第739話 コケ子
「シューコ。ちょっとヤミー様に挨拶してくるからこの辺で待っててねー」
「ヤミー様?」
ボーノ店長とオーシーランドを散策しながら色々食べ歩いていたところ、白くて長くて上の方がボフッてなってるコックさんが被ってる帽子みたいな建物が見えてくる。
ボーノ店長いわく、あそこに『ヤミー様』というオーシーランドの偉い人が住んでいるらしい。
「ヤミー様は、人間族の国で言うと王様ってやつだなー」
「ということは、あのコックさんの帽子みたいなのはお城ってこと?」
「そういうことー」
なるほど、オーシーランドのお城とヤミー王か……そういえばここでお金代わりに使われてるのも『ヤミーコイン』って名前だったな。
「謁見めんどいなー」
「そんなこと言ってると打ち首にされちゃうよ」
「ウチの首はニーメンにはならないぞー」
「そば打ちみたいな意味じゃないよ」
そういえば、この間『スナソバ』っていうこの世界のお蕎麦みたいな料理を食べたんだけど、そばつゆが鳥系の魔物のダシと塩で作った透明なやつで、めんつゆとはまた違った味で美味しかった。
ちなみにスナソバの材料はホットホグノーズのパイ生地にも使われている砂麦。
どっかでわんこそばならぬ、わんこスナソバとかやってるお店ないかな……
「それにしても、オーシーランドかあ。すーくん、ここってどの辺にあるか調べられない?」
『オーシーランド周辺のデータはありません』
「やっぱそうだよねえ」
オーシーランドのルールによってこの場所の情報が残せないようになっているので、すーくんに色々データを記録しておいてもらっても明日には消去されているかもしれない。
こんな良いところ、いつでも通えたら幸せなんだけど。
「お、あっちの木になってる果物も美味しそう」
「コッコッコッコ……」
「うわっ! かぼちゃの馬車くらい大きいかぼちゃがあるぞ! あれも美味しそう……」
「コケッコッコ……」
「いやでも、この世界のかぼちゃは警戒しておかないと……」
「コケーッコッコッコッ!」
「さっきからなんかうるさいなあもう」
めちゃめちゃニワトリの鳴き声がするなーと思って後ろを振り返ると、そこには……ニワトリくらいの大きさのスズメがいた。
「えっなんだお前……ニワトリ……スズメ? ニワスズメ?」
「コッケコ」
「コケ子?」
どうやらこの子はコケ子という名前らしい……いや多分違うけど。
「コッコッコッコ」
「コケ子、何食べてるの?」
俺の近くに来てクチバシで地面をツンツンするコケ子。
まあ、多分土の中にいる虫とかを探してるんだと思うんだけど……
「コケケッ!」
「お、もしかして何か発見……」
コケ子が土の中からズルズルと何かを引き出している。
そこには、蛍光マーカーみたいなピンク色のミミズが……
「うわあああああっ!? なにそれキモッ!!」
「コッコッコ」
ツルルッとうどんを啜る感じで真っピンクのミミズを飲み込むコケ子。
なんか身体によくなさそうな色してたけど……
いやでも、アメリカのお菓子みたいな色って考えると意外と美味しそうに見えるかも。
「まあ、アメリカのお菓子食べたことないから美味しいのか分かんないけど」
「コッケコ?」
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