閑話
怪我は治っているのだが、みんなが安静にしておけと圧をかけられて仕方なくベッドで転がっている。
暇すぎて暇だ……。
「魔術研究しようとしたら叱られたし、寝るしかないかなぁ……」
窓に近いベッドゆえにカーテンの隙間から日が差し込み、心地良いのだが眠るには少々眩しすぎる。
何をしようかと考えていると、ドアがコンコンとノックされる音が聞こえてきた。
「はーい?」
ドアが開かれ、そこに立っていたのは……。
〜イアの場合〜
「ん、アッシュ」
「イアだったのか。どうしたんだ?」
「今回の件で、もしいなくなっちゃったらって思って、不安になった」
「……そうか。ごめ――」
「だから、落ち着かせて♡」
「ちょ、待て! 良い話だと思ったのに!!!」
「ん♡ 責任とって看病する」
料理を作ってきてくれていたらしいが、先に一方的に搾り取られた。
〜アイの場合〜
「カッカッカ、まさかあの組織を壊滅させるとは思わなかったのう、アッシュ」
「アイか。てっきり知らんぷりして来ないかと思った」
「阿呆、そこまで薄情ではないわい。心外じゃのう? あ〜傷ついた」
「ごめんて」
「……まぁ良い。今は二人きりじゃしな。ふっ、身動き取れぬ主を儂が独り占めとな……」
「……そりゃどーも?」
嬉しそうにはにかむアイと、仲良く話し合った。看病はされてないが、おかげで元気になれた。
〜シアンの場合〜
「師匠〜〜!!!!」
「うるさいッ!」
「あ、ありがとうございます♡ ……じゃなくって! 体はもう大丈夫なんですか!?」
「もう既に完璧に治ってるに決まってる。大袈裟なんだよ、コレ」
「では特にお世話をすることが無い……いや! 一つあります!」
「嫌な予感がするんだが……」
「疲れている時はストレスやイロイロなものが溜まるらしく、発散させるべきだとイアさんが言っていました! ハァ、ハァ……なので、ボクにぶつけてください!』
「イア……! 余計なことを一番面倒な奴に教えやがったな!?」
結局シアンの言葉が引き金となってストレスをぶつけることになった(意味深)のだが、巡回に来た使用人に見られて気まずい雰囲気が流れた。
汗やらなんやらは、イロイロしてる中でシアンが取り込んでいたらしい。……便利な体だな。
〜ノクテムの場合〜
「アッシュよ、もう体は大丈夫か?」
「ノクテム。見たとおり、元気ピンピンだよ」
「よかった……。アッシュ、お前が強いことは知っているが、無理はしないでほしい」
「無理はしてないけどなぁ……」
「無理ではなくとも、心配させないでくれ。……お願いだ」
「…………。わかった、ごめんなノクテム」
「……! ふへへ♪」
不安げに僕の布団の上に拳を置いていたので、僕は彼女を抱き寄せて安心させた。
抱き心地が良くてそのまま寝てしまったが、それを見つけた他の奴らが羨望の眼差しを送ってくるが、気づいていないふりをした。
〜シエルの場合〜
「…………」
――ウィーン、ガチャンガチャン。
『飲ミ物ヲ持ッテキマショウカ?』
「いや、結構……」
『了解シマシタ。掃除モード、オン』
「……国から出られないから、ロボットを送りつけてくるとはね。シエルお嬢様もオモシレー女になって来てるな」
掃除、汗拭き、飲み物補給、その他諸々をこなすロボットがお嬢様から送られてきていたのだ。
なんやかんやでこのロボか一番看病をしたなぁと、このベッドの上での生活でシミジミと思った僕だった。
[あとがき]
全員のことこと細かく書いてたらクソ長くなるので簡易的な閑話にしました。
次回からいよいよ3-3章じゃ〜い!
最近カクヨムコン用の作品の筆が乗り始めてきたので、こっちにリソースを割くことができていません!
申し訳ないぜ!!!
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