第9話 ヒャッハー!!!!!

☆中西恭三郎サイド☆


不思議なものだと思う。

こうして3人でそれなりの仲で居る事が、だ。

俺はあり得ない事だと思っている。

奇跡だと思っている。


「中西さん」

「どうした?久城」

「不思議な人ですね。友美先輩は」

「.....そうだな。俺はアイツは好きだぞ。.....恋愛対象じゃない感じでな」

「中西さんは嫌いなのですか?久城さんが」

「そういう意味じゃないぞ。久城。友人って事で好きだ。.....そして恋愛対象に見れないのは.....俺は今は恋愛はしないと思うからそうとしか言えないから、だ」


久城は、そうなのですね、と返事をしながら目の前を見る。

パークのチケットを買っている友美を。

すると友美は笑顔で手を振りながら戻って来た。

はいこれ!、という感じで。

俺は、ああ。すまないな。何もかも任せて、と答える。


「ううん。友達が出来たから全然構わない」

「.....え?.....とも.....だち?」

「そうだよ。私にとっては友達みたいなものだから」

「.....」


何か複雑な顔をする久城。

俺はその久城の背中を叩いた。

それから、良いんじゃないか。それぐらい、と告げる。

久城は困惑しながらも恥ずかしがりながら。

ありがとう.....ございます、と返事をする。


「ただ.....私なんかと友達になっても楽しくないですよ」

「そう言わないで。.....楽しいよ」

「.....友美先輩.....」


私は貴方に出会えただけで奇跡みたいなものだから、と友美は笑顔になる。

それから、何か複雑なものを抱えているのは知ってる。私もそれは同じだから。今は気にしないでいこう、と久城の手を握る友美。

そして駆け出して行く。


「.....良い天気だ」


そんな事を呟きながら俺は空を見上げてから。

そのまま遊園地の中に歩いて行く。

まあ多少、小さな遊園地だけど。

きっと楽しめる筈だ。

そう思いながら。



遊園地の創業は30年。

だから少しだけ使った感満載だけど。

だけどそれでも。

パークの人は親切丁寧だ。


「ねえ!先ずはどうしようか!?」

「あまり激しいものに乗せるなよ。.....多分久城はそういうの苦手だ」

「いえ。私は激しいのは好きですよ?」

「ああ。そうなのか?意外だな」

「ふふふ」


じゃあジェットコースターから!!!!!、と人目も憚らず絶叫する友美。

オイ多少は声を抑えろ。

お前はクソガキ女児か?


まああだ名がそうだけど。

思いながら横でクスクスと笑う久城に赤面する俺。

恥ずかしいったらありゃしない。


「中西さん」

「.....何だ?久城」

「私。こんなに楽しいの.....久しぶりです」

「そうなのか?」

「.....はい。.....楽しくない事ばかりでしたから」

「.....そうか。今日はハメを外したら良いんじゃないか?」


ハメを外すとはどうするのですか?、と聞いてくる久城。

俺はその言葉に、うーむ、と悩んで考える。

それから久城を見た。

ハメを外すってのは例えば人格を忘れるとか?、と言う。


「.....そうなのですね」

「ああ。俺にも分からん」

「.....私は殻に篭っていますからそれは無理ですね」

「殻に篭っている?」

「私は.....人でなしですから」


俺は久城の肩を叩く。

それからそのまま駆け出して行った。

良いんじゃないか?それでも。

今日は楽しもうぜ、と言いながら。

すると久城は目を丸くした。


「俺は久城が楽しむ姿も見てみたいもんだ」

「そんなものが見たいとかおかしな人ですね」

「そうだな。俺はおかしい人間だよ。.....だけどせっかくテーマパークに来たしな」

「.....分かりました。それなりにハメを外せる様に頑張ります」


それから久城は苦笑いでやって来る。

俺達はその手を握りながらジェットコースター.....怖かった。

結構素晴らしい角度のコースターだ。


危ねぇ。

意識が飛ぶ所だった。

友美とかに笑われる所だったぞ。

俺の身体も大概だな。



「あー!!!!!楽しい!!!!!」

「3回もジェットコースターに乗る馬鹿が居るか?」

「そんな事言って君も乗る気だったじゃない」

「うっせぇわ。アホンダラ」


でも何というか。

酔い止め飲んできて正解だった。

思いながら周りを見渡す。

ん?苦情はどこに行った、と思いながら見ると。

男性2名に絡まれていた。


「良いじゃん?一緒に行こうよ。君、めっちゃ髪綺麗だね」

「そうそう。俺達と遊ぼうぜ」


久城はその姿に困惑しながら見ていた。

すると友美がイラッとしながらその姿を見てから。

そのまま、最悪!、と呟きながら歩き始める。

その姿を静止する。


「友美。俺が行く」

「.....え?でも.....」

「良いから。ああいうウザいのに女子を使わせられない」


そして俺は2人の前に割って入る。

すいません。俺のツレです。迷惑かけました?、と聞く。

すると男どもは、彼氏?.....貧弱そうだな、と言いながら笑う2人。

まあ貧弱だけどな実際。

思いながら俺は久城を見てから男どもを見る。


「そういう事なんで」

「いや。待てよ。本当にお前この娘の彼氏か?」


彼氏ではないのだが.....でもそう言っとかないとうるさいか。

久城を見る男ども。

俺も久城を見た。


久城は赤くなりながら頷く。

男どもは、っち。マジかよ。楽しくねぇな、と言いながら去って行く。

俺はホッとしながら久城を見る。


久城は青ざめながらも赤くなっている様な。

そんな訳が分からない表情な感じで前を見ていた。

ん?、と思いながら俺は久城を見る。

そんな久城に、久城?、と尋ねると.....久城は、は、はい、と返事をする。


「どうした?」

「.....い、いえ.....」

「???」


訳が分からない。

そういう感じで見ていると。

おーい、と声がした。

友美が心配げな感じでやって来る。


「2人とも大丈夫?」

「あ.....ああ」

「は、はい」


そして俺達はまた移動をした。

その間.....ずっと久城は何かを考える仕草をしていて。

俺はその姿に首を傾げていた。

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