七色の花火

海の流れに身を任せ、

君は風に髪をなびかせ、

水面の底に映る景色は、

あの日の花火のように、

虹色で、消えてしまいそうだった。


僕は、あの日、花火を買った。

君が旅立つ前に、広げて。

どれが良かったなんて、分からなかった。

君が飛び立つ前に、広げて。

当てもなく、がむしゃらに、火をつけ、

君に追いつこうとしたんだ。


ああ、僕のサンダルは擦り切れてしまいそうだ。


カレンダー、幾つ数えた?

君と離れたくなくって。

どれが良かったなんて、分からなかった。

君がくれたのを返したくって。

当てもなく、がむしゃらに火をつけ、

君に追いつこうとしたんだ。


ああ、僕のサンダルは擦り切れてしまいそうだ。


海の流れに身を任せ、

君は風に髪をなびかせ、

水面の底に映る景色は、

あの日の花火のように、

虹色で、消えてしまいそうだった。


ああ、あと一歩で届けばいいな。


海猫の行く先は、自由気ままに。

虹色の橋を渡る。


海の流れに身を任せ、

君は風に髪をなびかせ、

水面の底に映る景色に、

あの日の夕日のように、

虹色で、消えてしまいそうだった。


七色の花火のように、

僕と君は消えてしまいそうだったんだ。


ああ、あの日に戻れるかな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る