第45話
アレンはアリアと別れて今日も先輩達の溜まり場に向かった。
木の板をセットして斬鉄剣の修練をする。
「朝から頑張るねぇ」
「先輩。おはようございます」
「はぁ・・・。怠いけどやるか」
そう言って先輩は素振りをはじめる。
先輩の1人が溜まり場の建物から出てきて母屋の方に向かっていくのが見えた。
アレンは気にせずに斬鉄剣の修練に集中する。
何度目かの挑戦で木の板がぴきっと音をたてた。
何かを掴めたような気がする
「お。まじか・・・」
先輩が声をかけてくる。
「これってどうなんですか?」
「それはお前が一番わかってるだろ」
「何か掴めたような気がします・・・」
「嬢ちゃんのおかげかもな」
「えっ?」
「ほら、そこに嬢ちゃんがいるだろ」
アリアはじっとこちらを見ていた。
「アリアいたんだ・・・。気が付かなくてごめん」
「ううん。集中してたみたいだから邪魔しちゃ悪いかなって」
「ほれ。イチャついてないで集中しろよ」
そう言って先輩は新しい木の板をセットしていた。
アレンは精神を統一して木刀を振り下ろす。
木の板はすぱっと真っ二つに斬れていた。
「すごいね。アレン・・・」
アリアはそう言って褒めてくる。
「ありがとう。でも、先輩が言ってたことがわかる気がする」
本来の威力はこんなものではない。
そんな気がするのだ。
「嬢ちゃんもそろそろ気が晴れたか?」
「はい」
先輩とアリアは離れて素振りをはじめた。
アレンはもう一度、木の板をセットして上段に構えて木刀を振り下ろす。
すると木の板はまたしてもスパッと斬れた。
「完全にものにしたみたいだな」
「まだまだって感じですけど・・・」
「悪いが木の板もタダじゃないからな。次からは素振りで我慢してくれ」
「そうですよね」
アレンは感覚を忘れないように斬鉄剣の構えをして木刀を振り下ろす。
それを繰り返した。
気が付けば夕日がさしていた。
「ふぅ・・・」
全身から汗が噴き出している。
「やっぱ才能があるやつは違うな」
先輩はそんなことを呟く。
「先輩は才能あると思いますよ」
「そうか?」
「だって、出来るようになってわかりましたけど努力してないと出来ないじゃないですか」
素振りで基礎をきっちり固めていなければ斬鉄剣の習得など不可能だ。
「はは。確かにお前の言うとおりだな」
先輩は何かが吹っ切れたのかいい笑顔をしていた。
「僕はそろそろ戻りますね」
アレンはそう言って母屋へと戻っって言った。
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