第63話

ユーリの剣舞を録画した水晶を見ている。

「アレンはやっぱりユーリさんみたいな人が好きなの?」

アリアは唐突にそんな質問をしてくる。

「う~ん。凄い人だとは思うけど・・・」

「けど・・・?」

「僕の中ではアリアが一番かな」

「私?剣の腕でもスタイルでも負けてるのに」

「僕が剣術を習いはじめた理由はアリアなんだよ」

「へ・・・?」

「アリアが素振りをしている姿に憧れたんだ。僕もアリアみたいになりたいって」

「そうだったんだ・・・」

あれは2年ぐらい前だっただろうか。

多くの先輩達に混じってアリアが素振りをしていた。

今ならわかるが道主の娘として幼い頃からしっかりと修練を積んでいた。

アレンには真剣に素振りをしているアリアは神聖なもののように映っていた。

道主は娘であるアリアを可愛がってはいるが剣術に関しては厳しい人だった。

アレンが入門してから道主から怒られているアリアを度々見かけている。

道主に隠れて泣いている姿を見たこともあった。

「私もアレンがいたから頑張れてたんだよ」

アリアに自分が影響を与えていたとは思っていなかった。

「私より後から剣術を習いはじめてあっという間に追いつかれて・・・。悔しいって思ったこともあるけどアレンと素振りをするのが大好きだったの」

「アリア。僕もアリアと素振りするのが楽しかったんだ」

お互いに笑い合い自然とキスを交わしていた。

その後は自然と体を求めあっていた。




ちゅんちゅんと鳥の鳴く声で目が覚める。

隣では裸で寝るアリアがいた。

アリアを起こして急いで井戸に向かう。

先輩達やユーリがやって来ることはないと思うがこのような場面を見られたら大変だ。

体を洗い服を着て朝食の準備をする。

時間までおしゃべりをして過ごしいつも通りに修練に向かった。




道場の前についたがまだユーリも先輩達も来ていなかった。

準備運動をして修練を開始する。

アレンは昨日ユーリに言われたジャンプからはじめた。

しばらくすると先輩達を引き連れたユーリがやってきた。

「おはよう」

「おはようございます」

先輩達は思い思いに修練を開始した。

アリアもユーリからアドバイスを貰って素振りをしている。




アレンは1時間のジャンプを終えて次の修練に入る。

ユーリの動きを真似て剣舞を舞う。

繰り返し記録映像を見たことでユーリの動きは頭の中に入っている。

しかし、連続した動きが難しかった。

それを見ていたユーリはアドバイスをくれる。

「まずはゆっくりでもいいから続けることだ」

アレンはアドバイスの通り動きがぎこちなくなっても剣舞を続けるのだった。

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