うちの会社のウザイ後輩の話~短編版~

高月夢叶

1話 うちの会社のウザイ後輩

うちの会社には、小さい後輩がいる。 

 

 ライトブラウンのミディアムヘアーが良く似合う彼女。こんな言い方は古臭いかもしれないが、いわゆる高嶺の花というやつだ。   

  

   

  

 そんな、手が届く筈もない彼女を俺は観賞用として目の保養で視認するだけの只の後輩だ。   

  

 春風はるかぜ咲実えみ今年の春から大学を新卒してうちの会社に入社してきたド新人だ。そんな彼女の教育係に、任命された。そうしたっことで彼女の裏の顔を知ることとなった。   

  

   

  

 何故か、俺の前でだけウザ絡みしてくる小悪魔な後輩と化していた。どうしてこうなった。   

  

   

  

 今までは会社のアイドルとして、認識してきた彼女のことを今では、ウザ可愛い後輩と認識を改めることとなった。   

  

                ***   

  

                 

  

会社の昼休み。 

 

それは日々、ブラック企業で働く者に取っては社内で唯一の癒しの時間だ。   

  

昼休みという限られた隙間時間で何をするのかというと、俺は、スマホを制服のポケットからスマホを取り出すと、PINコードを入力してロックを解除する。   

 

昼休みの時間を利用して、なにをするかというと日々、WEB小説を読むのが昼休みのルーティーンとなっている。俺にとってのにとっての癒しの時間だ。   

  

だから昼食は、いつも簡素なもので済ましていた。 

 

いつも片手で食べられるソイブロックやカロリーメイドなどの味気の無い昼食になる。   

 

なのだが、ここで邪魔が入る。 

 

 いつも俺が小説を読んでいるといつも、必ずといっていい程邪魔が入る。   

  

  後輩の、春風咲実だ。   

  

   

  

なんとも春の爽やかさを感じるいい名前だ。   

  

   

  

いや、名前を褒めている場合じゃない。名は体を表さない。コイツは爽やかさとは無縁なのだ。   

  

   

  

俺は、春風の教育係を命じられてから直属の、後輩となった。   

  

   

  

「先輩、いつもそんな昼食ばっかり食べていると栄養が偏りますよ。ちゃんとバランス良く食事を摂ってください!」   

  

「いいよ別に。腹に溜ればなんだっていい」   

  

春風は、職場に居るときはライトブラウンミディアムヘアーを後ろでポニーテールしている髪を結っている。背丈は中学生みたいに小さいのに女性として起伏が必要な部分には十分過ぎるくらいあって、ミニグラかってぐらいのスタイルの良さだ。   

  

 大事な後輩だからエロイ目では見ていない決して。   

  

正直、昼休みに時間を削ってまでちゃんとした食事をするのが煩わしい。食堂へ行けば、定食などの飯が食えるけど、いかんせん。食堂の喧騒けんそうの中は、嫌いだ。   

  

  だから俺は、デスクで食事を済ませる。   

  

  「もー、そんなこと言ってー。わたしがお弁当を作ってきてあげましょうか?わたし、いつもお弁当をも作ってきているので、先輩の分も作ってあげましょうか?」   

  

   

  

    

  

   

  

「あ、ああ別にいい」と素っ気なく言い視線をスマホに視線を落としたまま適当に相槌を打つ。   

  

「え?いいんですか?!」と何故か春風は目を輝かせながら確認を取ってくる  

  

  「ああ、だからいいって言っているだろ!」  俺は、拒絶を示す 

  

   

  

「わかりました。わたし、頑張っちゃいますよ?明日、お昼を楽しみにしていてください!」   

  

   

  

「うっさ…」   

  

いったい、何を楽しみにしろというんだよ……   

  

意味の分からない奴め 

 

  

まあ、これで邪魔者は去ったことだし俺は、はWEB小説に集中する。  

  

    

  

   

  

「先輩!話す時はちゃんと相手の目を見ましょう!小学生の頃に先生から習いませんでしたか?」   

  

  って、去っていなかったし! 

  

「うるさいな!お前は、俺の先生か!?」   

  

  ていうか、後輩から小学生扱いされてね?なんたる屈辱だ。   

  

   

  

「えっ、わたし、先生みたいでしたか?やった!」   

  

   

  

「イヤ、褒めているんじゃない。怒っているんだ!」   

 人の気も知らない失礼な奴め! 

   

なんか会話がちぐはぐでズレているんだよな。前から思っていたけど、コイツは少し天然が入っているよな…   

  

「ところで、何見ていたんですか?」   

  

「な、なんでもない」   

  

   

  

いちいちWEB小説を読んでいることを教えたくなくそう告げると腹風はニヤリニヒルな笑みを浮かべる   

  

   

  

「あっ、さてはえっちな画像を見ていたのですねー!そういうのは、家に帰ってから楽しんでくださいよ!」   

  

   

  

    

  

   

  

「見ねーよ、会社でなんか!」   

  

  『焦っているのがますます怪しいですね、キャー先輩のえっちー!!」 

 

「おい、バカ!やめろ。周りに人が......」 

  

何言っているんだコイツは……   

周りから可笑しな目で見られたじゃないか! 

  

   

  

「あっ、じゃあ、家では見るのですね?やっぱり、えっちだー!」   

  

   

「み、見るわけないだろ、バーカ!」   

  

「え?見ないんですか!?じゃあ、こっち?」  と親指を立てる。 

  

「あー、もう!面倒臭いなー。そういう趣味はないから!WEB小説を読んでいたんだよ」   

  

貴重な昼休みの時間が、クソー。あらぬ誤解をすると悪いから正直に白状する。これで変なことなんて考えないだろう。   

  

「へー、先輩、小説読むのですか…知的でカッコイイです。でも、官能小説でしょ?やらしー!」   

 

「褒めるか貶すかどっちかにしろ!」  

   

見事にあらぬ誤解をしていた……そんな訳ないだろ。   

  

「お前、何か勘違いしていないか?WEB小説って、大体が異世界転生とか召喚モノだぞ?」   

 

まあ、最近の流行は、悪役令嬢とか婚約破棄などの異世界恋愛な訳だが、コイツに言っても分からないか。   

  

「異世界転生?召喚?なんですかそれ?」   

  

「ほらな、やっぱり分かっていない」   

 

そもそも女の子は異世界モノとか読まないよな。女子は少女マンガか少女小説でも読むのか? 

  

「いちいち説明するの、面倒だから、お前も読め。後で、URLを送っておくから」   

   

「ありがとうございます!先輩と趣味の共有ができて嬉しいです!」   

  

と満面の笑みを浮かべて言う 

  

「分かったから、さっさとどっかいけ。小説が読めないだろ」   

  

オッサンと趣味を共有して喜ぶなんて、最近の若い奴は変わっているな。  

  

「ちぇー、わかりましたよー」と、春風は不貞腐れて自分の席へ戻っていくのだた。   


               ***

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