出会い(あの夏)1
今から3年前のことである。
◇
私こと、谷元貴海29歳は昔から歴史が好きで、仕事の合間に歴史的な建造物や城などをいろいろ回ってきた。
今回は、小垣城を見に行こうかなと、小垣駅にやってきたのである。
小垣駅前で、なにやら女性が、「うーん、どこいったのー」と腰を落として何かを探している。
「どうされたんですか」と私は女性に声をかけた。
「えっ、あのコンタクトレンズを落としてしまったんですー」と焦った様子で答えてくれた。
「そうなんですか。それなら私もお手伝いしますね」
「ありがとうございますー」と笑顔で答えてくれた。
コンタクトレンズを2人で探していると、ロータリーの隅に落ちているのを私が発見した。もうちょっと転がっていたらタクシーに潰されるとこだった。駅前なこともあり、結構交通量が多いのだ。
「ロータリーの端っこにありましたよ」と女性に渡した。
「あっ、ありがとうございます、これで仕事に行けます」と喜んで荷物を持って、商店街の方へ走って行った。
さてと、私も小垣城に向かって歩き始めた。
小垣城は、田戸氏の居城でいまは復興天守が再建されている。
駅前商店街を歩いて行くとすぐに右側に大手門いわゆる正門が見える。
正門から入城すると、神社に入ったかのような木々の多さに驚いた。城内は公園のようになっていて、子供たちが走り回って遊んでいた。
どうやら市民の憩いの場となっているようだ。
天守閣の前に立つと、最近補修工事をしていたため、一段と白さが引き立ち上品さが醸し出す。天守閣は四重四階で、戦前までは木造で残っていて国宝だったが、戦争のせいで燃えってしまった。いち城マニアとして非常に残念だ。
一通り天守閣の周りを見た後、いよいよ天守閣の中に入る。入城料は二百円だ。思わず「安っ!と口に出てしまった。案の定受付の人に笑われた。
中は博物館になっていて、小垣市の歴史や田戸氏について興味深い資料が展示されていた。
最上階からは、江戸時代から景色は変わったと思うが、今も昔も発展した街並みが見ることができる。
小垣市郷土館と天守閣入城のセットチケットを買うとお得だったのでそれを買ったので、次に郷土館に向かう。
郷土館は、小垣城から道路挟んで反対側にある。パンフレットによると主に歴代の田戸氏の資料が展示されているみたいだ。
チケットを受付にいる女性に渡すと
「えっ!」と驚いた声がきこえたと同時に、座っていたパイプ椅子がひっくり返る音がした。
「バンッ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます