第405話 フラムの進化と溶岩湖の地下
溶岩エリアを歩いている中で、他のモンスターとも遭遇した。新しく遭遇したモンスターは、身体が赤熱した骨で出来たラヴァスケルトンと燃え盛る鶏冠を持った火炎鶏というモンスターだった。
手に入れたスキルは、【魔力弓】【矢生成】【鷹の目】だった。三つともラヴァスケルトンから手に入れたスキルで、火炎鶏からは新しいスキルは手に入らなかった。ラヴァゴーレムとも何度か遭遇したけど、【熔解】以外は既に持っているか進化統合済みのスキルだけだった。
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【鷹の目(ランク3)】:遠くを見通し、モンスターやアイテムを見つけやすくなる。控えでも効果を発揮する。
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「魔力弓自体がどんな弓なのか詳しく知らないんだよなぁ……カティさんに訊いてみよ」
知り合いの弓使いは、カティさんだけなので、原理を聞いておけば、血液で再現が出来るかもしれない。頭の端の方に置いておいて、フラムが感じている力の元に向かっていく。すると、溶岩湖の前に着いた。
「ここら辺?」
『いや、ここのもっと奥だ』
「まぁ、火の力だから、溶岩の中にあってもおかしくはないか」
【熾天使翼】を広げて空を飛びながら、先に向かっていく。こういうとき、空を飛べて良かったと思う。まぁ、別に溶岩の中でも私は大丈夫なのだけどね。【熾天使】のおかげで、火属性系統のダメージは無効になるから。防具の耐久だけが心配だけど、最悪水着になれば良いかな。ほぼ下着扱いだろうから、耐久の概念はないだろうし。
「うわぁ……ここら辺って全部溶岩湖?」
『ここが一番でかい溶岩湖だな。かなり広範囲に広がってる』
「何かある?」
『溶岩湖から下に続いている通路があるな。そこから、地下に行けるらしい』
「絶対正規ルートじゃないよね?」
『どうだろうな』
溶岩に耐えられる防具が開発出来るとしたら、これも正規ルートになるのかな。深海に耐えられる防具とかを作れるぐらいだから、そのくらいは出来るのかな。まぁ、正直なところ溶岩に入りたいとは思えないけど。
『ここだ』
溶岩湖の中央付近なのかな。マッピング出来ている範囲だとよく分からないけど、陸地が見えない場所で止まった。その溶岩の中に、フラムが手を入れる。そして、力の吸収を始めた。少し待っていると、少しずつフラムが成長していく。背が伸びていって、私とほとんど変わらないくらいの高さになる。フラムは、高身長に成長するタイプだったみたい。フラムは、火の精霊サラマンダーから火の神霊サラマンダーに進化した。
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フラム:【魔道王】【溶岩魔法才能】【根源(火)】【完全支配(火)】【火神霊】【神霊体】【神力】【神炎】【業火】【灰燼】
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「身体の調子はどう?」
『調子は良い。これまでよりも火力が高くなったな』
「感知範囲も広がってる?」
『ああ。かなり遠くの溶岩も感じ取れる。近い方が正確みたいだけどな』
フラムも無事に進化したところで、今度はフラムが見つけた溶岩の中を調べる事にする。
『本当に行くのか? 確かに地下空間はあるし、そこに別の炎はあるが』
「それなら行かない理由がないでしょ。まぁ、溶岩を泳ぐのはどうかと思うけど」
そう言いながら、水着に着替える。それをフラムがジト目で見てくる。
「仕方ないでしょ。熱とかに強くなっているとはいえ、完全に無効化するのは、私の身体だもん。これで防具が壊れたら、アカリに申し訳ないし」
『まぁ、良いけどな』
そう言いながらフラムが手を差し出してくるので手を繋ぐ。
「ニクスも遅れないようにね」
『キュイ!』
ニクスが元気の良い返事をしたところで、フラムと一緒に溶岩の中に入っていく。ダメージがないとはいえ、溶岩の中に入るのは中々に生きた心地がしなかった。
目を開けていても一面が真っ赤に染まっているので、何も見えない。ただ、フラムが凄い速度で移動してくれているのが分かる。思えば、溶岩は水中じゃないから、【海神のお守り】が発動しない。つまり、空気の心配があるという事だ。まぁ、普通に一時間くらいは問題ないはずだけど。
フラムに引っ張られてから五分くらいしたところで、溶岩から出た。
「ふぅ……ありがとう、フラム。ニクスはいる?」
『キュイ!』
ニクスがちゃんと付いてきてくれているか心配だったけど、私の肩に留まって返事をしてくれた。でも、せめて服を着てから留まって欲しかったかな。爪が皮膚に食い込んでいるから。ニクスが肩から飛んだタイミングで、水着から竜霊血姫の装具に着替える。
「さてと、あれって家?」
着替え終えた私が真っ先に目を付けたのは、この地下空間にある家だった。石造の家だからか、燃えてはいなかった。そして、その家以外には特に何もなかった。他の出入り口とかも見当たらない。まさかの、溶岩ルートが正規ルートだったらしい。
『どう見てもな』
「フラムとニクスは、周囲を警戒しておいて」
二人に周囲を任せて、家に近づく。扉をノックするけど、人が出て来る様子はない。それに、家の中に人の気配がない。放棄された家と判断して、扉を引いてみる。鍵は掛かっておらず、普通に開いた。
「ごめんください」
声を掛けるけど、やっぱり返事はないし、中を覗いても影も形もない。
「失礼します」
中を見回してみると、家具も石で出来ている事が分かった。生活感はない。というか、使われていたような痕跡が中央にあるストーブのようなものにしかない。灰が積もっているだけだけど、それだけが痕跡だった。
「【心眼開放】でも何も見えない。そうなると、このストーブが怪しいよね。てか、これってストーブなのかな?」
『ここで火を使っていたのは間違いないな。かなり昔みたいだが』
「ここで火を点けたら良いのかな。燃えそうなものを適当に突っ込んでやってみようか」
アイテム欄を見たら、燃やせるものが世界樹の枝くらいしかなかった。
「……まぁ、ギルドエリアに余るほどあるから良いか」
世界樹の枝を詰めて、【神炎】を使って燃やす。火が点くと、やっぱりストーブのような暖房器具のようになった。
「……溶岩が近くにあるのに、これって使う意味あるのかな?」
『昔から溶岩があったとは限らないんじゃないか?』
「ああ、なるほど。でも、なんで地下にあるんだろう? 溶岩が流れて埋まったにしては、こんな空間が出来ている事に違和感があるよね? 結界でも張ってあるのかな」
「ピンポ~ン! 大正解!」
「うわっ!?」
急に真横から綺麗な声がしたから驚いて飛び退いてしまった。声の正体は、ストーブの近くにいた。白い綺麗な衣装を着た艶々とした綺麗な黒髪をもつ女性だった。
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