第8話 チビの筋肉ゴリラ

 龍之介は、ウェイトリフティング部のミオと出会った。

 背は小さいがムキムキ。

 黒髪ショートのパワフルで可愛らしい少女だ。


 この高校に男子生徒は龍之介1人だけということもあり、ミオは性的に油断していたようだ。

 上半身を露出させた状態でトレーニングに励んでいた。

 そんな中で龍之介が部室に入ってきたのだから、動揺するのも仕方がないのかもしれない。

 彼女はバランスを崩し、龍之介と共に倒れ込んだ。


「ひゃんっ! そ、そこは……! だ、ダメですっ!!」


「とても良い感触だ……。これは、俺が今まで触れてきた中でも最高のおっぱいだ!!」


「はぁん……! そんな、恥ずかしいこと……。言わないでください……!」


 龍之介は、彼女の胸を揉み続ける。

 ミオの体は敏感で、すぐに甘い吐息が漏れ始めた。


「あなたが噂の……龍之介さんですか……? 外見だけは格好いいけど、見境なしの性獣で落第間近の落ちこぼれだって……」


「ふっ。よく言われるよ。しかし、噂になっているのか! これは期待に応えないといけないな」


「えっ……? あ、あのっ……!?」


 龍之介は、ミオの胸を揉み続けていた左手を放す。

 そして右手で短パンと下着をずり下ろした。


「あっ、あぁ……!!」


「ふむ……。まだ子どもか……」


 龍之介が彼女の下半身を見て、感想を言う。

 体つきが幼いこともあり、そこはまだ成長しきっていなかった。

 義務教育が伸びた2099年においては、女子高生であっても既に20歳を超えている。

 それなのに未成熟なミオの体を見て、龍之介は名状しがたい背徳感を覚えた。


「龍之介さん……! そんな、そんなところをじっくりと……!!」


「よいではないか! よいではないかー!!」


 調子に乗った龍之介は、ミオの全身をくまなく観察していく。

 胸、くびれ、おしり、股間に至るまで……。


「うぅっ! もう、限界です……! これ以上は――!!」


 ミオが涙目で懇願する。

 だが、龍之介は止まらない。

 そして、その瞬間はついに訪れた。


「いい加減に……してくださいっ!!」


「ぐあああぁっ!!??」


 ミオの繰り出す渾身の右フックが、龍之介を殴り飛ばした。

 彼は、部室から外へと吹き飛ばされていく。

 そして、グラウンドを3転4転して最後は仰向けで止まった。


「あぁ……。素晴らしいパンチだったな……」


 龍之介は呟くように言った後、意識を失った。



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「――はっ! ここは……?」


 龍之介が目を覚ますと、そこはウェイトリフティング部の部室だった。

 彼の体は、ベンチの上で横になっている。


「俺は、確かウェイトリフティング部の部室で……。どうしてこんなところに……?」


「ふっ! はっ!! どりゃああああああ!!!!」


「んん?」


 彼は、近くで誰かが叫んでいることに気づく。

 そちらを見ると、そこではミオがバーベルを上げ下げしていた。

 どうやら筋トレ中だったらしい。


「おおぉ……。相変わらず素晴らしいおっぱいだ……。服を着てしまっているのが残念だが……」


 龍之介の口から思わず本音が漏れる。

 ミオはベンチで横になっている龍之介が起きたことに気付かない。

 そのまま彼は、しばらくの間ミオのトレーニング風景を眺めていた。

 すると、龍之介の視線に感付いたのか、ミオが彼の方を向く。


「あっ!? もう目が覚めたんですか!?」


「おや? やっと気付いたか」


「す、すみません! 私、あんなことは初めてで……。混乱して殴り飛ばしてしまって……」


「いや、それはいいんだ。素晴らしいおっぱいを触らせてもらっただけで、お釣りがくるさ。こちらこそ、同意なく触ってしまってすまなかった」


「えっ……? お、おっぱ――!?」


 龍之介は素直に謝ったつもりだったが、ミオは違うように捉えたようだ。

 彼女は再び、自分の胸を両腕で覆う。


「龍之介さん……。私をからかってるんですか!?」


「ん? いや、本当に素晴らしいと思ってるぞ。それに、反省もしている。だから、そんなに怒らな――」


「私はチビな癖に筋肉ゴリラなんですよ!? そんなの、あ……あり得ないじゃないですか!!」


 ミオが真っ赤な顔で叫んだ。

 彼女は混乱と羞恥で頭がいっぱいらしい。


「そ、そんなに怒らないでくれ。何があり得ないんだ? 君――ミオはこんなにも素敵な女の子ではないか」


「ふ、ふざけないでください!! 私みたいな背も胸も小さい女なんて、何の魅力も――」


「おい、それは言い過ぎだろ」


「――え?」


 ミオが何かを言いかけたところで、龍之介の口調が変わった。

 彼女の瞳が戸惑いの色を見せる。


「確かにミオの胸はさほど大きくない。だが、身長との比率を考えると決して小さくはないはずだ。それに、ミオの鍛え上げられた胸筋。あのウェイトリフティングのフォームはとても美しい。あれには感動すら覚えたな」


「あ、あの……」


「確かに身長が低いことは否定しないが……。だからといって、それがミオの魅力を損なうものか!!」


「はうっ! そ、そんな……」


「ミオの鍛え上げられた胸筋は、俺が保証する! 自信を持て!!」


「ひゃああぁ……!」


(な、何か分からないけど……。私、変だよ……!!)


 龍之介の言葉に謎の力を感じるミオ。

 彼女は自分の心臓が大きく高鳴るのを感じたのだった。

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