男達の悲鳴が聞こえるコンパ~異世界合コン2~

かたりべダンロー

第1話 策略の女の合コン①

今夜も俺は酒場"スイケン"へと足を運ぶ。今回の合コンも男四名、女四名での開催だ。男達は全員、初対面の"ソロ"のメンバーで、女達は全員仲間の"パーティー"での合コンだと主催者ギルドから聞いている。


合コン連敗中の俺は、今日こそは彼女を作るぞと気合いを入れる。そして、勢いよく酒場"スイケン"のドアを開け、今回の合コンの席へと着く。


俺以外の男メンバーは既に到着していて、着席している。俺は他の男のメンバー達に軽く挨拶をする。


「初めまして、サークと言います。今日は宜しくお願いします。女性メンバーはまだ来てないようですね?」

「そうなんですよ。少し遅れてるみたいですね」


俺の隣の席の大人しそうな魔法使い風の男が答える。


俺は早速、自分の脳内にあるルックス査定システム通称"リトルサーク"を使い、男メンバーの分析をする。


どいつもこいつも、特徴が際立っている奴はいない。男全員普通のルックスのCランク、又はやや劣るDランクばかりだ。


俺のルックスも普通ランクのCランクではあるが、俺には他の男にはない武器がある。


そうなのだ。実は俺は、脅威の大魔王をたった一人で倒した勇者様なのだ。要するにメチャメチャ強い人なのだ。


だから、ルックスは普通でも女の子にモテるという自信を持っている。今回の合コンには、イケメンはいない。もらったなと俺は余裕の笑みを浮かべる。


そして、俺を含めた男メンバー達は期待しながら、女性メンバーの到着を待つ。


しばらくすると、酒場"スイケン"のドアが開き、女性達が入って来る。男達はキラキラした眼差しで彼女達を見るが、次の瞬間、男達は全員凍り付く。


性格の悪そうな女性を筆頭に、三人の女性達が入って来る。俺はその女性達の事を一言ずつ表現をする。


デブ、老婆、ネクラの三人だ。表現はものスゴく悪いのだが、俺の第一印象は強烈にその言葉に支配される。


男達は、みな驚きの顔と失望の顔で固まる。俺の脳内のルックス査定システムが、異常検知をしている。俺は呆然とし、なかなか状況が飲み込めないでいた。


女性メンバーが挨拶をし、着席する。いや、正確に言うとリーダー風の先頭の女性一人が挨拶しただけで、他の女性達は何も言葉を発しない。


この異様な空気の中、俺は彼女達の分析を始める。


まず、先頭を堂々と歩いていたリーダー風の女性から分析だ。彼女は見た感じ回復士の様な服装をしている。髪型は肩ぐらいの長さまで伸びている。印象としては何か意地悪そうな、そんな顔立ちだ。ルックス査定は、あまり良くないDランクという所だ。


次に隣のデブいや、かなり太っている女性を分析してみる。職業の分別の付かない普通のシャツを着ている。スゴい腹が出ている。ルックス査定は悪いが、最低評価のEランクだ。


次の女性を俺は見る。年齢が90歳を越えている様なお婆さんだ。真っ白な白髪頭で歯がほぼない状態である。年齢制限がないとはいえ、連れて来ても大丈夫なのかと身体の心配をしてしまう。評価はすまないが、Eランクとさせてもらう。


そして、最後の女性だ。身体の周りを黒いオーラの様な物が漂っている。前髪が目に掛かっていて、どんな目をしているのかよく分からない。うっすら笑っている所が少し怖い。この方も申し訳ないが、Eランクとさせて頂こう。


今回初めて、お目当ての女性無しの合コンに俺は遭遇する。他の男性メンバーはどんな反応をしているのだろうか。俺は気になり、彼等の顔を伺う。


みな同様に、テンションの下がった顔をしている。まぁ、そうだろうなと俺は彼等が俺と同じ気持ちなのを確信する。


料理と飲み物がテーブルに運ばれて来る。俺は酒の席で失態を犯している為に、葡萄ジュースを注文していた。


さぁ、乾杯をしようかと女性リーダーが口にするか否かのタイミングで、太った女性が料理を食べ始める。食べ方が早くて汚い。むさぼる様に食べているという表現が正しいだろう。


こんな異様な雰囲気の中、策略合コンは始まって行くのであった・・・・。






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