サンタクロースとおじいさん

小波ここな

第1話 8月のサンタクロース

 シャンシャンシャンシャン

 シャンシャンシャンシャン


 鐘を響かせ

 サンタが町にやってきた。


 最近腰痛で早めのクリスマスだ。


「メリー クリスマース!」


「はやっ!」

「8月にサンタかよ!?」


 サンタさんが子供に最近バカ売れのゲーム機を次々と手渡す。


「重たいんじゃ! バカタレが!」


 サンタさんは自分の腰をさすりながら、今年最後の家にやって来た。


 松田酒造。

 なんか思い出があったが忘れた。

 今は早く帰って暖炉の前でブランデーが飲みたい。


 ガララララ


 ガラス戸を開けて声を張り上げる。


「メリー クリスマース!!」


 しかし反応がない。

 シーンと静まり返っている。


 サンタさんは店の奥にドスドスと入り、「メリー クリスマース!!」更に声を張り上げた。


 すると弱々しい声がした。


「今出ますけぇ。待ってくださいよぉ」


 店の奥からおじいさんがヨボヨボと現れてサンタさんの前に来た。


「はぁ。サンタさん。いらっしゃい。しかしまだ8月じゃし。この家には子供がおらんでなぁ…」


 サンタさんはプレゼント袋の中をのぞきこみプレゼントを取り出した。宛先あてさきは"チョメ郎"と書いてある。


 サンタさんは思い出した。

 絶世ぜっせいの美少年チョメ郎の家だったという事を。


「おじいさん…! チョメ郎はまだ元気かね?」


 サンタさんがおじいさんにたずねると「チョメ郎はワシじゃが…何か用事かね?」とおじいさんがフガフガ答えた。


 サンタさんがおじいさんを見るとその眼差まなざしは確かにチョメ郎その人であった…!


 つづく!

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