第10話
最寄駅から電車に揺られること30分、集合場所の駅に到着した。
スマホを見たけど、特にメッセージは来ていない。10時を少し回ったくらいだし、まだ成瀬さんは来ていないはずだから当然だ。
辺りを見渡すと、時間を潰すのにちょうど良さそうなカフェを見つけたので、入ってみることにした。
店内に入ると、そこそこ空席はあるものの、活気付いている様子だった。土曜日なのに、スーツ姿の人もいるし。仕事前の一杯というやつなのかもしれない。
注文したカフェモカを受け取って、椅子に座る。
「ふう....」
カフェの中から外を眺めていると、ちらほらとカップルの姿が見える。この駅周辺は都会と呼べるほど栄えているわけではないけど、この辺りの中では発展している方だと思う。だから、買い物とかデートの行き先として選ばれやすいのだろう。
そんなことを考えながらぼーっと外を眺めていると、駅の改札から一人の少女が出てくるのが見えた。
「あれって......成瀬さん?」
あの服、なんていう名前だっけ。名前は忘れたけど、おしゃれで大人っぽい服を着こなしている。まるでモデルさんみたいだ。足めっちゃ長いし。
成瀬さん(仮)を観察していると、スマホが震える。
画面を見ると、成瀬さんからメッセージが来ていた。
『ちょっと早く着いたから、その辺り見て待っとくねー』
一緒に成瀬さんの自撮りが送られてくる。画像を見てみると、目の前に広がっている風景と全く同じだった。やっぱりあれが成瀬さんだ。あ、だめだ。なんか緊張でお腹が痛くなってきた。
「私は今からあの子の横を歩くのか.....」
もはや公開処刑じゃん。気が乗らないけど、腹を括るしかない。
『実は私も早く着いちゃって。もう着いてるからすぐそっちに行くね』
成瀬さんにメッセージを返してからカフェを出る。
ああ、こんなことなら普段からもっと身だしなみに気を付けておけば良かった。
重い足をひきずりながら、成瀬さんの元に向かった。
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