第27話

次にアレンが先輩達の溜まり場の裏を通りかかった時そこにアリアの姿はなかった。

修練に戻ったのだろう。

深く考えずアレンはそのまま通り過ぎる。

道場の前に戻り歩法の練習に励む。

牛歩のようにゆらりとした動きも意外と難しい。

道主は簡単そうにやっていたけれどやっぱりすごい人なんだなと改めて思う。

休憩を挟みつつも何度もチャレンジする。

足に痛みが走り座り込む。

やはり足に相当負荷がかかるようだ。

この様子では物にできるのはいつになることやら。

そんなことを考えているとアリアがやってきた。

「あれ?アレン。座り込んでどうしたの?」

「あぁ。ちょっと、足が痛くてね」

「そうなんだ。あんまり根を詰めちゃダメだよ?」

「はは。アリアのこと言えないね」

「今日はもう休んだら?」

「うん。そうするよ。アリアは?」

「私は無理言って抜け出してきたから戻らないと・・・」

「そうなんだ」

「今日も遅くなるだろうから先に寝てていいからね」

「うん」

「じゃぁ。怒られないようにもう戻るね」

「頑張ってね」

アリアを見送って足の様子を確かめて立ち上がる。

母屋の井戸によって服を脱いで水を浴びる。

冷えた井戸水が痛んだ足に気持ちよかった。

さっぱりしたところで布で体を拭き服を着た。

アリアが干していたシーツが干したままなので回収しておく。

勝手にアリアの部屋に入るのもどうかと思ったがシーツをセットしておいた。

一仕事終えて冷暗所から自分ように買っておいたバナナを取り出す。

今日の食事は干し肉とバナナにした。

こうしてみると母さんのありがたさがよくわかる。

いつも色々な料理を作ってくれて感謝しかない。




アレンは布団の上でゴロゴロしていた。

足の痛みはだいぶ引いてきている。

アリアはやはり遅くなるのだろうか。

アレンはいつの間にか眠ってしまっていた。



喉の渇きを覚えて目が覚める。

井戸までいって水を汲みそのまま口をつける。

上を見れば満天の星空だ。

どうせならアリアと見たかったなぁ。

そんなことを思いつつ布団に戻った。




朝になり目が覚める。

アリアの部屋を見てみるがアリアはいなかった。

シーツは使われていないかのように綺麗だった。

朝食にパンを食べる。

足の痛みはすっかり治まっているが念のために今日は素振りでもしようか。

そんなことを思いながら道場までの道を歩いた。

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