第9話 専任担当

「ふぅ……やっと終わったわ。凄いね心愛ちゃん」

「あ、お疲れ様です。なんだかすいません夜勤明けなのに」


「大丈夫だよ。専任担当のチャンスは中々無いし対象者がいても私がやりたいと思う人じゃなかったりするから逆にちょっと凄いチャンスで舞い上がってるかもしれないけどね」

「あの? 専任担当ってなんですか?」


「あ、知らないよねそんなシステム。Aランクになった探索者に対してダンジョン協会から直接の固定担当者が決まるシステムなの。協会からアイテムに関して優先的に獲得して欲しい物とかあるから、その辺りを日頃から連絡を密にして、頼みやすい状況を作るって事ね」

「そうなんですね……杏さんにはメリットってあるんですか?」


「当然あるわよ! 協会の買取手数料の中から一パーセントが担当者の賞与に上乗せされるわ、例えば今回は間に合わないけど、この鑑定ルーペは買取一億円でしょ、振り込み時には税金と協会の手数料を引いて、八千万円の振り込みなのよね、そのうちの協会の手数料は一千万円だから私の手元にはボーナスに十万円が加算されるって事ね」

「そうなんですね、私が頑張れば杏さんにも利益があるなら頑張りがいがあります」


「そう言ってくれると嬉しいわ、質の悪い連中だとそれをかさに着て肉体関係を迫ってきたりする人たちも居るようだからね」

「それは……大変ですね」


「あ、話は戻るけど今日の買取品の総額は一億百八十万円になるわ」

「ぇ? 多く無いですか」


「ちゃんとした買い取り価格だよ。ポーションⅣとキュアⅣがあったからね」

「そう言えばありましたね確かに」


一応現在のポーション系統の買取価格の一覧表は渡しておくね。


ポーションⅠ 五千円

ポーションⅡ 二万五千円

ポーションⅢ 十二万五千円

ポーションⅣ 六十二万五千円

ポーションⅤ 三百十二万五千円

ポーションⅥ 一千五百六十二万五千円

ポーションⅦ 七千八百十二万五千円

ポーションⅧ 三億九千六十二万五千円

ポーションⅨ 十九億五千三百十二万五千円

ポーションⅩ 九十七億六千五百六十二万五千円


「ランクごとに五倍の買取価格の設定ね、実際はまだⅦまでしか確認されてないわ、それでも欠損の完全再生は無理だったみたいだけどね」

「凄いんですね。頑張って見つけ出して売りに来ますね」


「あ、それと確認したい事があるんだけど心愛ちゃんは『マジックバッグ』ランクⅡ以上の物を持ってるよね? それって協会に売ってもらう事は出来ないかな? 特別に買取プラス、ランクⅠのバッグをサービスで付けるから」

「ぇ? 私のはランクⅠですよ。お父さんの形見だから手放せないですけど」


「あら? おかしいわね、アイテムの総量がランクⅠの上限を超えてたから、てっきりランクⅡ以上のバッグを使ってると思ったのに」


 ヤバッ、アイテムボックス使ってたから、容量の事とか考えてなかったよ……


「何か他にも秘密があったりしちゃってるのかな? 心愛ちゃんは??」

「い、いえっ、そんなことは無いと思いますきっと……」


「まぁ言いたくなった時でいいよ、でも抱え込まないでね、私は結構口は堅い方だと思うからね」

「あ、はい、ありがとうございます」


「これで晴れて心愛ちゃんは、博多ダンジョン所属のAランク探索者として認定されました。買取は振り込みで大丈夫かな?」

「はい、それでお願いします」


「税金と手数料を引いて、八千百四十四万円の振り込みになるからね」

「はい、ありがとうございます」


「それとAランク探索者の心愛さんは専任担当を指名できます。希望の方はいらっしゃいますか?」

「はい! 杏さんでお願いします!!」


「良かった、他の人の名前言われたらどうしようかと思っちゃったよ」

「杏さんがいいです。これからよろしくお願いします」


「専任で付いてる人にだけ渡す特別な名刺を渡すわね。個人携帯も書いてあるから、基本二十四時間で対応させてもらうわ」

「二十四時間だなんて、そんな大変ですね」


「その分貰ってるからね! でも、もっと頑張ってSランクになってくれたら、完全に協会から派遣される個人もしくはパーティに対しての秘書の様な立場になるから、それを目指してくれてもいいんだよ?」

「Sランクって? 発表されてないですよね?」


「表向きにはね、実際には国内で二組いるわ。どちらもパーティだけど年間三億円の納品で認定されるわよ」

「凄いなぁ三億円とか、いつかはなってみたいですよね……私は今から少し狩りを頑張ります」


「無理しちゃぁ駄目だよ?」

「はい、そこは大丈夫です。色々ありがとうございました」


 ◇◆◇◆ 


 それから私はダンジョンに向かった。

 今日は七層のアンデッドゾーンを狙ってるんだよね。


 ぜーーったい聖属性魔法との相性が抜群なはずだから!


(今日のお料理はどうしようかな?)と、考えながら七層へと向かう。


 お肉と卵の組み合わせでまだ使って無いのは、卵とウサギさんかぁ……ウサギさんは火を通しすぎるとすぐ硬くなるから、卵と合わせる料理で『デリシャスポーション』も必要な物だとイマイチ思い浮かばないなぁ


 今日の狩りでいい食材が手に入るかもしれないし頑張ろっと。

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