第5話 宝石少女と小さなにゃんこ




 宝石少女はある日、小さな子猫に出会った。


 飼い主に捨てられたらしく、段ボールの中に入って、急くように鳴いていた。


 子猫はまだ生後間もない。


 母猫か保護する人間がいなければ、生きてはいけない猫だった。


 宝石少女は、その子猫を探して一時的に保護する事にした。


 宝石少女は願いを叶える事ができる。


 だか、それは言葉でコミュニケーションをとれる相手の願いだけだった。


 動物とは会話できないので、願いを叶える事ができなかった。


 宝石少女は、子猫の世話をしながら、毎日飼い主探しを続けた。


 すると同じクラスの金髪の少年が名乗り出た。


 子猫はその少年の家に引き取られて、すくすくと育っていった。


 ほっとする宝石少女だったが、少年は悩んでいた。


「お前がずっとあの猫の世話をすればよかったのに」と。


 宝石少女は首をふる。


 そうはいかないと言いながら。


 宝石を出すのは寿命と引き換えだからだった。


 いつか死ぬ自分の元に、世話が必要になる動物は置いてはおけないと。


 他の家族の世話は見込めない。


 宝石少女に身よりはないからだ。


 唯一いた家族は、数年前に他界した祖母だけだった。



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