第49話 とある冒険者のお話
「マスターのとーちゃんとかーちゃんは家を留守にして一体何をしているヴァ・・・・じゃない何しているの?」
桜、今更言い直しても手遅れだよ。
「あー、何か俺が産まれる前は両親共に冒険者だったらしくってさ、同じパーティーに居たらしいけれど、2人はどうやら付き合うようになって、やがて俺が生まれ冒険者を引退したらしいんだよな。」
「よくある事ヴァ!一緒に居ていちゃついてデキちゃったから引退ヴァ!」
「まあよくある事なんだろうけどさ・・・・で、俺が確か10歳ぐらいの時になって、俺が1人でもやっていけるからなのか、2人してまた冒険するようになっちゃってさ・・・・結局殆んど家に帰る事なくあちこち旅をしているよ。」
「成人前の子を放ったからしにして無責任ヴァ!」
「あー、でも金はそれなりに置いていってくれていたからさ、成人までは何とかなったんだよ。」
「で、いい年したおっさんとおばさんが一体何を求めて・・・・まさか若返りの薬を求めているんじゃ?」
「あー、魔法である程度老いないようにはしているみたいだから、見た目は30代じゃないかな?」
因みにティモの母親は10代でティモを出産しており、現在ティモは28歳、つまりまだ40前半なのである。
・・・・
・・・
・・
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「これは私達が求める薬ではないわね。」
「なんてこった!いくらなんでもこれを使えばどっちみち死んでしまうじゃないか!」
「仕方がないわね。元の素材がダンジョンにあると言っていたから、探しに行きましょうか。」
「そうだな、時間もないし、急いで探しに行こう・・・・因みに何層にあるんだ?」
「何だっけ?ええとそうね・・・・38層らしいわ。」
「・・・・一ヶ月近くかかるじゃないか。食料を確保しておかないと・・・・急ごう。」
もう若くない男女の冒険者。
ティモの母親、マティルデ・フローレクと父親のシーウェルト・フローレクである。
2人は現役の冒険者。
一時はティモが産まれた事により冒険者業を引退、冒険者時代の経験を活かし街周辺の魔物を間引く仕事に従事していた。
・・・・
・・・
・・
・
●時は2人が若い頃に戻ります。●
やがて時が経ち、ティモが産まれて10年が経った頃、ティモに問題がある事に今更ながら気が付いた。
注:魔力経路の問題である。
ティモは母親であるマティルデが自身の妊娠に気が付かず、知らずダンジョンへ向かってしまい、その時お腹の子への対策をしていなかったために魔力を遮断しないままダンジョンの壁に激突、お腹の子に後遺症が残ってしまった。
●注:第1話参照
その後後遺症に気が付かないまま幼年期を過ごしていたティモだが、ティモが10歳になるかならないかになってようやく両親は異変に気が付いた。
通常の子供より明らかに太っていたからである。
単に飽食のせいで太ったのであれば直ぐにわかるが、ティモの場合そうではなかった。
調べた結果魔力経路が殆ど閉じており、体内に魔力がたまってしまい、それが脂肪として蓄積されてしまっているという結論となった。
しかも、このままだと満足に魔法を使えない上に、脂肪がたまっていく一方。
やがて成長し、大人になっても何もしなければ改善する見込みがないという。
で、魔力経路を開けるには特殊な魔道具か薬が必要。
ダンジョンで手に入れるか、所持者を探すか、薬を求めるか。
「なんてこった!今まで気が付いてやれなかったとは・・・・」
「だって魔力経路が閉じていると言っても、普通の人はここまで脂肪がたまる事はないのよ!気が付かなくっても仕方がないじゃない!」
「今更そんな事を言っても宣無き事だ。これからどうするかを考えねば。」
「考えるって?」
「幸いな事に蓄えはそれなりにある。ティモが成人までは何とかなるだろう・・・・つまり俺とお前で再び旅に出る、って言う選択肢だ。」
「選択肢ってもうそれしかないわよね?あーゴメンねティモ!お母さん頭悪いからさあ、気が付けなかったんだよ。」
「そう言う訳だが、ティモには言わない方がいいだろう。」
「そうね、ティモが動けなくなる前に見つければいいだけの事だものね。」
「ああそうさ、まだ20年ある。」
ティモ10歳、このまま行けば寿命はあと20年と言われている。
● 作者からのお詫び? ●
ここまで読んで下さりありがとうございます。
ティモの両親は何者?と言う事で投稿しましたが、思ったより長くなりそうで、2話に分けたいと思います。
本篇と密接にかかわりますので、是非とも読んで下さるよう、お願いいたします。
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