1章第6話 シャンプーと石鹸を作ろう
入浴剤も作れてドラム缶風呂で美容ケアを極めた。
しかしまだ足りないと私は思う。
体を完璧に綺麗にするには石鹸とシャンプー、リンスがなければいけない。
今のところそれに関する本を読んでみた結果、素材で必要なものが、美容の液体というアイテムだ。
私が前にいた世界なら化学的な元素で作るが、そういったものを持っている魔物が初級の中でも強いクラスの魔物。
調べてみたところ一番強い魔物はA級で一番弱い魔物はH級。美容の液体をはじめとした石鹸やシャンプー、リンスの素材を持っている魔物はG級の魔物だ。
G級の魔物には土竜の魔物である、デビルモール。美容の液体を持っている白いスライムの魔物でホワイトスライム。
また、緑のフードを被って襲ってくる肌が緑色の人型魔物。まどうし。
また、リンスで髪をつやつやにする成分をもっているくらげの魔物。電気クラゲなどがいる。
G級の魔物は草原と海辺に生息している魔物でそこへ行く者は町の人間の中でも強い大人くらいしかいかない。
そのため、10歳の私にはかなり無謀な戦いなのだ。
しかし、ここ最近でお金と経験値を貯め、装備も強くしたのと戦い方もマスターしてきた。
武器は石の斧を装備。鎧は動きやすさ重視の皮のドレス。そして兜も黄色いリボンをつける。
ちなみに黄色いリボンは素早さがあがり運も上がるアイテムのようで私は黄色いリボンで髪型をサイドテールにする。
動きが良くなり石の斧も気軽に使える。これならG級の魔物に対処できるだろうと私は考える。
そんな思いでG級の魔物が生息する草原に行く。
そこで現れたのはデビルモール。敵は1体だが油断ならない。
先にデビルモールが爪攻撃を仕掛けてきた。しかしその攻撃は私にはゆっくりと見える。
私はデビルモールの攻撃をかわし、カウンターで斧攻撃を喰らわせる。
デビルモールは一撃で倒れた。
意外に弱いと思いまたデビルモールを発見したのでどんどん倒していく。
デビルモールが落としたのは獣の毛皮。
シャンプーや石鹸、リンスの素材のリストにはないがタオルを作るための素材にはなる。
こういった素材も貴重な物となると考えて私は集めていく。
一旦家に帰って素材を出してみた。
これにはお母さんもびっくりだった。
「なんなのこれ? これ全部レーモンが?」
「うん、魔物と戦って」
「すごすぎじゃない。大人でも苦戦するG級の魔物を1人で?」
「うん……」
おそらくお母さんは私の才能を認めたのだろう。
そのことが町に伝わって私は有名人になった。
ドラム缶風呂に石鹸。こういったものを開発したことでお母さんが宣伝してぼろ儲け。
結局はお金だった。
これが良くなかったんだろう。両親は贅沢になった。畑仕事をさぼるようになった。挙句の果てには新しい家を建てることも考えた。
結果的に私が行ったことが仇となった。
G級の魔物を倒して素材を集め、シャンプー、リンス、石鹸を作ることも器材を買うことで容易となった。
その私の量産能力がこのような結果となったわけだ。
私は日課の畑仕事を行うがお母さんがそれを止める。
「レーモン、あんた畑仕事なんてやらずに魔物を倒してきなさいよ」
「でも、野菜とか育てないと食料が」
「ああ⁉ 食料だあ? そんなもん買えばいいんだよ」
お母さんが私を睨みつけてくる。もはや横暴な女王だった。
「でも、野菜売らないと」
「石鹸やシャンプーでぼろ儲けじゃないの。それに私に指図する気? 貧乏に戻れって?」
「そんなことは……」
「あんたお姫様目指すならこれくらいしないとよ!」
お母さんは私に暴力を振るった。機嫌が悪いと酒におぼれ、お父さんも女と不倫三昧。
ありったけの金が家族をめちゃくちゃにしてしまった。
私はお姫様になりたいがあまり石鹸やシャンプーを作ったのにそれを両親の金儲けに利用され、挙句の果てにはこんな残忍なことになった。
ありったけのお金は人を狂わす。私はこのことを学んだ。
両親と生活してもろくなことがない。私は何も言わず家を出た。
おそらく両親はお姉ちゃん達を使って私を探し出すだろう。
しかし私も強くなったしお金も稼げるようになった。サバイバルの本なども読んでこういう状況に対処出来るようにした。
アニメやゲームなどの急展開で仲間と離散した際の対処法をこの時に知れて良かったと思う。
家を出て私は魔物に滅ぼされた町に行く。
そこには魔物が多いがどれもH級の魔物ばかり。
私は荷物の中で軽くて使いやすい銅の剣を手に取ってH級魔物達を次々と倒していく。
この時の私は泣きながら戦っていた。
これは10歳で家族を失った悲しみ。10年も同じ家で育ち本を読んで情報を集めてきた。
主に畑仕事で農業がメインだった。でも私の1つの行いで両親の心は変わってしまった。
結果的には自業自得だ。
それでも私は生きる。
明日を生きるために魔物と戦いお金を稼いで旅をする。
今はただそれだけのために行動していた。お姫様の夢はその次。今は生きる。
私の思いに死などない。両親から離れたことは自由を得たようなもの。
だから私はこの世界で、全力で生きる。
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