クイナ日記
限前零
無題
私の名前はクイナ。宇宙レスキュー隊に入った新入り………だけど、一人ぼっち。
新人研修は、救助犬指示以外全て最下位だから………待機という名の居残りだと思う。
ああ……ひま。嫌味を聞かされるのには飽きたけど、誰もいない隊舎は寂しいな。
私に嫌味をぶつけてきた同期達は皆、正規配属が決まって任務に行っちゃった。
なのに私はシェパード隊に仮配属されたけど任務に呼ばれることはなかった。
心が折れそうだ。どうすれば皆に認めて貰えるんだろう…………?
*シェパード隊、クイナさん。至急オペレーター室へお越しください、繰り返します――――
久しぶりに名前を呼ばれた私は、半信半疑のままオペレーター室を訪れた。そこで聞かされたのは……
*シェパード隊が救助先で消息を絶ちました。
クイナ:………………え?
*貴女に緊急出動要請が来ています。消息を断つ直前に救助要請を行ったようですね。現在目的地とは機器の不具合と見られる障害で通信ができません。バイタルも確認できず隊員全員の生死も不明………一刻も早く向かってください。
クイナ:…………でも、私…一人じゃ何もできないよ……
*現地までは我々オペレーターが航行をアシストします、行ってください。貴女をいの一番に指名した隊長の為にも………
クイナ:うん……分かった……
その後は、本当にオペレーターさん達が全てやってくれた。最低限のビーグル号の操作方法以外は聞いてない。
現地での立ち居振る舞いは………現地で考えるしかないみたい。計器の音が聞こえる中、暇な時はずっと目を閉じていた。
着陸直前まで取り留めのないことを考えていた。どうして指名したのに置いて行かれたのか、どうして私が指名されたのか。
答えは出ないまま、時間だけが流れていった………
*クイナさん、着陸態勢に入ってください。通信が弱くなり始めました、恐らく地表に着けば我々との交信が不可能になると思われます、無事を祈ります――――
クイナ:………………うん、ありがとう。行ってきます。
私は通信を切ると、先輩たちが遭難した未開の星、PNF-404へ降り立った。
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