第11話 追体験・魔法使いの試験後編

 少し歩いて建物中に入ると最後の討伐対象を見つけた。

 今いるのはヴァルハラ修道院でここには最後の討伐対象がいると聞いてやってきたがニミュエが何かを言う。


「貴様と相棒になってよかった、これで終わらせるぞ!」

「アア」


 この試験を終えれば昔の試験がどうなっているか見られる。

 歩いて進んでいくと内部の構造は普通の教会と同じだが赤子を抱えている女性の形をした金色の繭が壁についている。


「この修道院はただの修道院だったが戦争によって治療施設になった。しかし犠牲者増えるばかりでもう諦めそうになったその時に聖杯が現れて治癒する事が出来る繭になって、他のシスターも繭になって治療してしまいのシスターのうち姉が繭になって妹は兵たちが出る事を待ったが老婆になると自ら繭の中に入った。理由は分かるな」

「それって兵士は出て来ない上に妹は気付いて繭の中で死んだのか?」

「そうだ、兵士は身体の傷は治ったが戦争によって心は治らずその結果繭の中で死ぬことを選んだ場所で自殺者にとっていい場所だという事になっている」


 確かに周りを見ると痩せて衰えた死体がチラホラと見えているとものすごく大きい黄金の繭が携え折り目の前に泥が纏った人が目の前にいた。

 俺たちに気付くと泥人間は頭を抱えて絶叫に似た声で叫んで上を見ると赤黒い霧が纏って少しずつ形になると霧が晴れると見た事がある魔物になる。

 その姿は人の顔があり異常というくらい太って翼があるのに腕があって腹には穴があった。

 その姿はまさしく俺の母を殺した魔物飢餓の堕鳥グルルだった少し姿が違っていた。


「何でこいつがここに……」


 何でここにいるのか分からないけどこいつを見ると母を失った悲しみと殺意が火山の様に噴き出してくるとに似た魔物が欲望語ディザイアを言う。


『あの人はあたしを捨てた。何故…如何して……』


 飢餓の堕鳥グルルに似た魔物が言っていることが聞こえず俺は巨人族の腕を生み出してハヤブサの羽で神速拳を打ち込もうとするが飢餓の堕鳥グルルに似た魔物は羽をたたむと方向をかまして吹き飛ばされてしまい柱に叩き込まれる。


「ガフッ!」


 脇腹の骨が折れる感覚がしたが歯を食いしばって鉄針竜の卵を取り出して詠唱する。


「我が生み出すのは鉄針の竜の砲弾なり! 鉄針アイアンニードル竜のドラゴンエッグ


 モーニングスターに付いている鉄球が生み出され飢餓の堕鳥グルルに似た魔物に目掛けて投げると肉で出来た羽に刺さり爆散すると飢餓の堕鳥グルルに似た魔物が悲鳴を上げていくと突如笑い出してくる。


「これは不味いぞ!」


 ニミュエは焦った声で俺を掴んで柱の物陰に隠れさせる。


「何をする気だよ!」

「黙っていていろ!」


 少し顔を上げると大きく深呼吸をすると辺り一帯吸い込みだそうとしてくる。

 物凄い力で吸い込まれるか力一杯に地面を掴んで耐えるとこの修道院にある死体が五体ほど飢餓の堕鳥グルルに似た魔物に吸い込まれるとその死体を咀嚼して飲み込んだ同時に腹にある穴が開いてさっき咀嚼した死体が出てきて来ると形状は保っておらず分かりやすく言うならぐちゃぐちゃにされていた。


「もし私がお前を柱に隠していなかったらあの姿になっていたぞ!」


 確かにニミュエが俺を隠してくれなかったら俺もあんなふうになってしまうだろともうと少し寒気が来る。

 飢餓の堕鳥グルルに似た魔物が俺達を見つけるとこっちに向かって啄んでくる。


「取り敢えず逃げるぞ!」

「アア!」


 今は啄みから逃げきろうとするがなぜかこっちに来つつ欲望語ディザイアを言う。


『お前がいなくなったせいで…食欲が収まらないの……』


 もしかしたら俺は食事の対象になっているのかと思うとリブロムが答える。


《こいつは男の事を食い物しか見ていない憐れな野郎だ》


 だとしても一倍厄介だろ!

 追いかけてくる飢餓の堕鳥グルルに似た魔物に逃げているとニミュエが口笛を吹き音が聞こえる方に向けると大量の鉄針竜の卵を大きな布にくるみつつ、つり下げていた。


「ハーピィをこっちに誘い出してくれ!」


 ニミュエの作戦を理解して急いで大量の鉄針竜の卵がある方に向かって走る。

 必死で布の方に走りハーピィと言われた魔物が布の上近くに止まると吊るしてある紐を短剣で切る。

 すると一斉に鉄針竜の卵が降り注ぎハーピィの頭部やら両羽やら何やらで、爆発しまくって煙が晴れると両羽が千切れ頭部はぼろ雑巾の様にズタボロになって欲望語を呟く。


『今度の恋は本物だと思っていたのに、翼を手に入れあなたに会えたのに、私の気持ちは冷めている』


 ハーピィは黒い血涙を流すと千切れた両羽で何とか飛ぶと叫び出して傷ついている両羽を強く羽ばたき風が集まりだして竜巻が生まれだし前方で弧を描くように撃ち出す。


「クソ!」


 ハヤブサの羽で回避しつつ懐からフォークを取り出して詠唱する。


「我が作り出すのは小悪魔のフォークなり! 小悪魔のスモールデヴィルフォークフォーク!」


 詠唱するとフォークが炎を吹き出して槍に変形してハヤブサの羽で近づき横腹部に神速槍を食らわせるとニミュエを食べ物に見るような目つきになり欲望語ディザイアを言う。


『違う私は勘違いしていた…これは恋じゃなかったのよ。そうよ、この気持ちは…あの人とっても美味しそうじゃない!』

「ニミュエ逃げろ! 逃げないと喰われるぞ!」


 俺の言った通りにハーピィがニミュエを喰おうとまた吸い込みだそうとする。


『美味しいの、愛し野のお前が! もっともっと食べさせて! 愛しのお前を!』

「ヌオ!?」


 ニミュエはハヤブサの羽で柱の後ろに隠れてけど俺は障害物がなく急いで近くにある柱に向かうけど少しずつ吸い込まれて絶体絶命になったときに機転を思いつく。

 小悪魔のフォークを納刀していると上空に吸い込まれてハーピィが俺を喰おうとする瞬間に巨人の腕を生み出して横スイングで顎を吹き飛ばす。

 ハーピィの顎の筋肉が釣り糸の様に垂れてうまく吸い込めなくなっているが俺は小悪魔のフォークを抜刀して地面に向かって落ちるのを利用してハーピィの脳目掛けて頭部に深々と差し込むとハーピィが断末魔を上げると地面に倒れ体から泥が出てきて本体が現れ命乞いをする。


「死にたくない私はまだ恋をしていない!」


 本人は恋をしたいのに食欲が暴走して狂食に落ちて魔物化になったが腹を括って右腕をハーピィの本体に翳してニミュエも俺と同じことをして生贄にすると本体の声が徐々に苦しくなって最後は断末魔を叫んで亡骸になり命が千切れた触感が残る。


「生き残れた、この試験に!」


 この試験に生きていることに喜んでいるといきなりニミュエが剛腕魔法で攻撃してきて急いで回避変化魔法で回避する。


「いきなり何する気だ、ニミュエ!」


 ニミュエに行うことに怒っているが本人はまだ解除せず構えて涙目で叫ぶ。


「お前は知らないのか! この試験の合格者が絶対半数を下回らないことを!」


 ニミュエの叫びに半数に下回らない理由を知ってしまった。


〔ようやく理解したか、半数に下回らない理由は相棒を生贄にすることだ〕


 リブロムがそういうと神速拳が来る。

 俺は急いで後ろに飛んで回避すると剛腕魔法を解除すると次は追尾弾魔法を放ってくる。


「ニミュエ、こんなことは止めろ! 殺し合っても意味は無いぞ!」


 俺は急いで止めさせようとするが本人は涙を流していた。


「お前と戦うのがこんなに苦しいなんて、せめてひと思いで殺してあげる!」


 そう言うと小悪魔のフォークを生み出してこっちに向かってくる。


「ふざけんなよ!」


 こっちも小悪魔のフォークを生み出してニミュエの攻撃を塞ぐ。

 こんなのイカレテルと思うとリブロムが話しかける。


〔確かにイカレテいるけどな、これは仲間を犠牲にするまで魔物を倒す名目で仲間を騙して自分のために使うクソ野郎が起きているのが問題の一種だがこの世界は代償無しで生きていけないからこそ覚悟が必要だ!〕


 俺は腹を括りニミュエ持っていた小悪魔のフォークを弾き飛ばす。

 その時にニミュエの表情が安堵していた気がするが心臓に目掛けて一突きで貫通すると肉がえぐり貫かれる感触が伝ってくる。

 小悪魔のフォークを解除すると地面に倒れて小さい声で言う。


「お前と会えてうれしかった、悔いはないひと思いでお願い」


 この様子からは命は長くないと悟りニミュエに右腕を翳して生贄にすると体が少しずつひび割れて行き全身にいきわたると断末魔上げて血が噴き出してニミュエの魂が取り込む。

 すると同時に殺意があふれだしてきて油汗が出てくるが数分で落ち着いてきたがニミュエがいた場所は惨殺されたように跡形もなく残って有ったのはニミュエがつけていた包帯だけだった。

 その包帯を拾うと追体験なのにニミュエと一緒にいた時の思い出があふれ出し遂に耐えきれず心の底から泣き叫ぶ。


「アア―!」


 いくら耐えようとしても悲しさが湧き水の様に溢れ出してきてこの世界の酷さに泣き続けた。

 少し経つと少し収まる。


〔気持ちは分かるが一度追体験を終らせるぞ〕


 リブロムの言う通りに今は現実世界に戻る事にする。


我が物語の終演ストーリーオブエンド!〕


 辺り一帯に光り出して目を閉じてしばらく経つと宿泊所に戻っていた。


ヒビキ如何したの! いきなり泣き叫んだから追体験中何が起きたか教えてよ!」


 ショウが焦っていて少し頬が濡れている感じがしていると涙が枯れていた。

 俺は追体験で起きた事を話すと月は小さく丸屈みになって泣き出す。


「そんなの酷いよ!」


 うさぎのように小さい月が泣きながら昔の酷さに子猫の鳴き声の様に泣く。


「今は人材を大事にしているが書き手の時代はほぼ世紀末もんだからな」


 俺は少し気になる事が思い過ぎる。


「そういえばアヴァロンっていったい何だ?」

「アヴァロンは書き手が所属していた組織で魔物を生贄に信条とする組織だが別の組織がある」

「それって何の組織だ?」

「一つ目はサンクチュアリでもう一つはグリムだ」


 リブロムが言ったサンクチュアリは魔法使いの掟である生贄を全否定してすべての魔物を救済する組織でその長であるゴルロイスを魔物と同じ討伐対象にしてある。

 グリムは世界が永劫回帰で終わらせるために運命と言う力を生み出して神を打ち倒そうとする集団でその光江巴が争っているらしいが今はそんなのは聞いた事が無い。


「聞いた事が無いならその組織が消えたか新しい組織になっているかは知らないがとにかくないものは気にするなよ」


 だけど他の人が思うことが残せずにいると少し気になるが外を見るともう暗くなっていた。


「明日は早いから服を詰め込んで寝ろよ」


 リブロムがそう言うと身体〖?〗を横にして眠る。


「響僕たちも明日の準備をして寝よう」

「そうだな」


 俺たちはいつもの衣服をカバンに入れ終えると就寝する。

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