第7話 私の豪運はドラゴンを届ける。
賭博場から帰宅後、洋間でクッションは涙をすすっていた。
「こ、こんなガキに・・・総資産のほとんどを奪われたにゃ。」
「ふぇぇ。今、お茶をお渡ししますね・・・あっ」
奴隷ちゃんはお茶を落としていた。
「うぅ・・・。」
私はというと同じくソファーですすり泣きをしていた。
まさに奴隷ちゃんの不運の一人勝ちである。
奴隷ちゃんの購入資金返済のために賭博場に出向いたが結果として、私は領主にクッションは奴隷落ち寸前という状況である。キスはよかったけど・・・・。
思い返してみればこの力、豪運の制御はほぼ不可能に等しい。
自販機を殴ればすべてを吐き出し、賭け事は期待値が10以上は当然、為替や株式を行えば金融危機一歩手前まで行ったこともあるほどだ。
どういった経緯で私にこんな力が宿り、本来の運命を跳ね除け続けるのか検討もつかない。
話を戻すと私はあの一時間で莫大なお金を手に入れたのだが、この異世界では不要の長物だった。
なぜなら、ポテチやら懐かしのゲーム等々お金があっても買えないものが多いからである。
当然、目の前ですすり泣いている高品質クッションもプライスレスであった。
私は今のこの状況を一発で解決出来る方法を知っている。
「クッション、全部返すから私と奴隷ちゃんを養って・・。」
豆鉄砲を食らったような顔でこちらを見つめてくる。
「にゃにゃ、良いのかにゃ・・・?」
「わ、私も良いんですか?」
「うん。婚約者だし・・・」
奴隷ちゃんは頬を赤くしてモジモジしながら照れる。
「そう・・・でしたね・・・。」
やはり可愛いので私の目に狂いはないようだ。
ついでにクッションも元気が出たようで徐々にいつもの年上感を醸し出してくる。
よく見ると彼女も可愛いのだが奴隷ちゃんが圧倒的過ぎるので、今の所クッションとしての役目しか思いつかない。
「な、なら仕方ないにゃ。領主として養ってやるにゃ。」
「そういえばギルド忘れてた。」
「それは明日でいいにゃ。今日はもう遅いからゆっくりするにゃ。」
その後私達はご飯にした。
勿論いつもの料理である・・・・おのれクソ親父。
奴隷ちゃんはというと目を輝かせながら驚いていた。
「こんなに豪華な食事、私が頂いても良いんですか?」
「にゃ。」
豪華とは?それだけ貧しかったってことか・・・。
私は豪運のせいでクッション邸よりも貧しい飯を見たことがなかった。
奴隷ちゃんは笑顔で美味しそうにご飯を食べていた。
貧しかった割には、奴隷ちゃんから大和撫子イズムを感じる・・・・。
「奴隷ちゃん、姿勢がきれいに見えるけど・・・。」
「わ、私は、元貴族です・・・。でも途中から・・・。」
奴隷ちゃんは何かを思い出し涙目になる。
「ご、ごめん。無理に言わなくていいから。」
「あ、ありがとうございます。ご主人様。」
「私もお前のせいで、奴隷になりかけたにゃ。」
「クッションとして使ってあげるから大丈夫。」
「にゃあ・・・。」
その後、私と奴隷ちゃんは一緒にお風呂に入っていた。
「ご主人様、こんな汚い私とお風呂なんていいんですか?」
「いーの、いーの!」
私は奴隷ちゃんの背中を流していた。
「ん?」
よく見ると奴隷ちゃんに小さな尻尾がついている。
「奴隷ちゃんこれって・・・・。」
「えーっと、私・・・ハーフドラゴンみたいなんです。そこしか発現してないんですけど。」
よく見ると、ぴょこぴょこと動いている。
クッションと同様に握ってみる。
「あっ。そこはダメです。ご主人様。」
「ご、ごめん。」
ハーフドラゴンということは・・・アレが使えるはずだ。
私は立ち上がり、人を抱いたように手をかざす。
次の瞬間奴隷ちゃんは私の目の前に、後ろから抱かれたようにして出現した。
「ご、ご主人様・・・これは!?」
「おー。やっぱり使えた。」
私は奴隷ちゃんの結婚相手として、彼女のムニムニを確かめる権利がある・・・はずだ。
今まさに私の手が奴隷ちゃんのムニムニに届こうとしていた。
ごくり・・・・。
「あっ」
次の瞬間、奴隷ちゃんは後ろに転ぶ。
奴隷ちゃんのクッションになるような感じで私は圧迫された。
「うっー。」
「だ、大丈夫ですか・・・ご主人様。」
こちらを心配して寄ってくる。
やはりクッションや私よりも大きいかった。
おのれ、不運め!
「あ、暴れたい・・・」
「えぇーっ!」
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