第37話 ネットにはいろんな情報(読者様)がある!
今日も閲覧ありがとうございます。
ミューズのお名前候補も幾つか頂いたのでそこから厳選させて頂きました。
有難い事です有難い事です。少しでも楽しんでもらえるように
頑張っていきますね。閲覧、コメント、応援、☆レビューとても嬉しいです。
──────────────────────────────────────
息巻いたはいいが、結局これだという名前が思い浮かばないので潔く文明の利器を使う事にした。やはりこういう時はパソコンだろう。
普段は動画を見たりゲームをしたり、情報ツールを流し読みしたり程度だが、検索してこそのパソコンだよ。
早速色々な方面から調べていくことにする。
分かりやすい所でどういう名前があるかを検索するのが早いだろう。
まずはアメリカあたりで良く使われている名前などを調べてみると、色々出てくる出てくる。【オリビア】【エマ】【ジェシカ】【シャーロット】【アメリア】etc、etc――
ここからでも決めればいいんじゃないかと思うが、二人ともこの名前が似合っているかと言われると悩む所だ。
黒髪ミューズの容姿は日系アメリカ人の様な外人さんの美人な容姿の中に日本人的な容貌も感じられる。何言っているか俺もよくわからんが可愛いと美人の間って感じだな。
良い匂いのする黒いストレートヘアーが特徴的で、意外と小柄な所が更に魅力を感じる要素だ。俺達の中で一番小さい、俺は180後半で次に大きいのがテルクシノエーで173~175センチだった。サイレーンが162センチ位で、金髪ミューズが167センチって所だが、黒髪ミューズは154センチとこの中ではだいぶ小柄だ。
となると外国系の名前を付けても~となるが、そこは俺の感性の問題でしかないんだよな。和名で考えれば【黒曜】とか【琥珀】なんてのも良いかもしれん。勿論黒髪の方が黒曜で金色の方が琥珀だ。黒曜石の艶のある黒色は黒髪のミューズには似合っている感じもするしな。琥珀は黄褐色だから金とは言えないが、それでも彼女の髪の色を考えればこれまた似合ってる気がする。
そうこう考えつつも俺はパソコンをカタカタさせつつ色々な名前を検索していく。
そんな中テルクシノエーが検索していたギリシア系の神話のページと俺が良くケーキ作る時に調べてる検索履歴が出てきた。
待てよ? わざわざ普通の名前を付けなくてもいいのではなかろうか。
ミューズ達はテルクシノエー曰く、女神の名前を関するとからしいし、それ関係とか髪の毛の色で名づけるとか、いっそ俺の趣味であるケーキの名前をもじったりとか、これはいいのではないだろうか。
そうなるとネタも色々湧いてくる。
まずは神話のページを色々流し読みして使えそうな名前とかをピックアップ。
パっと良さそうなのはこんな感じだ。
【メルポメネ】【タレイア】【セレネ】【エロース】最後はすまん、見た目と性格から考えた。俺は悪くない。
こうしてみると女神の名前っていっぱいあるし、サイレーンとテルクシノエーもこれ関係の名前だからここから考えるのもいいが。
他に調べて思いついたのはこっちだ。
【ノワール】これは黒髪の方に思いついた。フランス語で黒色って意味らしい。
【ロール】こっちは同じくフランス語で金色って意味だ。金髪ミューズにはちょっと可愛すぎる名前っぽいかもしれん。てかフランス語だと金色ってロールって言うんだな。つまり良く聞く金髪ロールって、「金髪金色」って事になるのか? よくわからん。
俺の今の所の黒髪の名前候補は【ノワール】だな。なんとなく彼女に似合っている気がするが、本題はここからだ。これらは保留にしておいて、俺の趣味であるケーキやそちら関連の方から名前を考えてみよう。
「マスターが凄い唸ってる」
「邪魔しちゃだめよ? ご主人様が必死に考えて下さってるんだから」
「にひひ、こういうの嬉しいよね♪ まーちゃんって可愛いんだから」
「逆に言うと名前だけでこれほど悩むってなんだよって感じだけどな~」
周りで彼女達が雑談に興じているが今の俺は真剣なので全スルーする。
よし、ケーキかとなれば色々思いつくな。
黒髪の方はつい先日作ったザッハトルテから【トルテ】なんてどうだろうか?
これも可愛い名前だが、ザッハトルテの色は高級品感溢れる漆黒の色、食べてみるとくどい程の甘さを感じるのは、彼女の魅力と相まって良い感じかもしれん。
となれば金髪の方は【フィナンシェ】か? こっちはマドレーヌとかと同じ種類のバターケーキだ。因みにマドレーヌとの簡単な違いだが、マドレーヌは材料に全卵を使うのに対してフィナンシェは卵白のみを使うってのがある。どっちも美味いし常温保存できる菓子だから作って適切に処置しておけば一月は余裕で持ってくれるぞ。
思考がケーキ作りに逸れてってしまったが、金色の髪の毛が特徴的で性根に芯がありそうな彼女にはこの名前も似合ってるだろう。問題は長いからフィナとかナンシェとか簡略化される可能性か。
となれば、次だな。
「ねぇ、テルクシノエー? マスターがケーキのページみてニヤニヤし始めたんだけど、名前の事どうなったんだろうね?」
「ご、ご主人様はきっと深い考えが・・・!」
「無理めのフォローは逆に辛いよー?」
「あーしは既に名前からケーキに逸れてるに一票」
二体で一人のソウルギアだから一つの物から別けるなんてどうだろうか。
例えばエクレアだ。あれは黒色のチョコと生地が金・・いやすまん茶色だわ。それはともかく、二人合わせてエクレアって事で、【エクレ】と【クレア】とか分かりやすいし、意外と似合ってる気がする。
来たな、これは来てしまったな。俺の名前センスも捨てたもんじゃねぇだろ。
よし、この調子で次を考えてみるか。
「ここは急にドイツに走るなんてのも良いかもしれねぇな!!」
「テルクシノエー、テルクシノエー!? マスターがどこか遠い所に!?」
「だ、大丈夫! ご主人様は大丈夫だから!!」
「ウケるwwwまーちゃんの行動一つだけで二人大混乱してるしwww」
「うちのごしゅって、何かするだけで面白いとか笑えてくるんだけどwww」
ドイツから持ってくるとなれば直ぐに検索をかけねばならん。
何々? ドイツ語でチョコレートは【ショコラーテ】か。略して【ショコラ】とかも良いかもしれんな。お次に生クリームも調べてみるか、いやぁ、こういうのは意外と楽しいな。
生クリームは【ザーネ】か、これはどっちかと言うと男に付けた方が似合いそうな響きだな。だが、生クリーム一つでここまで格好いいとは、オタクがドイツ語を好むってのがなんとなくわかる気がする。
そういえばドイツ産のケーキはザッハトルテ以外はあまり作った事なかったな。
有名所はパウンドケーキやバウムクーヘンだが、それ以外で言うと【クグロフ】や【シュトレン】【ヘルマンケーキ】だろうか。
後、名前が格好いいのが此方。
【シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ】
【ビーネンシュティヒ】
【アプフェルシュトゥルーデル】
必殺技かと一言申したくなるようなものばかりだが、この中でシュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテはドイツのケーキとしてはザッハトルテの次に人気が高い。
キルシュってのがドイツ語でさくらんぼって意味で要はさくらんぼのケーキって事だ。シュバルツヴェルダーがこれまたドイツ語で【黒い森】ってのを意味してるらしく、内部のチョコレートスポンジがそういう風に呼ばれている。
俺はまだ作った事ないんで、次回のミッション前に全力で作ってみるかね。
と、気が付いたらケーキ作りに思考がまた流れてた。いかんいかん、やはり趣味と言うか生活基盤になってるケーキの事になると無意識にそっちばかり考えちまう。
ここからは更に真剣に考えねぇとな――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
気が付いたら夕方過ぎていた。
周りを見まわせばテルクシノエーは夕食の準備をしていて、サイレーンは俺の横で猫のようにころころと転がっている。
ミューズ達は買い与えて置いたスマホを弄っていた。
「もうこんな時間か、くぁ・・ずっと座りっぱなしだったせいで身体がいてぇ」
「あ、マスターおはよう」
「寝てないけどな?」
「色々ずーっと考えてたね。名前決まったの?」
「あぁ。俺が出来うる限りで必死に考えてみたよ」
「そか、いいなぁミューズ達」
心底羨ましいと言わんばかりに頬を俺の膝に摺り寄せる。その姿はまるで甘えている猫に見えた。猫と違うのは触っても嫌がらない所か。奇麗な銀色の髪を撫でてやると更に嬉しそうに目を細めすり寄ってくる。
「すまんなサイレーン。でも俺にとってサイレーンはその名前が一番合っててな」
「ん。大丈夫。羨ましいけど、マスターがそう思ってくれるの嬉しいから。だからもっと撫でて?」
「俺でよけりゃあいつでも撫でてやるさ」
「ん」
「はいそこー。ここぞとばかりにまーちゃんとイチャつかないように~?」
ずずいと割り込んできた黒髪ミューズにペイっとされるサイレーン。
「あー! 折角マスターとイチャコラしてたのに」
「まずは私達の名前決め手からっしょ。まーちゃん、良いの考えてくれた~?」
スマホを顎に当てて笑みを浮かべる彼女。その様子が様になるんだから凄いもんだよな。
料理を作っているテルクシノエー以外が俺の傍に集まってきた。
「ごしゅお疲れ~。色々考えてくれたんでしょ? 後で一杯サービスしてあげる♪」
「何を!? 是非に!!」
両腕で胸を強調するポーズを見せつけてくる金髪ミューズについ前のめりになる俺。馬鹿お前、期待してしまうもんだろう男なら。これもミューズのたわわがたわわ過ぎるから仕方ないんだ。
テルクシノエーには流石に彼女も勝てないが。あれは狂気いや、凶器である。そりゃ居るだけで魅了するなんて居るおっそろしいスキル手に入れるよな。俺だって胸ばかり見ないようにするのに必死なのに。
ちなみにこっそり見るとテルクシノエーは恥ずかしがりながらも嬉しそうにするので、実は意外と喜んでるのかもしれない。いやいやおちつけ俺。
「あー、一応ちゃんと考えてみたんだが、気に入らなかったら言ってくれ。一応いくつか候補も考えたから、ダメならそれに―」
「ないよ」
「ねぇな」
俺の問いに二人が即断する。
「まーちゃんがちゃんと考えてくれた名前なんでしょ? ならどれでも嬉しいよ」
「朝方みたいに適当じゃねぇなら、ごしゅのくれる名前ならあーし等の宝物だよ」
「お前等・・・」
ギャルみたいな姿をしてるのに、二人ともとてもいい子だった。いや、ギャルが悪い娘って訳でもないが。
俺はまず黒髪のミューズに名前を付ける。
色々必死に考えた結果、俺にとってこれが最良だと思ったのは―
「お前の名前は今日から【ショコラ】なんてどうだ?」
「ショコラ―」
「やっぱり俺と言えばケーキ関連だなって思ってよ。ショコラってのはぁ!?」
ぎゅっと抱きついてくる黒髪、いやショコラ。
これ以上無いほどの強く俺を抱きしめてくる。
「ありがとまーちゃん。今日からショコラって呼んでね」
「はーなーれーろー!」
「いいじゃん、今日はショコラの日なんだから」
自分の事をショコラと言い出した彼女。どうやら本気で気に入ってくれたようだ。
代わりにムッとした表情のサイレーンと金髪ミューズ。
「ほらショコラ離れろー? 次はあーしの番なんだから」
「んー、仕方ないなぁ。半身に譲ったげる。ね、まーちゃんショコラの感触どうだった?」
「最高でしたが何か?」
「素直でよろしい♪ 次はショコラがもっとすごい事してあげるね」
これ以上とか理性が持つのか心配なんだが。
気を取り直して今度は金髪ミューズの方だ。
「ったく、ショコラはさぁ。あーしもやろうと思ってたのにこれじゃ二番煎じじゃん」
「やろうとしてたんかい。俺を嬉死させて楽しいのか?」
「ごしゅって見た目の割りに純情だよねぇ。もう少しエロに走ろうよ?」
「ほっとけ。あー、うん。お前の名前は―」
一拍置いて、彼女にも名前を付けた。
「【クレア】だ――」
勿論元ネタはエクレアだ。他にもフィナンシェをもじってフィーナとかやタレイアをもじってレイアなんてのも考えたが、シンプルにこうしてみた。
気に入ってくれるといいんだが、なんて思ってたら彼女が顔を真っ赤にして俯いている。
「あー、やば。なんか恥ずぃ。なにこれ、めっちゃ嬉しいんだけど」
「わかるー、ショコラも顔真っ赤で頭の中湧いちゃったもん。ついまーちゃんに抱きついちゃった」
「あぁもぅ。なんだよごしゅってば」
「ほ、他にもあるがどう――」
「これでいいよ、これがいい。あーしの為にごしゅが考えてくれたんだ。大事にすんね」
「うごごごごご。羨ましい羨ましいこんちくしょう。今日のご飯の時にご飯のどに詰まらせてしまえー」
サイレーンが虚無に浸りながら小賢しい呪いをかけていた。
でもまぁ、ともかく。
「気に入ってくれて良かったよ」
「ん、まーちゃんご苦労様。ショコラのおっぱい揉む?」
「マテコラ、それはあーしがやるから引っ込んでていいぞ?」
「ええぃ、この時間に盛るな二人ともー」
「サイレーンには言われたくないなぁ」
「だなー」
喧々諤々。
俺の日常は改めて変わったんだなと実感する。ふと気が付けば味噌汁の良い匂いもしてきた。そろそろ夕飯だろう、一人しかいなかった俺に今はこれだけの家族がいる。ソウルギアとはいえ、彼女達は個人だ。
家族みたいなもん、でいいよな。
じいちゃんばあちゃん。意外と死と隣り合わせの人生送る羽目になったけど、それなりに悪くない生活送ってるよ。
―37話了
──────────────────────────────────────
コメントで頂いたお名前を色々使わせてもらいました~。
毎日直前に書き上げているが故に出来る事ですね。今日も楽しんでもらえたら
何よりです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます