今朝見た奇妙な夢

@kobori-s

第1話

 今朝見た奇妙な夢について語りたいと思う。


 しかしこれは夢の話だ。


 ディティールなど細かいことはうろ覚えだし、そもそも辻褄が合っているものでもないし、オチがある話でもない。


 さて、前置きはこのくらいにして本題に入ろう。


 目覚まし時計が鳴り、私はいつものように目覚めた。

 しかし、目覚まし時計を見てみると午前3時。アラームをセットしている午前6時には3時間もあった。

 

 おかしいなと思いながらも、再び眠りにつこうとする。


 あれこれ仕事のことなど思い出しながら、昨日はこうするべきだったな。明日はこうしよう。などと考えているうちにだんだんと意識がなくなっていった、のだろう。あまりよく覚えてはいない。


 再び目覚まし時計が鳴る。


 ああ、もう朝か。

 途中で起こされてしまったから今日はあまり疲れが取れていないな。困ったぞ。

 と思いながら目覚まし時計を止めようと時間を見る。


 午前3時5分だ。


 さっき時計を確認してからまだ5分しか経っていないのだ。


 そんな馬鹿な。さすがにそれはおかしい、と、カーテンを開けてみるが、外は真っ暗闇に包まれていた。


 時計の時刻表示がおかしくなったわけではなかった。


 あれだけいろいろ仕事のことを考えたはずなのに、たった5分しか経っていない。寝ながら仕事をすれば捗るのか? いやいやそんなわけあるまい。


 私は首を振り、再び布団に入った。


 スマートフォンを充電コードごと手繰り寄せる。

 何かサイトでもチェックしてから寝ようか、とも思ったが、携帯の画面はブルーライトの関係か何かで、睡眠を阻害すると聞いたことを思い出した。


 やはり何も見ずに寝よう。


 今度こそ目を閉じて、次に目覚まし時計が鳴ったら午前6時のはずだ。


 そう言い聞かせて目を閉じるも、なかなか眠りにつくことはできない。


 目を固く閉じ、眠ろう眠ろうとする。

 しかし、時間だけが過ぎていく。


 時々風が窓を叩く音を聞く。


 今は何時頃だろう。もう4時は過ぎただろうか。


 三度時計を見るも、まだ午前3時35分だった。

 なんて無駄な時間を過ごしているんだろうと後悔し、もう寝るのをあきらめて電気をつける。


 スマートフォンは触らず、紙の小説ならいいだろうと、本棚から読みかけのライトノベルに手を伸ばす。


 しおりが挟んであるところから読み始めるも、前はどんな展開だったか思い出せず、数ページ戻ってはまたしおりのところまで戻る、というのを繰り返してしまう。


 頭が働いていないのか、内容が全く入ってこない。


 小説はやめよう。マンガだ。マンガならいいだろう。


 何度も読んだことのあるシリーズものの1巻に手を伸ばす。


 やはり安心するな。落ち着きたいときにはこのマンガに限る。


 と、思ったその時、目覚まし時計が鳴りだす。

 午前6時を告げていた。


 なん、だと……。まだ1巻の途中だというのに、もう2時間半も……。


 体は休められていないが、心は安らかな気持ちになり、私は寝床を後にした。

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