第48話 従魔使い
「え、わたし、まだ
「厳密に言うと、
アニマリートのことばに質問を返すユーナに、イグニスは肩をすくめてみせた。
職業で言う
それは、スキルの有無が職業に直接結びつかない、
アニマリートが望むのはもちろん、テイマーズギルド所属の
「テイマーズギルドに所属する
所属していない
他の
最初の
それにしても、フィニア・フィニスの言っていた話はどこにいったのだろう。当然小金貨2枚という大金が財布には入っていないユーナは、恐る恐るたずねた。
「あの、小金貨2枚でっていうのは……?」
「それは、『テイム』スキルを持っていない子の場合ね。最初だけは
アニマリートのあまりのひどい説明っぷりに、イグニスは片手で顔を覆い、声もなく嘆いていた。深い深い溜息をついたあと、ようやく口を開く。
「アニマ……その話だと、
「あ」
何となく、テイマーズギルド所属の
ユーナは指摘しないように、そっと視線を泳がせる。アルタクスが冷たくこちらを見ていたが、そこは視線を合わせないのが大事である。
「だって、
ごはんづくりも気になるが、ユーナは「アラマートって?」と首をかしげた。
イグニスが丁寧に教えてくれる。
テイムしたい魔物を引き寄せるための薬香が
その他にも、魔除けの薬香などは格安で譲ることができるそうだが、商店でも普通に買えると付け加えていた。正直なひとたちだ。
「えーっと、デメリットって、どういうものがあるんですか?」
メリットについて言及するのはこれ以上避けておいて、あきらかにデメリットであると言うものが何なのかをユーナは問うた。
「どこの所属でも同じなんだけど、加入する際、銀1枚が必要ね。あと、所属先からの緊急依頼とか、長からの指名依頼を断り続けたり、加入後、所属先の依頼を一定数こなさないでいると除名になるのも同じ。
報告自体は記録水晶という宝珠に手を翳すだけだが、テイマーズギルドのある町村に立ち寄る度に行う必要がある。また、その情報はテイマーズギルド間で共有される。「悪用することはない」という契約にはなっているが、記録を取られることに忌避がある人には向かない。
「あと、
「私がいる間はぜーったい
「期待しよう。
さて、大まかな説明ではあるが、以上だ。何か質問は?」
イグニスに問い返され、ユーナは首を振った。
アニマリートは身を乗り出して言いつのる。
「私がギルドマスターを引き受けているのは、
ユーナみたいに、自分でテイムを身につける
その力を、貸してもらえないかな?」
正直、ギルドに所属することの重さがよくわからなかった。
ただ、間違いなくはっきりしていることもあった。
見下ろせば、漆黒の仔狼はユーナの足元で寝そべっている。
今はまだ、その毛並みは足に触れてはいなくて、微妙な距離を保っていた。
アルタクスと、良い関係を築いていきたい。
その道しるべを示してくれた、
ユーナは頷いた。
「はい、よろしくお願いします」
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