものなのか?」
「それは他の人には内緒ですよ? そんなに簡単には上がりません。五億位以内にいるような人たちは五年前にダンジョンが現れてからほぼ毎日のように狩りを続けているような人たちです」
「そうだよなぁ、今の先生たちでどれくらいの階層の敵まで相手に出来るものなんだ?」
そう聞かれて心愛がSAIAを取り出した。
「これで見たらわかるように、先生達のレベルは今三十二です。普通の探索者の人の場合、スキルを身につけていなければレベルの半分の階層までが凡その攻略可能階層になります。ただし先生たちは今からこれでポイントの振り分けを行ってもらいますので、その場合はレベルと同等の階層までは大丈夫と判断できます」
「と言う事は金沢のスタンピードで溢れだしている魔物なら対処できると言う事か?」
「それはこのままでは無理です。ダンジョンの外ではステータスの効果は十分の一ですから……それで先生達には特別にこれを使っていただきます【リミットブレイク】のスキルオーブです。これを使用する事でダンジョンの外でもダンジョンの中と同じステータスでの活動が可能になります」
「柊、それも凄く高価なものではないのか?」
「安くはないですけど、先生達なら悪用する事は無いとわかりますから。これで身につけた力で探索者養成学校の生徒たちを守ってあげてくださいね」
「おう、わかった柊、約束する。何から何までありがとうな」
「柊さん、ありがとう。先生たちが千葉ダンジョンで手に入れた【教師】のJOBって何が出来るのかとかわかりますか?」
「橋本先生、SAISでアナライズした画面でスキルの所に【JOB教師】って言う項目がありますよね」
「はい、ありますね」
「そこをクリックしてみてください。スキルは自分で獲得した物じゃないと詳細鑑定が出来ないので、先生が自分でクリックしないと内容がわからないんです」
「やってみますね」
~~~~
【JOB教師】
自分のレベル以下の人とパーティーを組むことでパーティメンバーの経験値の取得に補正がかかる。
JOBLV1 百パーセント パーティ作成
JOBLV2 百五十パーセント パーティ上限十名
JOBLV3 二百パーセント パーティ上限十五名
JOBLV4 二百五十パーセントパーティ上限二十名
JOBLV5 三百パーセント パーテー上限二十五名
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JOBLV10 五百五十パーセント パーティ上限五十名 覚醒JOB取得
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「こんな感じでした」
「へー、凄く優秀だと思いますよ。私の持っている超成長と同じ感じですね。対象が生徒限定になりますけど。それに普通のパーティ作成は上限が六名だから一クラス丸ごとでも効果が出るようになるのは凄いです。例えばエスケープのスキルオーブを使ったりするときにパーティ全員で一個で済むから超お得ですよ!」
「そうなのね、先生として頑張れそうだわ
たまっていたポイントの振り分けまで終えると、先生たちも帰っていった。
食堂には、杏さんと希と日向ちゃんが残っている。
TBは相変わらず杏さんの胸に顔をうずめてスヤスヤしてるよ。
「日向ちゃん、今日は夜お料理作るからお願いね」
「はい、楽しみにしてます」
「先輩! 私今日【竜騎士】のJOB獲得したじゃないですか」
「うん、そうだね」
「せっかくJOBを獲得しても乗る竜がいないといまいちだと思いませんか?」
「まぁそう言われればそうかな?」
「私、今、ネットで調べたんです。飛竜の目撃情報があるダンジョン」
「そうなの? どこかあった?」
「北海道の札幌ダンジョンで十五層の守護者がワイバーンだそうです。なんとかテイムとかできないですか?」
「テイムかぁ、できない事は無いけど私がテイムしても、希は乗れないからねぇ。何か方法考えてみるね」
「さすが先輩! 頼りにしてます」
夜、お料理を作り始めるまでの間は少し時間があるので、部屋にこもって今日、手に入れた【マジカルブーム】の改造に取り組むことにした。
打撃武器で使うのがメインになるからこのままじゃ少し弱いかな? と思ったけど柄を握っていつものバッティングフォームに構えてみると、箒の部分が棍棒のように固まる事に気づいた。
これって見た目通りの竹箒じゃないよね?
箒の素材を鑑定して見ると、竹にオリハルコンをコーティングしてなじませてある事がわかった。
(超凄いじゃん)
じゃぁこれをベースに魔女の箒の様に飛べるイメージかぁ。
重力魔法を付与したらグラビティと方向転換ですいすい飛べちゃうかもね?
早速錬金してみる事にした。
(うん、成功かな?)
ちょっと試してみよう。
一番人のいなさそうな所は、さっきの千葉ダンジョンの二十四層がいいかも?
そう思って、千葉へ転移して二十四層のフロアまで移動した。
マジカルブルームを取り出すとまたがってみる。
(スカートだとちょっと恥ずかしいな……)
そう思いながら誰もいないし、まぁいっかと柄に魔力を流しながら上昇をイメージする。
ふんわりと浮かび上がると、そのまま方向指定で、前方へ向って重力をかけるとイメージ通りに空を飛ぶことに成功した。
速度も重力のかけ方で、結構自由自在だ。
(なにこれ楽しすぎるよぉ)
夜になったら外で飛んでみよう。
動作確認も終わったので、自分の部屋に戻る。
希が飛竜をテイムしたいって言ってたなぁ。
テイム用の魔道具かぁ。
イメージをしてみると、モンスターを閉じ込めるボールがやっぱり使いやすそうかな? と思った。
ミスリルを取り出して、ソフトボールくらいの大きさのカプセル型に錬成してみる。
魔道具作成でモンスターテイムを付与してイメージする。
【モンスターカプセル】ボールだとなんかダメな気がするから……
~~~~
【モンスターカプセル】
魔物をテイムしカプセルに閉じ込めることが出来る。
対象のモンスターにカプセルをぶつける事で発動。
呼び出すときは、カプセルのボタンを押しながら投げる。
成功確率 五十パーセント
使用MP 1000
テイミングの成功率は、対象魔物の強さと残りHPで大きく異なる。
テイム失敗でカプセルは消失。
一度成功するとそのカプセルは永続的に対象魔物に使用できる。
~~~~
(よし、完成だ)
明日にでも、早速札幌に行こうかな?
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