第490話 記憶力



「それじゃあタフタさん、いってきまーす」



「……行ってきます」



「はいはい、行ってらっしゃい。魔物に気を付けるんですよ~」



「「はーい」」



 大魔樹の庭に到着し、初日はタフタさんのお家で休憩してから、次の日のお昼前に目的地の『逢魔ヶ丘』を目指してアクリと家を出た。



「……タフタさん、とても優しくて知識が豊富。ここでしか採れない珍しい薬草の自生場所も教えてくれた」



「タフタさんは薬草とかハーブの研究活動を専門にやってる魔女だから、アクリにとっては良い先生かもね」



「……特別にシュータの魔力抽出液も分けてくれるって」



「それは突き返してほしいかな」



 魔女の家の近くはタフタさんが整備した道があるから結構歩きやすいや。

あ、前にウサビームパイソン捕まえて食べたのってこの辺かも。

あの時は何も分からずフラフラ彷徨ってたけど、タフタさんとしばらく過ごした経験のお陰で今では薬草の種類も結構判別できるようになった。



「アクリ、この薬草はレッドバジルっていってね。料理に入れると良い香りがして」



「……それはファイアーバジル。燃えちゃうから食べちゃダメ」



「おっこの葉っぱはスカイミントだね。魔素中毒の治療に使えて」



「……それはフリーズミント。凍っちゃうから食べちゃダメ」



「見て見て! モウドクダミーが生えてるよ! 派手な色だけど毒は無くて」



「……それはモウドクダミーモドキ。猛毒だから食べちゃダメ」



 …………。



「アクリは何でも知ってるね」



「……何でもは知らない。知ってることだけ」



 やっぱあれだね、継続して勉強してないと忘れちゃうもんだね。



「……この黒くてアミアミのキノコは」



「ブラックメッシュルームだね。シチューに入れると美味しいよ」



「……この柑橘系の果物は」



「ハルニカンだね。甘酸っぱくて美味しいよ」



「……これは、アスパラ」



「ヨクジツパラガスだね。塩漬け肉を巻いて焼くと美味しいよ」



 …………。



「……シュータは何でも知ってるね」



「何でもは知らないよ。知ってることだけ」



 美味しかった食材については結構覚えてるもんだね。



 __ __




「……シュータ、右斜め前から魔物が来る。小型のサル」



「わかった」



 ……ガサガサッ。



「ウッキィ!」



「えいっ!」



 バキィッ!!



「ウ〝キ〝ッ!? ……ウ」



「食材ゲット~!」



「……シュータ、今度は正面の木の上から魔物。ジャンパーカメレオン」



「おっけー」



 ……バッ!!



「シュルルル!」



「えいっ!」



 ボキィッ!!



「シ〝ュ〝ル〝ル〝ッ!? ……シ」



「またまた食材ゲット~!」



「……ジャンパーカメレオンは、普通は食べない」



 アクリの魔眼の効果で俺には見えない位置にいる魔物の動きを把握して、突然襲ってきてもすぐに対処することが出来た。

こういう視界の悪い森の攻略にはアクリはかなり向いているのかもしれない。



「そういえば、前に俺が魔石洞窟で迷ったときとか、修練の森でいなくなったときとかもアクリが探しに来てくれたよね」



「……シュータの魔力は、分かりやすいから」



「そうなの?」



 俺も魔人化すれば魔力の流れとかそれなりに分かったりするんだけど、自分の魔力がどうとかはあんまり気にしたことなかったなあ。



「アクリの魔眼から見て、俺の魔力ってどんな感じ?」



「……山盛りに焼いた肉の上に、大量のとろけるチーズを乗っけて、揚げたポテトとフィッシュフライも乗せて、大きなパンで全部サンドした感じ」



「なにそれ」



 俺の魔力は美味しそうだった。



 ―― ――



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