第90話 つまりどういうことだってばさ???

皆さんいつも閲覧ありがとうございます。

何とか90話を達成する事が出来ました。

1日1話、内容はともかくとりあえず続けてられるのは

皆さんの暖かいコメントや閲覧のお陰です。頑張らないとですね。

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 ―ディザスター側ではない。


 まさかのレイドボスの自分は敵ではない発言に御堂達の開いた口が塞がらない。アクセルに至っては、怒りの形相でレイドボスを睨みつけている。


「これほど厄介なイベントを用意しておいて、何がディザスター側ではない、だ。ふざけるのも大概に―」 


「我は嘘を付けない。覚えているかな??」


「っ!? ご、誤魔化しやすり替えなど、いくらでも出来るだろう!!」


 謎生物の言葉に反論するアクセルだが。確かに流川のスキルで判明したレイドボスには嘘を付けなくなるというスキルが設定されている。


 つまり、目の前のこれは嘘をついていないという事になる。スキルを誤魔化している可能性はあるかもしれないが、疑えばきりがないと御堂はアクセルを押しとどめて話を続けさせる事にした。


「最初に言っておこう。我自身、ここのレイドボスで間違いはない。放置すればレベル9の大ボスが現れるし、我を倒し続ければいつかこの空間を圧迫するのも事実である。何故か? 『そこまでしなければ出てこれなかった』からだ」


 それは更に続ける。


「本来であるならば、ここのレイドボスは汝等の想像通りの、普通の大型レイドボスであっただろう。レベルも7程度と、正直な話我のせいで難易度激上がりである、こればかりは申し訳ないと思っている、20円札あげるから許してほしい」


「てめぇ!? てめぇのせいかぁ!?」


「落ち着けハルペー!?」


 自分が出てきたせいで難易度上がりましたごめんなさいテヘペロとやらかす物体に流石にハルペーが切れて踊り掛かるが御堂がぎりぎりで止めた。流石にこればかりはアクセルも助けてくれなかったが、アクセル自身動かずに殺さなかっただけ、かなり自重している方だろう。


 羽交い絞めにされているハルペー、全く身動きできない所か圧迫感が激しく意識が遠くなってきたので直ぐに抑えている御堂の腕をタップして事なきを得る。もう少しで仲間に撃沈させられる所だった。


「・・・色々言いたい事はあるけれど、まず一つだけ聞いていいかしら?」


「何なりと」


「『あなた』は敵? 味方?」


 テルクシノエーの射貫くような瞳を真正面から受け止めるイルカ頭。


 答えによっては御堂が止めるまでもなく彼女によって殺されるだろう。それだけの気迫と威圧感を感じる。


「我は敵ではない。だが、味方にもなれぬ。制限が多すぎるのでな」


「そう・・・目的は何?」


「止める為。であろうか・・・」


「あー・・・何を止めるんだ? てか敵じゃあないんならお前の本体の場所教えてくれないか?」


「すまぬな、ヒントは渡せるが、答えは言えぬのだよ。そういう制限の下、我はここに顕現した。さて・・・少しばかり話に付き合ってもらおう、損はさせぬよ」


 ぴょこんと頭を振るイルカ頭。その見た目からは想像も出来ない可愛らしい声が響き渡る。


「諸君。ディザスターとは何か。分かるかね? ゲームの運営? 元凶? 害悪? どこからきて、なぜこんなことを。想像した事はあるだろう。宗造さん(89)ではない。彼は趣味の盆栽に耽って奥さんにパイルドライバーを掛けられたからな」


「貴様・・・ディザスターの正体を知ってるのか!? 教えろ!? 場所を! 弱点もあるのなら!!」


「落ち着きたまえ。実を言えば答えは既にあったりするのだ、そう簡単な所に、意外なほど、君達には共通点がある、ディザスターとのな」


 シリアスに会話しているが、実の所目の前のイルカ頭は時々踊ったり跳ねたりしているので、それが更にハルペーとアクセルを苛立たせているが、もうそういう存在なのだろうと御堂はあきらめの境地である。


 しかし、彼? 彼女の発した言葉にそんな事がどうでもよくなるほどの衝撃を受ける事になる。


「ディザスターは、君達もよく知っているであろう【ソウルギア】なのだよ」


「・・・・!?」


「ディザスター・・・が? ど、どういうことだ!? 誰がマスターなんだ!? これはプレイヤーが仕組んだ事なのか!?」


「プレイヤーは望んでいるかいないか。そこまでは我もわからぬ。だが・・・ディザスターは望み、楽しんでいる事だけは確かだ」


 目の前のイルカ頭の言葉に誰もが言葉をなくす。流石に考えてもいなかったのだ、ディザスター自体がソウルギアであると言う事を。


 正直な所荒唐無稽過ぎて全く信用する事が出来ていない。そもそも情報を提供しているのは自称ディザスターの仲間ではない、ディザスターのミッションで現れたレイドボスなのだ。信憑性など皆無と言っていいだろう。


 それを【真実しか喋る事が出来ない】スキルの持ち主が喋っている。つまり最低でもそれは嘘をついていないという事になる。このレイドボス自体が【嘘の情報】でも握らされているのでなければ、それが真実なのだろう。


 だがそれを素直に受け入れられるはずもない。アクセルに至ってはうまくいけばディザスターの首を狙える情報だ、興奮冷めやらぬ状態で詰め寄っていく。 


「ディザスターもソウルギアって言われてもなぁ・・・」


「んー、それが真実ならウチらと同じ感じって事でしょ? でもそれ今必要??」


「いずれ必要になるだろう。我はそう確信している。さて、続きを話そう。先ほどア話したようにディザスターはソウルギアである。つまりはマスターが居る。ではマスターとは何者か、汝等が知りたい事はそれな筈だ」


「わかってるならさっさと――」


「同時にこれを知ってしまえば、現状どうしようもない事を理解するだろう・・・」


 一拍を置いてイルカ頭がディザスターのマスターの名を告げる。


「侵略者ディザスター。そのマスターは皆もよく知っているであろう【地球】そのものだ」


「・・・・へ?」


「あ・・・?」


「ち、地球がマスター・・・って、意味わかんない。え? だって地球じゃん??」


「うむ。惑星がソウルギアを持つ。いや、持ってしまった。それが現状に繋がる」

 

 レイドボスは更に続ける。


「地球に意思があるのか? そう問われれば我は素直にうなずく事は出来ぬ。しかしながらディザスターには確かな自我と意思はある。その目的、奥深くの真意までは読めぬが、大体は【余興】の為であることは確かだ」


「意味が・・・わからん! 荒唐無稽な嘘をつくな!! 地球がマスター!? どんな小説や漫画の話だ! これは現実だぞ!!」


「リアルは不思議なファンタジー。何故現実がファンタジーをしてはならないというか。それを言うならばこの現状こそ、ありえてはならない荒唐無稽である。違いあるまい?」


「っ! そもそも、貴様はなんなんだ!? 何の為にこんなことを!!」


 激昂するアクセルを真正面から見つめ、イルカ頭の何者かはその目的を告げた。


「先ほども言ったであろう? 【止める為】だ」


「何を・・・だ? ディザスターをか?」


「然り。このままこのような遊戯を続ければいつしか世界は終わる事になるだろう。いや、終わるのは人の世だけであるかもしれんな。動物や植物もある程度絶滅するであろうが、地球にとっては自分の中に居る何かが消えた程度でしかあるまいな」


 いつの間にか増えていたもう一体のイルカ頭が続ける。


「それは困る。大いに困るのだ」


「世界が滅べば想いも滅ぶ」


「この広い世界に何も残らないのは哀れではないか」


「故に我等は出来る限りを差し伸べる」


「か細い蜘蛛の糸であろうとも」


「誰かが掴み取れる可能性を信じて」


「どれだけ誹られようと」


「どれだけ恨まれようと」


「どれだけ憎まれようと」


「どれだけ笑われようと」


「【彼】が残したこの愛すべき大地、終わらせてはいけないと我等は願うのだ」


 周囲を囲むように、謳う様に、沢山のイルカ頭、レイドボスの分身体が御堂達を囲っていた。


 あまりにも突然すぎる情報にアクセルすら二の句が繋げない。リバティに至っては理解できずに混乱して御堂にしがみ付いていた。


 御堂も正直な所、これは流石に流川の案件ではないのかと無茶振りに等しい事を考えつつ、それでも何故目の前のこれが、そんなことを【自分達】に言うのかが分からなかった。


 プレイヤーは他にもいる。何故かそう、なぜかこのイルカ頭は会話する時大体において御堂を見ていたのだ。御堂に話しかけているのだ。それ以外には受け答え程度しか行わず、その正直直視したくないイルカ頭は、常に御堂を見ている。


「どうして、それを俺達に言うんだ?」


「受け継ぎし者よ、今はわかるまい。だが我は何度でも言おう」


「我は――女神ハトメヒトは汝の敵ではない」


「限りなくか細い助力を、汝に」


 要領を得ない言葉を吐くそれに理解が追い付かない。


 【受け継ぎし者】女神を名乗った生ものが御堂に対して言った言葉だが、思い当たる点など御堂自身何もないし思いつかない。しかしどうやらこの生ものは御堂の味方に近い存在である事は理解できた。


「我等を良く注視してみたまえ。それが生き残る手段である、そして止めてくれたまえ。所詮神など、世界の前では塵芥に等しいのだと。否が応でも理解できるであろう」


「・・・注視・・・よく見ろって事か」


「ちなみに我等の中に本体はいなかったりする。本体はこう、あれがあれでこうなっていて、強いて言えばまつたけってみた事ないよねっていう。言うほど味がしないとか聞いた事があるが、我はきのこよりたけのこが好きと言ってとある世界線で戦争を巻き起こそうとか考えた事も無いが、とりあえずシャチ頭のキュートな我を宜しくっ頼む。因みにレベル9のボスの名前はその名も素敵【アペプ】という、名前だけなら弱そうな雰囲気満タンであるが、その実力はレベル7~9のプレイヤーが100人単位で襲って来ても返り討ちにしちゃいそうなので気を付けるがいい。いずれ汝なら届くかもしれんがそれはまだまだ先の話である。ではしーゆーあげいん」


 言いたいことを言い切ると分身体はそれぞれ蜘蛛の子を散らすようにそれぞれ走り出していった。


 誰も居なくなった空間、辺りで剣戟や魔法の音が聞こえてくるがここだけは極端に静まり返っていた。


「マスター。大丈夫?」


「あ、あぁ。大丈夫だ。正直よくわからな過ぎてな・・・」


「そだね・・・流石にディザスターがソウルギアで、マスターがちたまって言われてもねぇ・・・」


「ちたま言うな」


「よくわかんねぇ・・・あのボスのいってた事は本当なんですかね・・・?」 


「話半分程度に覚えておけばいい。だが・・・」


 アクセルが口をつぐむ。


 あのレイドボスのいう事が真実ならば、ディザスタ―を殺す事が極端に難しくなるからだ。いや、殺せないと言った方が正しいかもしれない。


 ソウルギアが破壊されればマスターは死ぬ。それがソウルギア使いの基本だ。逆にマスターが死んでもソウルギアは消える。それはつまり、ハトメヒトのいう事が真実であるとすれば、ディザスターを殺す事が出来たとしても、それと同時に地球が死ぬ。そう言われたのだ。


「・・・今考える事は、レイドボスの本体を探す事だ。奴は真実しか言えないのなら、多分どこかに1体だけ頭部が違う奴が居る・・・! それを倒せば終わりだ」 


「だな。テルクシノエー、悪いが流川に連絡頼む。正直頭が一杯一杯だ」


「了解しました・・・ご主人様、その・・」


「あぁ、大丈夫。混乱してるかもしれんが、やることは変わらねぇよ」


 大きく深呼吸し、拳を手のひらに叩きつけ気合を入れなおす。


「急ぐぞ! 頭の違うレイドボスを探すんだ!!」


 考えるのは後と、御堂達は再び動き出した。そしてそれを見ていたレイドボス達はゆっくりと彼等の進む場所を遠ざかっていく。まるで、邪魔をしない様に――



―90話了



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ハトメヒトさん実は答え言ってます(ナニ

割と露骨に答え言ってますよ!?

いいんですかハトメヒトさん!!

因みに彼女? のこの口調は、あさねこ界隈で「田中節」とか「あさねこ節」とか

言われてたりします。えぇ、つまりこういうキャラがよくやる夫スレに

登場してるのです(混沌

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