第60話 とりあえずモンブラン

今日も閲覧ありがとうございます。

今回も短めですがご容赦の程を。

ケーキ美味しいですよね? 皆さんの好きなケーキはなんですか?

あさねこは、イチゴショートが1番です。2番はチーズケーキですね。

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―リバティ視点


 なんか目の前に芸術作品があった。


 まるで超高級ケーキの店に1個数千円とかで置いてそうな、見た目が凄い綺麗なモンブラン。そのてっぺんには綺麗な星形にデコレートされた栗の甘露煮がちょこんと乗せられてる。


 淡い栗色のクリームに思わず見とれてしまいそうになる。私が今までコンビニとかで買ってきてたモンブランなんて、目の前のこれに比べたら、いや比べられないし、このモンブランに失礼だ。


 ケーキ屋に頼んで作ってもらったモンブラン。


 私だって、普通にケーキが好きだ。でもちゃんとしたケーキ屋は対面でケーキとか選ぶだろ? それが私には怖くて出来なかった。い、一応店のモンブランも食べたことあるぞ? 家族に買ってきてもらったやつだけど。


 それがとても美味しくて、私の好物になったんだ。でも、ほんとに美味しいモンブランはほとんど食べたことねぇ。コンビニスイーツも悪くないけど、正直そこそこだしな。


 だから今回はケーキ屋に作って貰うことにしたんだ。バトルネームもアプリの名前もケーキ屋にしてて、ケーキ作りが趣味とか、作って貰うしかないじゃん?


 それに、これはちゃんとした意味があるお願いだし、対価としては十分だと思う。報酬云々は兎も角、ここで私が使える所を見せれば、これからも色々手伝ってくれるかなーってさ。


 あ、後ケーキ屋は意外と良いやつだし、最初は見た目が怖かったけど、ジェミニみたいな凄みもないし、結構話しやすい。欲しかった武器もトレードしてくれたし。あ、あれだ同志、同志みたいなもんだ。


 このままだと、絶対ケーキ屋は蘇生薬の事でごたごたになる。そしたら色々大変な事になるだろうし、そしたら助けてもらう私だって危なくなるかもだから、その前にどうにかしようって思ったんだ。ズバリ、擦り付けろ大作戦。


 アクセルだっけか? この暗い影のあるイケメンは蘇生薬が欲しいみたいだし丁度いい、居なかったらいなかったで、情報攪乱位は問題なくやれるけど、その場合誰を使うかが問題なんだよな。



 あ、今日はあの日から2日後で、アクセルはもう帰っていない。


 私を護ってくれた佐伯って男も学校があるとかで一昨日の時点で帰ってた。だから今いるのはケーキ屋とケーキ屋のソウルギア、ジェミニとここに住み着く事になったスピネルだ。


 って、そんなのは今はどうでもいいんだよ。


 モンブランだよモンブラン。


 こんな芸術品を食べてもいいんだろうか? とりあえずスマホで撮っておいた。記録に残すべきものだしな。いろんな角度から撮ってたらなんかスピネルが変な顔してた。

 

 ゆっくりとスプーンを持って甘露煮をパクリ。


 ・・・・・マジ美味い。


 これ、市販の甘露煮じゃあなくて、ケーキ屋が自分で作った栗の甘露煮なんだってさ。噛むと甘さがじゅわっと広がってきて凄く美味しい。


 というか美味しいしか浮かばないレベルで美味しいんだけど? 


 星型の可愛い甘露煮の時点でこの美味さ・・・戦々恐々としながら栗のクリームを一掬い。パクリと口に入れた瞬間、濃厚な甘さと栗のコクが口内に広がった。


 違う、市販で買ったモンブランなんか、モンブランじゃあないって言いたくなるくらいに別物だ。中のクリームと同時に栗クリームを食べると二種類の味が口の中で飽和しているのを感じる。


 何て言えばいいんだろう。グルメリポーターじゃあない私じゃあこの美味しさをどう表現していいかわからない。ただ、ケーキ屋が言ってたように、コンビニモンブランなんて二度と食べようと思えないほどに美味しいんだよ!?


 ケーキ屋さんのモンブランにも負けてない所か、遥かに凌駕してる。


 口に運ぶ勢いが止まらない。食べる度に幸せが口の中に広がっている。ふと周りを見たら、ケーキ屋のソウルギアやジェミニのソウルギア達がモンブランをがっついている姿が見えた。


 あのスピネルすら無言でフォークを口に入れたまま目を瞑って味の余韻に浸ってるんだぞ? どれだけなんだよケーキ屋・・!? 恐ろしい子!!


 ちなみにケーキ屋が用意してくれたモンブランはなんと3種類もあるんだ・・!


 3種類だぞ? 3種類!? この1個目の時点でこれ以上無いほど美味しいのに、まだ違う二種類が私の目の前に並んでいる・・・!


 なんだここは? 天国なのか? 実は私ミッション中に死んでて都合の良い夢を見てるとかじゃあないよな。こんな幸せなケーキ食べたの生まれて初めてだ。


「・・・おいしい」


「そいつはよかった。まだまだ作ってあるからな、好きなだけ食ってくれよ」


「う、うん」


 コック姿のケーキ屋。フリフリのエプロンが凄まじく似合わないけど、妙に様になっている。いるよな、こういう感じのパティシエとか。


 にしてもケーキ屋がスキンヘッドにしてる理由が面白かった。


 「ケーキ作り時に髪の毛1本落ちてダメにするとかそう言うの考えたくなくてな」


 って・・・どれだけ繊細なんだよ。でも、なんかわかる気がする。ここまで美味しいケーキを作れるんだ、一切の妥協とか出来ないんだろうな。その為なら邪魔になる要素は一切排除するって事かぁ。


 私はてっきり若ハゲかと思ってたんだけど、違うみたいだ。


 よく見ると御堂って意外と顔は整ってるし、髪の毛生やしたらそこそこいい顔になるんじゃあないかな? とりあえず見た瞬間怖くて逃げたりはしなくなりそうだ。


 今の状態だと、チンピラとかヤクザとかの下っ端に見えちゃうもんなぁ。勿体ないだろ?


 周りの皆が一心不乱にケーキを食べる姿を、なんかこう・・・安心する様な表情で見ている。私にはよくわかんない感情だけど、きっと自分で作ったものを食べて喜んでもらえるのが嬉しいんだろうな。


 さて、残った部分も食べてしまおう。


 このモンブランの土台はタルトになってて、これがまた美味いんだよ。クリームと一緒に食べると口の中がとっても幸せだ。


 他の2種類は土台がスポンジの奴と、なんかアーモンドで作った土台らしい。スポンジの方はカボチャモンブランらしいぞ? なんだよケーキ屋。季節感もバッチリなのかよ? 絶対美味しいに決まってる。


 アーモンドの土台の方はなんと生チョコモンブランだってさ!!


 生チョコとか、確定して美味しいに決まってるんだが?


 栗のモンブランも最高だし、残り二種も絶対美味しいだろうし、私報酬にケーキ頼んでよかった・・・! 今度はモンブラン以外のケーキ作ってもらうのもいいかもしれないなぁ。


 一番好きなのはモンブランだけど、基本ケーキは全部好きだ。その中でも好きなのが苺のショートケーキだったな。小さい頃食べた誕生日の苺のケーキ。食べられるのって大体一切れ位でさ? 折角の誕生日なのに沢山食べられなくて詰まらなかったもんだ。


 苺ショートはコンビニじゃあ定番だけど、流石にそこまで美味しくないからなぁ。気が付いたら買わない様になった。クリスマス時期はケーキとか置いてるけど、逆に人が多すぎるし、一人でクリスマスケーキ食うのも、なんかこう・・・もやもやするから結局買わなかったなぁ。


「・・・ケーキ屋さん。プロ??」 


「いや? 趣味にしてるだけだ」


「・・・趣味のレベルを超えてる。こんな美味しいモンブラン初めて・・・」


 スピネルがクールな表情を少し崩してケーキ屋に聞いてる。


 私も驚いてたよ。スピネルと同じく最初はプロかと思ったけど、これでアマチュアだって言うんだからさ。ケーキ屋は謙遜してたけど、私はこのモンブランはプロのケーキ所か、超一流を名乗ったっていいと思う。


「アクセルや佐伯少年の分もとっておいたんだがなぁ」 


「大丈夫マスター。二人の分は私が責任をもって食べる」


「太るわよ??」


「大丈夫テルクシノエー。ソウルギアは太らない」


「お前は全女子を敵に回したぁ!!!」


「・・・リバティに同意」


「あれぇ!?」


 人の何倍も食べておいて太らないとか、わ、私だってなぁ!? 少しは体重に気を使ってるんだぞ!? さ、最近少し腹の肉がつまめるようになってき・・・うわああああああ!?


 スピネル、やっぱり人型のソウルギアは私たち女性の敵だな。ゆるすまじゆるすまじ・・・・


「いやぁ、この頻度で御堂君のケーキが食べられるとは、嬉しい誤算ですね」


 ジェミニ、流川だっけか? 彼が自分のソウルギアと一緒にモンブランをパクついてる。そのスピードの速い事早い事。既に5個目は突破してた。男って甘いもの苦手ってよく聞くけど、やっぱり人によりけりなんだなぁ。


 あ、御堂。ケーキ屋の事は教えてもらった。


 これからは私、ケーキ屋、ジェミニ、佐伯、アクセル、スピネルと6人での固定パーティを組む事になったんだ。アクセルは荷物整理が終わったらこのセーフハウスに戻ってくるって話で、スピネルは昨日の内に私物全部持ってきてた。


 どう見てもまだ中学生とか高校生にしか見えないけど、プレイヤーになってる以上、家庭云々はまぁ・・・言いたくない事も、色々あるんだろうな。


 佐伯はプレイヤーだけど、ちゃんと高校にも通ってて家族もいるらしいから、基本は実家に居るらしい。よく両立出来てるなぁ、私なんて普通の生活すら無理だったのに・・・やっぱりコミュ強は人生楽しく謳歌できるんだろうな。ぎぎぎ、羨ましい羨ましい・・・


「時間だけは増えたからな。これからは戦闘経験を積みつつ、ケーキ作りも頑張って行こうと思ってる」


「あーしはケーキ作りとか無理っぽいから、実践訓練の手伝いかねぇ」


 凶器レベルの胸を引っ提げたギャルがいる。


 ケーキ屋のソウルギアのミューズ、クレアって言うんだってさ。胸か・・・!?  

やはり胸なのかケーキ屋!? そんなに爆乳が好きか!? 私も大好きだがな!! 

ケーキ屋のソウルギアって大、巨大、中、特大って感じなんだよなぁ。だめだろケーキ屋、そこはやはり貧や虚も必要だろ? 大きいばかりじゃ胃もたれすんぞ?


 一応スピネルが小かな・・・っても、あれどうみてもジェミニが目的だよなぁ。気づいてるのは私だけか? 気を付けろよジェミニ? アレは犯罪だぞ? 別にまぁ、私にはどうでもいいけど。


 後私は大きいからな? EとかFとかそんな漫画みたいなってか、そこのショコラやテルクシノエーじゃあないけど、D位はあるぞ? 絶対こういう時にお前は絶壁だろとかネットだと言われるからな。寧ろ私なら絶対そういうレスするからな。

 

「まぁ、そう言うのは後でいいさ。今はとりあえず沢山食べてくれ」


「まーちゃん、おかわりー!」


「おう、どれがいい?」


「生チョコモンブラン!」


「あいよ!」


 もう一人のミューズ、ショコラがケーキ屋からもらったモンブランを食べ始めてる。おっとこうしちゃいられない。折角の御馳走なんだ、沢山食べて楽しまないとな。



―60話了


──────────────────────────────────────ほぼ只管ケーキ食べてるだけのお話でした!!

そのうちキャラ紹介とか必要でしょうか?

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