1月26日 14:00 洋辺フィールド
新人戦一回戦は5-0で高踏の完勝という結果に終わった。
得点の内訳は、北川が3点、万丈と松川晃次が1点ずつ。
センターバックの北川が最前線の万丈以上にフィニッシュに絡んで、ハットトリックという成果を残したところに新生高踏の一つの特徴がある、と言えるかもしれない。
陽人も後田も、この結果には大いに感心している。
センターバックをフィニッシュに絡ませる試みは、2人の時代からやっている。
さすがに1年の時は戦力とまだ戦術面が固まっていなかったため実践できなかったが、昨年は守備を固めている相手に対して神津をフィニッシャーとして用いる形を採用した。ただ、このときはCBを主軸として得点をガンガン狙おうというまでの意識はなく、閉塞した状況の打開策の一つくらいの認識だった。
この試合の北川はもう一歩前進して、得点源として使おうというものがあった。
元々センターバックは最後方にいるので、相手の状況がよく見えている。また、北川は俊足なので最後方から一気に前に上がってくることができる。
更にはゴール前の入り方の勘所も心得ているのだろう。面白いようにシュートが打てていた。
「これが北川の特性を生かしたやり方だったのか、あるいはバックスのフィニッシュ志向を増やすのか。明日のポイントはそこになりそうだな」
新人戦は初戦と2回戦のみ土日と連日行うフォーマットで、以降は週末の土曜に試合を行う。
明日の2回戦、一神工業との試合はなるべく今日とは異なるメンバーを使うだろう。
そこでどういう試合をするかか、楽しみなところである。
翌日の2回戦、スターティングメンバーをやはり一気に変えてきた。
GK:真榊弥太郎
DF:矢島翔、李漢如、栗畑智之、田中尚人、斎藤海斗
MF:島村祐希、草山紫月
FW:黒田俊太、硲和興、大井幸広
発表されたポジションを信じるなら5-2-3というかなり不可解なフォーメーションである。
とはいえ、陽人と後田も特に何も感じない。
ニンジャシステムを採用して以降、MFとFWのポジションは順番が違うだけで同じところを回るわけだし、分類には「何となく」以上の意味がない。
前日の試合を観ても、最後方の北川がもっともシュートを打っていたから、DFとMFの違いすら「何となく」程度の意味になってしまっているとも言える。
「それこそ、2列縦隊になるとGKとそれ以外になりかねないしな」
実際の試合になるまで、どのようなものになるのか分からない。
そして、試合が始まると1-6-3のような形態となっていた。最後方に栗畑が残り、それ以外のDF登録が中盤の位置近くまで上がり、草山と島村とともにプレッシングに参加する。最後方の栗畑が攻めに関与するのは前日と同じだが、このあたりは能力の差の悲しさか、決め切るまでには至らない。
草山が直接FKを沈め、コーナーキックから硲がゴールを決めたものの、試合展開自体は優勢な側が決め切れない、というような展開で前半が終わる。
後半もチャンスはあっても決めきることはできない中、流れを変えたのは前日の試合では目立たなかった白籏だ。
後半20分に交代で入ると、相手陣に切り込みシュートまで独力で持って行く。
「おぉーっ!」
25分に30メートルほどある位置から強烈なシュートをねじこんで追加点をあげると、30分には切り込むモーションから横にパスを出し、硲からの折り返しを決めて2点目をあげた。
「なるほど、小学校の頃に年100点取っていたというのも満更嘘ではなさそうだな」
入学からほぼ1年、ようやく試合で躍動する白籏の姿に、陽人も後田も目のあたりを押さえる。
このまま終われば完璧であったが、そこはやはりまだまだ経験が足りないというべきか。
4点目を取った直後に、栗畑がトラップを誤ってしまった。
このボールを相手に取られると一気にゴール前まで走られ、反対サイドから走ってきた相手にも追いつけずにパスを出されて失点を喫した。
更に終盤のパワープレーから、単純なロングボールを真榊がキャッチしきれず、ゴール前で混戦になったところからもう1点取られてしまう。
このまま4-2で終了したが、終盤の追い込みは一神工業に満足のいく結果だったのだろう。挨拶中にガッツポーズをしている者もいるなど、どちらが勝ったか分からないような状態になっている。
「……こちらがやや低調だったこともあったけれど、昨日の珊内実業よりは余程歯ごたえがあったのも間違いないな」
一神工業が強かったかといえばそこまでとは言えない。
しかし、何かやってやろうという意欲には満ち満ちていた。その頑張りが最後に報われたとも言える。
戦術を遂行できていれば、そういう相手の心も折れるのだろうが、この試合に出ていたメンバーにはそこまでの成熟性はなかったようである。
「まあ、そういう現状を把握するための新人戦だから」
1年含めたBチームの現在位置をまあまあ把握でした。これはこれで悪くはないのだろう。
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