ワンシーン

青い海に溺れる

⚠︎死ネタ


登場人物

香澄(女)「」

怜(男)『』

_________________




「ねぇ怜くん…」


『ん?何?』


二人で夜の海を眺めていると、溺れてしまいそうな夜の深い海の様な青い瞳を揺らし、艶やかな黒い髪を靡かせた香澄が静かに俺の名前を呼んだ。


「怜はこの世界が好き?」


『……』


「私は嫌い…だって怜以外私のことを誰も助けてくれなかったから…」


そう言いながら香澄は海に近づき、足が浸るところまで行くと俺の方に振り返って手を差し出した。


「一緒に死のう?」


俺は何も言わずに香澄の手を取った。少しの沈黙が流れるが俺はそれを破るように話した。


『一緒に死んであげる。だけど、離れるなよ。』


「うん、分かった」


『俺はこの世界は嫌いだよ。お前を傷つけたからな。だけどお前のいる世界はどこであっても好きだよ…』


そう言ってそっとキスをすると香澄は嬉しそうに微笑んだ。ゆっくり俺たちは夜の冷たく青い海に入っていった。離れないように手を繋いで。肺に水が入り苦しいが絶対手を離さないようにお互い力を込めた。


俺らはゆっくりとゆっくりと青い海に溺れていった。

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