第38話 世界のランキング状況と氷魔法
日向ちゃん達も帰って行って、すっきりした表情の希と杏さんと三人で世界のランキング事情を聞いていた。
「えぇカラーズの人で軍人さん以外の人達って百万人も居るんですか?」
「そうよ、それでもトリプルに至っては僅か十人でシングルでは一人だけ、後は全部各国の軍若しくは警察の特殊部隊の人達で占められているのが、カラーズの実情ね」
「そうなんですねぇ、シングルの一人ってどんな人とか情報はあるんですか?」
「それはね、元はフランスのレジオン外人部隊に所属していた人で、東洋人だという情報しか無いわ」
「東洋人かぁ日本人の可能性もあるんですね?」
「そうね、無いとは言えないわ。レジオンでは偽名で身分証を作成して行動する事も普通だから、その当時の名前では無いはずだからね、ちなみにランキングは三位よ」
「いつかはお会いして見たいですね、ていうか鑑定してみたいなぁ。どれくらいの差があるのか知りたいですよ」
「でもね心愛ちゃん。私が思う所だと、ステータスの数字がいじれちゃう心愛ちゃんだと、実質差は無いんじゃないかな? 魔法も使えるんでしょ? 今でも既にトップって言ってもいいくらいなんじゃないかな?」
「そうかなぁ? でもレベルも装備も揃った人たちが人数を揃えて探索に当たっている現状だと、中々追いつけないような気もしてるんですよ」
「そうね、探索者が危険なのは間違いないから、焦らずに怪我をしないことが一番大事よね」
杏さんのスマホに着信があり、どうやら相手は熊谷さんの様だ。
「心愛ちゃん、熊谷さんが少しここに寄っていいか聞いてるけど大丈夫かな?」
「はい、お待ちしてますとお伝えください」
「解ったわ、十分程で到着するそうよ」
お話はうまく落ち着いたのかな? まぁ熊谷さんならきっと大丈夫だよね?
「日本のトップグループはどこに行っているんですか?」
「最先端は横浜のはずよ。四部隊が二十四時間体制で交代勤務で攻略を進めて、現在世界の最前線と並んで三十一層を攻略中のはずだからね」
「そうなんですね、私も頑張ってみようかな」
「応援はするけど無理はしないでね?」
食堂側のカギを開けて置いたから、お店の入口から熊谷さんが現れた。
「こんばんは、もうずっと開けて無いお店だと聞いていましたが随分綺麗なんですね? すぐ営業が出来そうですよ」
「掃除だけは母が大好きなので、それで日向ちゃんのご両親達はどうでしたか?」
「川口さんと木下さんとおっしゃるご家庭でしたが、どちらもご納得いただき二度と真田さんや柊さん、三好さんのお宅に保障問題を口にする事は無いそうです。一応念書を頂いておりますので、ご確認下さい」
「良かったです。ありがとうございます。流石、熊谷さんですね。でもどんなお話されたんですか?」
「一応過去の判例を提示させて頂いて、標準的な裁判期間とそれに伴う裁判費用のご説明を致しました。後はそれを理解した上で騒ぎ立てた場合は逆に恐喝行為で告訴をする準備がある事をお伝えした所ご納得いただけましたね」
「なんだか完全にぎゃふんと言わせちゃった感じですか?」
「そうですね、騒げばお金になると思ってただけの感じがあったので、もし裁判にでもなれば、百パーセントこちらの勝ちでしたし、あれくらいでいいと思います。ただ法律関係に疎い方は、それでも騒げば何とかお金に出来るんじゃないかと馬鹿な考えを持つ方もいらっしゃいますので、まだ完全に安心は出来ませんけど」
「そうなんですね……お金って怖いですね」
「でも、お金がある事で救える人や、出来る事も沢山あります。ハッキリ言って柊心愛さんはお金を持つ立場の方です。正しく使って楽しく生きて行けるように、ご協力は惜しみませんので、これからもよろしくお願い致します。まぁご挨拶がわりに今回の件は、サービスで対応させて頂きますので、もし再び何らかの動きが先方からあれば、すぐにご連絡下さい。次は少しつらい思いをして頂く事になりますけどね」
熊谷さんのニヒルな笑みが怖いと思ったよ。
お世話になったお礼に、せめて今日の晩御飯はごちそうさせて貰おうと思い、近所の回らないお寿司屋さんで出前を頼んで食べる事にした。
とっても美味しかったよ。
明日は朝からガッツリと潜ろうかな。
◇◆◇◆
みんなが帰ってから、漬け込んで置いた西京漬けの事を思い出して、お料理する事にした。
そう言えば、お料理の配信ってどうやって撮影するのがいいのかな? 日向ちゃんだったら何かいいアイデアがあるかもしれないから明日にでも聞いてみよう。
西京漬けを『デリシャスポーション』と合わせるには何がいいかなぁ。
ちょっと背伸びしたお料理だけど、焼きチリにしてみようかな? 普通だと魚の骨でお出汁が出る様に開いた一夜干しとかを使って作るんだけど『デリシャスポーション』と合わせるならアラから出るうまみは必要無いし、お味噌の香りがアクセントを与えてくれるはずよね。
ちょっと器がミスマッチになるかも知れないけど、オーブンでマグロの西京焼きを焼いて、グラタン皿に移した後に、デリシャスポーションを注ぎ、蒸し器で蒸した。添えたのはお豆腐だけだよ。
蒸し上がりにスダチを絞ると爽やかな香りが広がる。
「うーん美味しそう」
早速、実食。
「ヴォーノ! だね」
そしていつもの声も聞こえた。
『セレクトスキルの選択権を取得しました』
【火魔法】
【土魔法】
【風魔法】
【氷魔法】
あ、八層行く前に間に合ったよ。
氷魔法にしよう。
~~~~
【氷魔法】
氷神ヘルの加護により様々な氷に纏わる魔法を使える。
アイス LV1
アイスソード LV5
アイスランス LV15
ブリザード LV25
ツンドラトラップ LV50
アブソリュート0 LV100
アイスシールド LV10
アイスウオール LV20
~~~~
うん、予想通りの品揃えね。
これで、八層の砂漠ステージは、楽にクリアできるはずだよ。
明日が楽しみだな。
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