第2楽章 しろくろ協奏曲 前編


「なあ、カイ。どうしてなんだ?」


「理由は…………言いたくない。」


「どうして!?みんなが困っているのよ!」


「ちょっとエミリさん!落ち着いてください!」


「そうだよ!みんな一旦落ち着こうよ。」


カイがネイロンジャーになりたくないと言い出した。


「うーむ…………みんなの意見を尊重したいが…………やはり…………。」


浅見先生も迷っている。その時、音楽室のドアが開く。


「失礼します…………。」


「ん…………?君たちは…………?」


僕は入ってきた2人に声をかけた。


「人に名前を聞くなら、まず自分からじゃないのか?」


「まあまあ。今日から転校してきた2人だ。ケイスケ。自己紹介をしてあげなさい。」


「はい…………古城ケイスケです。」


「流川マコトです。」


「住野エミリよ。」


「…………小東カイだ。」


「阿宮シズクと申します。」


「彼らはこの吹奏楽部のエリート5人だ。君たちを加えて7人になるがな。さ、君たちも自己紹介を。」


「今日からここに転校しました。織田フウヤ(おだ ふうや)です。」


「類瀬ライアン(るいせ らいあん)だ。」


「まあそんなわけだ。みんな仲良く…………。」


その時、ピアノが勝手に鳴り響く。


「な…………なんだ!?」


「怨怪七人衆が現れた合図だ!みんな…………今すぐ行くんだ!」


そう言うとマコトはカイの手を掴む。


「カイ…………!」


「……………………。」


カイはマコトの手を振り払い、音楽室から出ていった。


「仕方ない……4人でやるよ!!」


マコトたちは頷き、僕たちは怨怪七人衆のいる場所に向かう。



「一体、彼らは何者なんだ?」


「浅見先生。これはどう言うことですか?」


「ああ、彼らはな…………。」



僕たちは怨怪七人衆のいる場所についた。


すると、そこにはたくさんの人が壁に張り付いていた。


「これは…………一体…………?」


「マグマグ!!まだ人間がいたのか!」


「さっきとは違うやつね…………?」


「なるほど…………と言うことは貴様らがネイロンジャーマグね!」


「我が名はマグネ!ありとあらゆる人間をくっつけるマグね!」


「それはよくわからないが……まずは戦うぞ!!」


「おう!」「ええ!」「はい!」


「「「「ミューズチェンジ!!」」」」」




「炎のミュージック!!ネイロンレッド!!」


「雷のミュージック!!ネイロンイエロー!!」


「風のミュージック!!ネイロングリーン!!」


「海のミュージック!!ネイロンパープル!!」


「世界に輝く音楽を!!」


「「「「楽器戦隊ネイロンジャー!!」」」」


「演奏開始!!」





「……………………。」


俺は小東カイ。ケイスケと同じく、エリートとして呼ばれている。でも今は河川敷にいる。


俺は急にネイロンジャーになれと言われ、困惑している。…………正直、戦いたくない。


「こんにちは。」


俺に声をかけてきたのは今日転校してきた2人だった。


「ここに河川敷は良いところですね。」


「…………ああ。」


「今、みなさんは戦っているんですね。」


「…………何が言いたい?」


「あなたは戦わないんですか?」


「俺は…………戦いたくない。」


「…………どうしてだ?」


もう1人の転校生が俺を見つめながら問いかける。俺は…………答えることにした。


「俺はかつて、喧嘩をしていた。いわゆる不良と言うものだ。」


「そうですか…………。」


「その時、付き合っていた彼女がいた。とても良いやつだった。」


「いたと言うことは別れたんですか?」


「いや…………俺の喧嘩相手に腹いせで………………死んだ。」


「…………!?」


「そんなことがあったのか…………。」


「あいつが死んだのは俺のせいだ…………。そう思い、俺は喧嘩をやめた。戦いはどうしても思い出してしまう。」


「それで…………戦うのを拒否したんですね。」


「君たちはどう思うんだ?」


「僕は…………。」


フウヤと言うやつは少し戸惑っている。


「やっぱり失望するだろう。こんなことをして、今は…………。」


「おい…………。」


「ライアン?」


ライアンと言うやつは俺の胸ぐらを掴む。


「お前がどんなことをやろうが関係ない。けれど、音楽のことを悪く言うな。」


「……………………。」


「そしてだ…………。過去ではなく、今を生きるんだ!!」


「………………!!」


「お前が戦わないなら、俺がやる。例のやつを渡せ。」


「その必要はない!」


その声に、俺たちは振り向く。


そこには浅見先生がいた。


「フウヤ、ライアン。君たちのだ。」


浅見先生はもう2本のマジックタクトを差し出してきた。


「マジックタクト…………!まだあったんですか?」


「ああ、マジックタクトは全部で7本。フウヤ、ライアン。君たちもネイロンジャーとして戦ってほしい!」


「俺たちが…………?」


「…………やはり急だったかい?」


「構いません。俺はやります。」


ライアンはそう言い、マジックタクトを手に取った。


「ふぅ…………野蛮なことは苦手ですが、ライアンが言うならやるしかないでしょう。」


フウヤもマジックタクトを手に取った。


「カイ…………無理は言わない。君に任せるよ。」


「浅見先生…………。」


俺は………………。



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