第32話 求)ギャルとの会話方法 出)10ポイント

少しずつフォロワー様や☆が増えてきました。

順位も170~180位とのんびり上がっています、本当に有難い事です。

今日も頑張りましたので、良かったら楽しんでくださいね。

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 某薬用石鹸みたいな名前のソウルギア、ミューズが現れた翌日。勿論俺は仕事である。あの後賑やか過ぎて隣の家の人に家ドンされて大変だった。


 疲労も回復したので今日からバリバリ働く、と言いたい所なのだが、今日は覚悟して仕事に来ていた。既に親方にも大事な話があると伝えてある。とりあえず今日は全力で働いて、それが終わった後、改めて話をするつもりだ。


 うちはこの辺割と緩いので時間を取って出社して云々とかではない。急な休みや有休等も仕事中に上司や親方に連絡すれば大体通る感じだ。割とホワイトな方だと思う。俺も年に2回は有給貰って休みを取ってたもんだ。


 どこに? 勿論コミケだよ。


 数日も休めば仕事は進んでいる、1日休んだだけでプチ浦島状態になるのもザラだ。この数日休んでいた俺が仕事を把握して作業するのには1時間くらいかかってしまった。その程度で済んでるのはステータスが上がったおかげなのかね。


 今日の俺は手元仕事。重機は他の同僚が動かしている、一応休養明けあって事で俺に簡単な仕事を回してくれてる訳だ。


 入りたての奴や手元仕事がメインの奴は「機械仕事の方が楽じゃないか」とか言ってくるが、声を大にして言おう。「そんな訳あるか」


 まず重機を動かすことに集中しなくちゃならんし、ずっと座りっぱなしだから腰とかに来る。その辺は慣れればまぁなんとでもなるが、一番は埋設物を破壊する可能性を考える精神的疲労だ。


 下手すりゃそれだけで1日が終わるし、最悪何百、何千万っていう賠償が飛んでくる。地下には水道の他にも電気ケーブルやらなにやらが埋まってる時がある。工事の時に作業場所の図面とかは用意してあるんだが、何年、何十年前の図面って事もザラにあったりするんで、それがどこまで正確なのかわからない事が多い。


 そんな中何も考えずに重機などを動かしてみろ、俺の知り合いが働いてた会社の奴がそれで光ケーブル、ネット関係のケーブルだな。それを切断しちまって数億っていう賠償金と数か月の現場ストップとか言う最悪な状況になったそうだ。


 やらかした奴は少し後に首吊ってたって話もあるし、そういう事がある以上、最悪を想定しながらも早く仕事しなくちゃならん、精神的にも肉体的にも疲れるんだよ。


 手元仕事はその点、確かに体力仕事だが慣れちまえばどうとでもなるし、ずっと動かしてなきゃならん重機と違って楽も出来るからな。重機仕事は金になるのは確かだが、偶には楽もしたくなるもんだ。


「にしても、御堂さんが体調崩して休むとは思わなかったっスよ」


 同じ手元仕事をやってる後輩が汗を拭いながら心配そうに此方を伺っている。


 俺もこいつの事は一番年も近いって事で面倒見てやってたからな、それなりには信頼されてる。後は作ったケーキとかもよくプレゼントしてやってたからな。


「あぁ、俺も吃驚だよ」


「最近はインフルとかも流行ってるっスから、それかと思いましたよ」


「そういう訳じゃあないんだけどな。羽休みはさせてもらったわ」


 命を懸けた殺し合いをしてたり、美女が4人に増えてわちゃわちゃになってましたとは流石に言えないからな、軽く誤魔化しておく。


 よく考えりゃ、今日の話が通ったらこいつと会う事はもうほぼ無くなるんだな。


 こいつだけじゃない、俺よりずっと先輩の爺さんも、最近奥さんと喧嘩してメシが毎日パンになってるおっさんも。事務員の女の子にちょっかい出して嫌われるおっさんも、全員と仲がいい訳じゃないが、それでも長く一緒に仕事をしてきた仕事仲間達だ。


 出来れば最後にこいつらに自慢のケーキを作ってやりたかったよ。


 柄にもなくしんみりしながらも俺はスコップを動かし続けた。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 

「そうか。事情があるなら仕方ねぇか」


「すいません、親方」


 仕事終わり、俺は会社に戻り親方と話をしている。


 内容は勿論辞職の話だ。


 事情は既に説明してある。これはテルクシノエーが考えてくれた偽物の内容、所謂カバーストーリーとかいう奴だ。単純に辞めますってだけじゃ流石に却下されるからな。ちゃんと直ぐに辞めざるを得ない説明が必要だったんで、色々考えてもらいそれを話している。


「うちとしてはお前には辞めてもらいたくはないんだがなぁ」 


「自分も出来れば残りたかったんですが、そういう訳にも行かなくて」


「あぁ、んな急な事情があるなら仕方ねぇ。休んでたのもそのための調整なんだろ?」


「はい」


「・・・・はぁ。今はまだ人もいるしなんとかなる。繁盛期なら兎も角今はまだ仕事も余裕があるからな」


「急な話ですいません」


 俺としてもこの場所で働いてたい、給料も良いし時間もそれなりに作れる。休みも結構通るし、同僚に嫌な奴は少ない、家からも近いし悪い所なんて何処にもない仕事場だ。


 だがデスゲームに巻き込まれた俺が日常と非日常を同時に何とかするなんて器用な真似はまだ出来そうにない。下手すりゃ巻き込む可能性だってある以上、俺に出来る事は仕事を辞めて、デスゲームをクリアするしかない訳だ。


「うちは年中人手不足だ。もし何かあればいつでも戻ってこい。その時の給料はまぁ、考えといてやる」


「っ・・! ありがとうございます!!」


 俺は立ち上がって深く頭を下げた。


 戻ってこれるかはまだ分からないが、もし俺が死のゲームをクリア出来た時はまたこの場所で厄介になるかもしれない。


 俺はいい仕事場、いい同僚、いい上司に恵まれた。


 心の底からそう思う―――




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





―視点 サイレーン


 

 マスターが多分最後の仕事に行っている間、私達は私達でそーごりかい? を深め合っている所。


 レベル3になった時に新たに増えたミューズ達について色々と話し合ってる、主にテルクシノエーが。


 私? 私はほらあれだよ。 マスターのマスコット枠でオナシャス。


 それにしても私も結構押しが強い方だと思ってたけど、目の前の二人は更に凄かった。このままじゃ私の影が薄くなりそうだ、やはりここは奇抜に不思議ちゃん系エロ娘と言う立場を確立するしか――


「そんなものしなくていいわよ」


 あ、つい喋ってたみたい。


「とりあえずミューズの能力は把握できたわ、前衛中衛後衛、支援も阻害も出来る万能タイプと言った所ね」


「え? 何そのチート仕様? 私も前衛でマスター守りたかったのにポっと出の二人にその枠取られるの?」


「悪いねパイセン♪」


 ぐぬぬぅ、余裕な表情がムカつく。そのほっぺつねってやりたいぞ。


「まーちゃん早く帰ってこないかなぁ。やっぱりまーちゃんがいてこその私等じゃん?」


「今日は大切な話があるから帰りはきっと遅いわよ」


 お仕事を辞めるという話。


 マスターはケーキ作りも大好きだけど、お仕事も結構気に入ってるって色々話してくれた。同僚の話や、その日の仕事の話、色々楽しみながら話してくれたのを覚えている。きっと、出来るならやめたくないんだろうな。


 私がもっと強ければ、ミッションなどでマスターやみんなを護れるほど強ければ、マスターがお仕事を辞める理由なんてなかった。


 レベルは3に上がったし、強いスキルは手に入れたけど、だからこそわかる。今の私じゃ昨日のあの化け物、イレギュラーナンバーにはどうやっても勝てない。


 即死能力もあれには効かないだろうし、テルクシノエーみたいな阻害能力もあるけど威力的に彼女みたいな効果は見込めない。どちらも副次的なもので、やはり私の立ち位置はマスターへの支援と回復。これが私の力で私の役目。


 それを誇りには、マスターの役に立てるのは嬉しいけど、思えない。


 ジェミニみたいな強さがあれば


 テルクシノエーみたいな突破力があれば


 ミューズみたいな万能性があれば


 私には何も足りない。


 レベル4になったら変われるかな? もっと強くなれるかな。


 マスターの心と体を護れるようになるのかな。


「サイレーン? どうしたの?」


「ん? 何でもないよ、ちょっと考え事してただけ」


 気づいたらテルクシノエーが私を心配そうな表情で見ていた。彼女はとても優しい、時々厳しいけどマスターが一番な私と違って私達にも心を割いてくれている。


 彼女のお陰で私も少しだけ気を張らずに居られる。だからテルクシノエーの事はマスターの次に大好きだ。


 ミューズの二人はまだ分からない、金髪の方は胸が敵だった。いや、それでもテルクシノエーの方が大きいのだけど、テルクシノエーはいいのです。だって歩く魅了兵器だから。あれは兵器だね、お風呂に入ると浮かぶんだよ? おかしいよね? 私も小さくはないのにあれからみると、10円チョコVSお徳用チョコ1キロだよ。


 黒髪の方は一見すると清楚っぽい感じがするけど、口を開くと喋り方がマスターが持ってた漫画で見たギャルっぽい。清楚系ギャルと金髪系ギャル。私とマスターについて話は合うかもしれないなぁ。


「でさ? 流川っておっさんは今日くるの?」


 金髪ミューズが胡坐をかいて座りながらけだるげに聞いてくる。おぅまてぃ。パンツ、パンツ丸見えだからね? もしかしてマスターを誘惑? 強いね、金髪ミューズは強いよ。私は真似出来ないから一緒にお風呂に入る方向で攻めよう。


「一応今日か明日に来ると言ってたわね。残ったポイントについての使い方を聞く予定よ」


「あ、確かスキル買うんだよね?」


「えぇ。レベルは上がったけれど私達はまだ弱い、これから先様々なスキルが必要になる筈。とはいえセットできる総数もあるし値段も高い、ガチャを回すのも考えないといけないわ。だからこそそれが必要か話し合う必要があるの」


「ガチャで強くなるとかマジウケるwww」


「気分はソシャゲだよね~」


 ガチャかぁ。もし回すなら私が使える戦闘用のスキルとか出て来てほしいな。


 確か最大でLレア【レジェンドレア】まで出るらしいけど、そう言うのは基本考えない方が良いかな。そう言うのが出るのは漫画とかラノベの主人公だけだよ、リアルはそんなに甘くないからね。


 あ、でもSSレア位は出てほしいよね、射幸心射幸心。


「ゲーム気分であろうとなんであろうと、強くなれるなら利用するだけよ。ミューズ、貴方達もご主人様のソウルギアである以上、真面目にやってもらうわ」


「まーちゃんが喜ぶんでしょ? なら頑張ろっかな」


「あーしらのごしゅだしねぇ。全力で護るだけっしょ」


 色々適当そうに見えたミューズ達だったけど、テルクシノエーに言われた時の目はその態度とは全く違ってた。


 あれは・・・私と同じ目だ。


 マスターの為に生きて、マスターの為なら何でもできるっていう覚悟の目。


 そっか、あんな態度に見えても、ミューズもマスターのソウルギアだもんね。


「? さっちー? どったのさ? あーし等の方見てニヤニヤと?」 


「ん。なーんでもないよ」


 マスター、早く帰ってこないかな?


 皆、マスターの帰りを待ってるよ? 勿論一番は私だけどね。




―32話了



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Q ギャルの言葉よくわからない

A 気合で書け











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